第二十話 ボスは誰なの?

 ふぅ、と私、符川和音はため息をつく。何とか歩翔君のお父さん助けられて良かった。

 でも……全国中学生吹奏楽部コンクール全国大会で賞には届かなかったんだ。くっ、悔しい…っ。来年は頑張ろう!

 「どこにいるのか、これから探していこうと思うの」

 希沙ちゃんの声に私達はうなずく。

 一月の最初。私達は、今『ミュージック使い作戦会議』をしているんだ。参加者はミュージック使い六人と、ミューちゃんジックちゃん、そして歩翔君のお父さんである坂本太衣さかもとたいさん。

 「確かに、ボスを見つければ大丈夫だからな!」

 「僕もそう思う」

 「だから、太衣さんにも来てもらったでつ!」

 「よろしく」

 太衣さんはそう言って目を細める。邪楽として扱われていた太衣さんなら、何か分かるかもしれない。そう思ってこの会議を開いたんだ。

 「邪楽は、ボスによって作られる、それは本当のことで間違いない。神様エキスパートと言う音源を消す邪楽がボスだ。そして、ボスは一人」

 「そこが一番大事ニャ」

 確かに!私は梛がメモするのをジッと見る。

 「邪楽の生み出し方は分からない。記憶がぼんやりしている」

 「でも、これがあるから、手がかり見つかりそうだね」

 奏真君はそう言って鞄から指輪を取り出した。

 光を失っている指輪は用事が無くなったみたいだ。のような感じ?えっニラがコートを羽織るなんて、ありえるのかな!?昔の人の勘違い?

 「指輪、これによって邪楽が生まれるのは不思議やね」

 「うん、そうね。でも、今まで倒してきた邪楽は無かったわよね?」

 「多分……ミュージック使いが襲ってきたのために作ったのだろう」

 歩翔君が真剣に考え込む。ミュージック使いが襲ってきた時、つまりボスを倒そうとした時だよね。なぜそこまで、音楽を消したいんだろう……。

 「あ、そうや!なぎ達三人でちょっと昔話し合ったんやけど、なぎが通っている中学校の一年生、そして吹奏楽部部員にボスがいると思うねん」

 「「「え!?」」」

 「そうなのか?」

 「あれっ、父さんも初耳?」

 「そうだな」

 太衣さんも初耳なの!?それなら私達の考えは外れちゃったのかも。

 「……確かに、最初に会ったのは小学校の授業参観だったな」

 「「「「「「えっ!?」」」」」」

 私は驚きのあまりゴクリとつばを飲み込んだ。

 小学校の授業参観で会えるのなら、ボスは中学校にいるかも!私はガッツポーズ!

 「それを考えたのは、俺だ」

 ギクッ。 そ、そうでした、ごめんなさい。

 歩翔君は、要注意人物キケンだ!しかも心まで読まれちゃった、怖い!

 「それならいるかもしれないの、一年生の中に」

 「そして、吹奏楽部にいる可能性も高い」

 「これは探すしかないっしょ!俺様の手にかかれば余裕~」

 ボスは近くにいる!その情報を胸に私達は捜索することにした。


〇┃⌒〇┃⌒


 三学期の二日目、今日から私はボスを探すことにした。

 探す方法はずばり、ミューちゃんアンドジックちゃんに当ててもらう!昼休みに各教室に回って、邪楽の雰囲気を当てるんだ。

 「う――ん、あの男の子が怪しいでつ!」

 「あ、あれ。タピオカさん」

 まさか、タピオカさんが邪楽のボス!?嘘、こんなに近くにいたなんて!

 「和音ちゃん、他のクラスもあるで。次は三組やで」

 「はぁ―――い」

 私は梛の声に返事して、私は部屋から出る。

 急いで三組の前に行き、去年の同級生を呼んだ。

 ミューちゃんの作戦で、新聞作成インタビュー、と言うことでちょっと話している間に邪楽を探すの。ミューちゃんは『』と言ってた。だから、私は同級生にいくつかのインタビューをする。

 「ありがとう」

 「ううん、久しぶりに和音ちゃんに会えて良かったよ。バード様もまたね」

 「うん、またね」

 私はインタビューを終えて、ミューちゃんの様子を見た。

 えっ、ミューちゃんが手で口を抑えてる!どうしたの!?

 「大丈夫!?」

 「みゅ、大丈夫でつ……。三組、すっごく邪楽の匂いがきついでつ…」

 三組に邪楽の匂い!?ここに邪楽のボスがいるってこと?

 とりあえず、ミューちゃん、三組から離れてもらわないと!梛がミューちゃんを抱える。

 「ありがとうでつ、少し落ち着きまちた。歩翔君や希沙ちゃんを読んできまつ」

 「えっ、今?ミューちゃんもう大丈夫なの?」

 「大丈夫でつ!行ってきまつ!」


〇┃⌒〇┃⌒


 私達六人と二匹は空き教室がいっぱいある廊下に来た。

 「皆はどうだった?」

 「俺様と希沙は、一組と四組をやったが、あんまりいなかった」

 「俺は音楽室に行ってみたが、何も手がかりは無かった」

 「あのね、ミュー達二組と三組行ったんでつけど、邪楽の匂いが強かったでつ…」

 「そうニャの!?ニャー、気をつけるニャ―」

 ミューちゃんは思いだしながら鼻を抑える。そ、そんなにきつかったんだ!ミューちゃんには辛い思いをさせちゃったなぁ。

 「じゃあ、一年三組を絞って考えよう」

 「そうだな。吹奏楽部部員かは分からない」

 「私と梛、歩翔君は二組だから、三組の様子はあまり確認出来ないよね」

 「僕は、一組で、希沙は四組」

 「俺様は三組」

 奏太君、三組!だから…三組の様子を観察出来るんだ!私はキラキラと瞳を輝かせる。

 「俺様、頑張って見つける!」

 「ニャ―が一緒にやるニャ」

 「私達は、吹奏楽部部員にいるかということと上級生で怪しい人を探すわ」

 私は皆の目を見つめた。 私達は、六人と二匹!ボス一人になんか負けてられない!私は心を熱くして、また捜索を始めた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る