第9話 交差する世界

コツ、コツ、コツ、

「ここだな」

俺たちはゲケルとの決着後、また色々と尋問されて、やっと3人とも予定があったからヒバナが去り際に渡した巻物に記された場所に来ている、そしてその場所は、学校の近くにあるジム入り組んだ住宅地、そのはずれにあるバイパス下だ

「何もないけど、ほんとにここであってるの?」

「騙されたんじゃないですか?」

2人ともともあまり信用していないようだが俺はここだと確信している

「なんもないのは事実だが、ポータルだっていつも何もないところから出てくるんだ、ここで開けてもおかしくない」

ヒバナから貰った巻き物に記されている通りにポータルを開く手順を行う、まず人差し指と中指を立てる、そしてそのまま空中に円を描く、そして手を広げてその円に押し付けるようにして、

「ポータル・オープン」

目の前に小さな円が現れたと思ったら、その円が広がり、もう何度か見たポータルが現れた

「ほら見ろ、俺の言った通りだ」

「むぐぐ、」

「いいからいくぞ、でも注意はしろよ」

年の為、腰に下げているヒートブレイドをいつでも抜けるようにしている

フローとスフェーンもいつでも防御体制に入れるようにしている

「行きますか、」

「ああ」

そして俺たちは初めて、異界への第一歩を踏み出したのだった


「ついたな」

景色は、少し暗い俺たちがいた世界と違ってそこまで発展はしてないようだ、おそらくだけど中世程度で止まってるのだろう

「誰だ!?」

咄嗟に剣を抜く、2人も武器を構えるそれと同時に兵士?のような今回は確実に人間のようだが集まってきて武器を見つける、戦う気はないんだが、ヒバナのことを言えばわかってくれるかもしれんな

「えっとー、ヒバナに呼ばれた冒険者って言えばわかるか?」

、、、

なんか話してる?みたいだな

彼らは話終わったようでこちらを向く

「わかった、いいだろう通してやる、だが何か妙なことをしたら、ただじゃおかない」

「なんとかなりましたね」

「ああ」

ほんとに上手くいってよかった、俺たちのことを殺そうとするモンスターどもならともかく、完全に人間のあいつらとは戦いたくないからな、、、できればだが

兵士に囲まれながら案内される

「ほんとに大丈夫?これ」

「たぶん、大丈夫、ヒバナが直接出てきてくれれば一番安心なんだが、」

「そうですね」

立ち止まる、

「ついたぞ、ヒバナさんと団長はこの先だ」

周りにはテントがいくつかあるが、こいつはテントじゃなくて、建物だしでかい、もしかしてだけど、ヒバナはかなり上の立場なのだろうか、というか団長は誰のことだろうかやばい奴じゃなければいいのだが、まぁいいか、

「入るぞ」

扉を開けて中に入る

「やっと来たね」

「思ってたより遅かったじゃないか、噂のロストさんは」

ヒバナは前とほとんど変わらないな、問題は真ん中に座っている大男の方だ、重装備を着込み、武器は大型のハンマー、紙は茶髪に目の色も茶色だが、髪よりは少し暗い

「あんたはヒバナから話聞いてると思うが、こっちは何も聞いてないんだ、少しぐらい説明してくれないか?」

そう言うと男は思い直したようでまた話始めた

「あーそうだな、なら自己紹介させてもらおうかな、俺の名前はペイル・サーズ、二つ名は地建(ちけん)メイン武器は見ての通りこのハンマー、このリモーディアル共和国騎士団長の隊長だ固有スキルもどうせだし話しておこう、固有スキルはアース・リビド、基本的には地形操作が主な能力だ」

団長はこいつであってたな、

続けてヒバナが話し出す

「あたしも改めて自己紹介させてもらおうかな、私の名前はヒバナ・カトライフ、二つ名は炎虎(えんこ)知ってると思うけど固有スキルは火牙の拳、炎を操る能力だね」

自己紹介は終えたな、となると次はこちらの番だ、

「こっちもさせてもらうぞ、俺はロスト、固有スキルはマジック・ウェポンズ、武器を操る能力だ、メインウェポンは片手剣、一応他の武器もある程度は使える、二つ名はまだない」

「僕はフローです、メインウェポンは杖、固有スキルはアクアオペレーター、水を操る能力です、二つ名はロストに同じくありません」

「次は私だね、私はスフェーン、メインウェポンズは槍、固有スキルはエアーズコントロール、空気を操作する能力だね、二つ名は私もないよ」

ガチャン、

扉が開く音、誰か来た、咄嗟に剣の持ち手に手を伸ばす、

「話は聞いてたけど、こんなやつらが戦力になるの?」

振り向くとそこにいたのは水色の髪に、髪型はポニーテール、そして腰には俺たちが使っている武器より、上等だと思われるレイピア、服装はドレスのような物を着ているが鎧も重ね着している戦闘服か、

「まぁそう言ってやるな、こちらとしては今となっては猫の手も借りたいぐらいなんだからな」

団長がそいつに話しかける

「誰?この人、」

スフェーンは悪態を突かれたせいか少し機嫌悪そうにしている

「あーそうか知らないだもんな、この人はうちの国の姫様、レーゼ・リモーディアル様だよ、次期王女にも関わらず武術にも精通し、固有スキル、アイシングエイジを使うことから氷姫(ひょうき)と呼ばれている」

「紹介ありがと」

「ずいぶんと気の強い姫さんだな」

咄嗟に言ってしまったが、俺結構やばいことしてしまったのでは?

、、、

まぁいいか、

「ロスト、これ大丈夫なんですか?」

「たぶんな」

「安心しろ、もう今の状況じゃ身分なんて気にしてられない、いつ誰が死んでもおかしくない状態だ、この拠点内はまだ何とか秩序を保てているが、そのはそもそも人がほとんどいないし、いたとしてもチンピラや盗賊ばかりだし大したやつなんていないんだ」

「そんなにやばい状況なのか?」

、、、

「ああ、そうだな、うちのところはここらのでかい島ほぼ全域を領地としていた国だった、でも今じゃ少しずつ主戦力を削られて、主戦力がいなくなった都市からどんどん潰された、今となってはほとんど壊滅して本当にいくつかの拠点があるだけだろう、そしてその拠点ともまともに連絡なんか取れやしない、その上この拠点内で固有スキルが使える冒険者は4人、そのうち1人は戦闘向きのスキルじゃないし、一番レベルが高いやつでも40しかない、他国一応存在しているが、期待はしないほうがいい、向こうも同じような状況だからな」

どうやら俺が思っていたよりずっとやばい状況らしい、

「だが希望はある」

団長は俺たちを指差す

「そっちの世界の者たちだ、今、こちらの敵はこの世界をほとんど滅ぼし、続いてそっちの世界の侵略を始めた、言いたいことはわかるだろう?力を貸して欲しい、我々は新たなる冒険者をしよう」


続く





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