第7話 スリー・オン・ワンパーティ

ドガン、

危なかった、咄嗟にヒートブレイドで防いでなければやられていた。

人はある程度減ったが、まだ周りから喋り声が聞こえる、野次馬か、

「お前レベル幾つだよ」

「30だ、ちょうどお前の3倍だな」

スキルもロクに使わず、ただの接近戦を繰り広げながら会話を続ける。相手は木製の棍棒だ、今までの敵のように早く軽い攻撃ではないが、力強く、重い攻撃をしてくる、何度も受け止めるのは難しそうだ。

「思ってたより低いみたいだな、名前は?」

あえて相手を煽っておく。

「名前か、まぁ名前ぐらいなら教えてやってもいいだろう、どうせお前は死ぬのだからな」

「舐めてんじゃねえよ」

一度攻撃を止め、奴は棍棒を振り上げる

「我が名は拡縮(かくしゅく)のゲケル!第一亜人軍、第三部隊隊長にして、幹部の一角を担うもの!」

「初っ端から幹部の登場か、大したもんだな」

「そりゃどうも、でもこれは上があんたを侮れないと判断したからだ、喜んでもいいんだぞ?自分は強いんだってな」

「そりゃどうも、でも慢心はしないでおかせてもらうぜ」

ヒートブレイドを正面に構える。

「フレアソード」

「ハハハ、それじゃ前座は終わりにするか」

体に剣を引きつけて突進して行く。

「わかってるさ、ストライク!」

接近からの攻撃、初撃は棍棒で弾かれた。

ダン、

相変わらず手ごたえのない音だ、特殊な木材を使ったのか、ヒートブレイドでもほとんど傷がつかない。

「いい一撃だ、こっちからもやらせてもらうぞ、ブレイクブロー」

名前的に破壊系の攻撃、破壊不能の始まりの盾を出して防御、そのまま次の攻撃に繋げる

「サン・バイト!」

3連撃、上手く入った、バックステップで距離を取る。

「アイスレーザー!」

久しぶりに使った魔法、だが、だいぶ使い慣れたみたいだ。魔法はゲケルの左手に命中、HPがどれほど低下したかはわからないが少し血の匂いがする、出血したようだから効果はあるはずだ。

、、、一歩下がる。

「ロスト、今のは効いた、だがそんな攻撃を続けたところで、倒すことはできない」

傷口が再生して行く、しかも俺より数倍は早く、回復魔法でもない、本当にただの、再生スキルのレベルが高いのだ


「じゃあもっと、もっと、速く攻撃すればいい、そうだろ?」

これはハッタリじゃない、再生能力を持つ奴を倒すなら、再生速度を上回る速度でHPを削らなければならない

「ブレイブ!」

棍棒に命中、硬え、だがマジックウェポンズでリーフィーダースを出して棍棒を今の位置で固定する、振り切られそうになるがなんとか抑える

「打突斬!」

腹に三撃とも命中、それと同時にリーフィーダースは振り払われた、だがあいつは気づいてない、あいつは弾いたリーフィーダースに背を向けた、だが俺はマジックウェポンズでリーフィーダースを引き寄せる、そしてそれと同時に突進

「クロス!ストライク!」

「ブロード」

棍棒を振り上げた、だけどこの感じ、直接攻撃じゃない、地面に叩きつけての範囲攻撃か?いや気にしてなどいられない、当たればダメージは向こうが上だ、一撃目、クロスの振り下ろし攻撃、命中、少し後退させた、

続けて後退したところにリーフィーダース、少しだけ刃が刺さる、最後の一撃をーーー

最後の一撃を加えようとした瞬間、ゲケルが棍棒を地面に叩きつけ終えた、瞬時に地面にヒビが広がり、その隙間から衝撃が走る。凄まじい土煙り

受け身を、

吹っ飛ばされたが、剣を突き立てて壁にぶつかる前に踏みとどまる、

!?、鼻血が、それに体が震えて動かない、

HPもすでに半分を下回った。

「ヒール、」

体の傷が塞がって行く、だが震えがおさまらない、状態以上か?

ヒビはかなり広範囲に広がり、見える限り地面だけでなくビルの壁面にも走っている、あんなもん何回も使われてしまってはビルの倒壊の恐れすらある、増援が来るまで時間稼ぎする気でいたが、無理だな、俺が持ってても建物の倒壊でどれだけ被害が出るかわからん

せめて完全に一般人を避難させられれば、気にせずやりあえるんだが、いや、今の攻撃でほとんど逃げたか、警察も来てるな、ならまだ耐久もできるか

「まだ生きてたのか」

立ちこめる煙のなかからゲケルが現れる

「今のは結構効いたがな」

それとリーフィーダースをも戻し左手に持つ

「二刀流、やっと本気を出す気になったか」

「喜んでもいいんだぜ、ロストに二刀流を使わせたってな」

あえてさっきのゲケルのように煽る

「ハハハ、笑わせてくれる」

「喜んでくれたか?」

「少しはな!スラスト」

棍棒を横に連続で振りながらの突進攻撃、かわせるか?いやいけるな、

リーフィーダースを一旦中に浮かせて魔法を放つ。

「ノヴァ!」

爆発の勢いで上昇、そのまま下方向に向けて槍、刀、剣、曲刀、大剣を出し落下攻撃。

「フォールズ!」

棍棒で少し防がれたか、まぁいいだろう。

続けて剣を交差させ、この前習得した双剣スキルを使う

「ダブルスラッシュ」

胴体に命中、防具を切り裂いくことはできなかったが、かなりのノックバックで距離を取れた、二刀流を一旦解除し、始まりの剣を合わせた3本の剣で攻撃する

「ストライク」

3本の剣が、一直線に、矢のように飛んでいく

「スピニングシールド」

武器を回転させて防いだ、だが問題はない、なぜなら今のは時間稼ぎ用の囮、本命は

「ガバイト!」

大鎌で2回転しながら切り上げ攻撃を放つスキル、ハッキリとした手ごたえ、切断された腕、胴体に刻まれた深い傷、散る鮮血、その鎌の軌道は、夜空に浮かぶ三日月のように、今この戦いに決着をつけたーーーー





そう思われたが

「お前、ほんとにやるな」

「!?、嘘だろ、」

胴体を思い切り切り付け、腕を切り落としたと言うのに生きてやがる

「ヒールツ」

体が再生して行く、まずい、まだだ、まだ何かこいつは隠している、今思えばおかしかった、最初の不意打ち以外、固有スキルを使ったような素振りもなかった、あいつは本気をまだ出していない。 

「そろそろ本気で行かせてもらおうか、ビゲスト、」

体が、やつの体がみるみるうちに巨大化して行く、その姿は巨人そのもの、大きさで言えばビルの10階に値する

「怖気付いたか?」

「そう思うか?」

本当のことを言えば怖気付いた、巨大化したりするかもとは思ったが、ここまでデカくなるなんて思わないだろ!ぱっと見30メートルはあるぞ!おかしいだろ!んなもん被害なんて気にしてられるか!

「ったく、こうなったからには遠慮なく暴れさせてもらうからな!ゲケル!」

「そうこなくちゃなぁ」

ゲケルが片足を上げて踏み潰そうとしてくる。

走ってかわせそうだな、足が地面に付く直前にかわせた、攻撃力は上昇したが速度は下がったか、あと防具が部分的に破損していた、防御力も下がっているはず、

地面についた足に剣を叩きつける。

「刃、通るな」

もう一度足での攻撃、今度は蹴り上げ、

「スラッシュ」

蹴りの方向に魔法を放つ、

「魔法も普通に効く、なんとかなるか」

!?

地響き?いや、さっきの蹴り上げは、俺に当てるのが狙いではない、ビルを破壊して瓦礫で攻撃する気だ。

走って落下してくる瓦礫を避ける、ついでにすでに落下して山になった瓦礫を踏み台にして飛ぶ、そのままビルの壁面に足をつけて蹴り、手に持った剣をマジックウェポンズで浮かせて支えにし、ゲケルの腕部分に、

「ダブルスラッシュ!」

うまくダメージ入った、盾を出して足場に、

!?

ゲケルが体をひねらして棍棒で俺を叩きにくる、急いで盾を横に移動させて防御、

ドガァァァン!

「ングッ、」

吹っ飛ばされてビルの壁面に激突、そのまま壁を貫通してビル内部でなんとか体が吹っ飛ぶのを止める。

やばい、体が動かない、HPも残り1割、致命症、右腕はなんとか動かせるが左手と足が動かない

「ゲホ、けほッ」

血?内臓もやられたか、頭からも血が流れてくる、

「ヒール、」

回復魔法で回復、それからポーションを飲み干して回復、内臓と左手は回復してきた、けど足がまだだ、MPも回復魔法を使えるだけ残っていない、ポーションは、あるけど3つ、MPがないことを考えると置いておきたい、いや、、この状況だ、飲むしか、!?

「うぐぐ」

考え込んでいたせいで気づかなかった、ゲゲルに掴まれてしまった、まずい早く、

手を伸ばしてマジックウェポンズで剣を引き寄せようとする、一方ゲケルは棍棒を振り上げる

「終わりだな、ロスト、お前のことは覚えておいてやる」

バシュン!

複数の斬撃がゲゲルの腕を切り落とし、直後爆風で後退させる、

「ロスト!」

「僕たちのこと!」

「忘れないでよね!」

「ったく、忘れるわけないだろ!、つーかおせえっつーの!」

つい笑いながら答えてしまう、

足も回復したか、

「こっから巻き返すぞ!フロー!スフェーン!」

「了解!」

「オーケー!」

続く

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