第6話 特訓

病院での出来事から数日後、ロストは3人で特訓をするため、人気の少ない広場に来ていた

「フロー、来たか、時間通りだな」

「はい、スフェーンさんは?」

「まだだな」

スフェーンは結構な頻度で約束の時間に遅れてくる、そのせいでかなり面倒なこともあった、まぁ来なかったことはないから問題はないと思うが、、

「ごめん!遅れた!」

スフェーン到着と、戦闘服で来たのが気になるが、とりあえずいいだろう

「なんで戦闘服なんだ?」

「あー、来る途中スライムに出くわしちゃって」

「ポータルか?」

ポータルは向こうの世界からモンスターが出てくる扉?のようなもののことだ

「いや、たぶん自然湧きかな」

「自然湧きですか、最近多いですね」

最近、ポータルが出来始めてからだろうか、日本各地だけでなく、海外までにもモンスターが自然に発生し、それに伴い、冒険者も増加して来ている、といってもいつどこに湧くかわからないし、索敵スキル以外に場所がわかる方法もないため、ほとんどレベルも上がっていない、俺たちはあのあといくつかレベルが上がり、今は10レベル政府が確認して回ったところ、俺たちを除いた冒険者のレベルの平均は5、高いやつでも7、程度らしい、固有スキルを使えるやつもほぼおらず、解放条件のレベルも15から30、高いと50近くの人もいるらしい

「まぁ、おかげでこちらの戦力も増加してるし、いいんじゃないか?」

「それはそうなんですが」

「なんだ?」

「政府はどうするつもりなんでしょうか」

「確かにそうだな、非冒険者たちはどんな武器を使用してもモンスター、もしくは冒険者に与えられるダメージは1から10程度、非冒険者はたとえモンスターにミサイルを撃ち込んだとしても、10以上のダメージは出せないため、素手で脳天を叩いた時とダメージの量が変わらない、しかし冒険者は素手で殴るだけでもかなりのダメージを叩き出せる、冒険者が今この状況で数人集まって政府を攻めたら下手をすれば勝ててしまうほどだ、今はまだ反乱が起きていないからいいもののいつ起きてもおかしくはない、そして一番気掛かりなのが、冒険者が優遇されすぎている」

「そうですね、ただ、冒険者はポータルから出てくるモンスターに狙われる傾向が多いので、命の危険は高まるでしょうね」

「街の破壊などの被害も大きいし、問題もかなり多いが、死亡者が0なのが唯一の救いだな」

「まぁ今、僕らにできることは自分たちを強化して、被害を最低限に抑えることです、決まり事は上に任せるしかありません」

「そうだな、今武器の製作にも取り掛かってるから、そう言う面でも強化していこう」

「スフェーンさんも頼みますよ」

スフェーンの方を見る、

「頭パンクしてるなこりゃ、おーい!戻ってこーい!スフェーン!」

体を揺さぶる

「はっ!?」

「戻ったか」

「う、うん、何の話だったっけ?」

「ロスト、話したらまたパンクするのでやめておきますね」

「その方がいい、じゃあそろそろ、本題に入るとするか」

ストレージから木製の槍と剣を取り出す

「今日はこれで模擬戦だ、フローは魔法メインだから木製の武器はないが、なるべく出力抑えてやってくれ」

「了解です」

「スフェーンもいつもみたいに魔法本気ブッパはやめろよ」

「はーい」

「これなら、防具も着ますしHP無くなったりしませんね」

「そうだな」

「ロストは、マジックウェポンズ使う時どうするの?」

「ん?あー木剣何本か作って来たからそれを使う」

実際にはメイスや斧も作って来たのだが

「模擬って具体的にはどうするんですか?」

「そうだな、1対1でやる、敗北条件はHPが2割以上削れた時点で終了だ、万が一大ダメージを受けた場合は、即座に回復魔法もしくはポーションを使う、今はそれぐらいだな」

「了解です」

「りょーかい」

「んじゃ、とりま俺からやっていいか?」

「いいですけど、スフェーンさん、先やりますか?」

「いやいいよ、さっきスライムと戦って疲れたから先やってて」

「わかりました、では、ロストもいいですよね」

フローは杖を取り出す

「ああ、問題ない」

俺も木剣を取り出し、15メートルほど距離を取る

「これぐらいでいいな」

「はい、大丈夫です」

木剣を構える、そして魔法、もしくはマジックウェポンズを使えるように左手を中段に構える、フローはそのまま杖を地面に付け、正面に構える、どの魔法を使う気なのかわからないが、レベルアップして習得したノヴァで相殺できるようにしておこう

「それじゃあ準備はいい?」

俺もフローもスフェーンを見てうなずく

「じゃあ、初め!!」

「アクアスラッシュ!」

開始直後の魔法、ノヴァを構えておいて正解だったな、

「ノヴァ!」

爆裂、相殺成功、続けてストライクで距離を縮めるために木剣を体に寄せる

「ストライク!」

剣はフローに届かなかったが、距離を縮めるためなので問題はない、むしろ近づきすぎる方が問題だ

「ロスト、わかってますね」

「そりゃあな」

あえて地面を踏まず、別の木剣を浮かせて足場にする、なぜかというと、アクアトラップが仕掛けてあるからだ、数回木剣を足場にし、上に上がる、フローの上に来たら剣を振り上げ、攻撃をする

「フォールズ!」

フォールズ、高所からの落下攻撃、上手く受け身を取らなければ自分もダメージを受ける捨て身の技だが、その威力は絶大だ

「そう来ると思ってましたよ、アクアトラップ、からのアクツ!」

水魔法アクアの強化版!?ノヴァ等の魔法を付与していないとは言え、今この状態じゃ、かわせない

「やるしかねぇなぁ!!」

飛んでくるアクツに向けて振り下ろす、破壊できた、しかし飛んできた破片で少しダメージを喰らったがまだ1割しか減っていない

「やるしかねぇなぁ!!」

フローも杖を構えて防御体制をとる、俺は全方に体を倒し、落下速度を上げる、鈍い音が鳴り、爆発する

「チェックメイトだ、フロー」

落下時にフローに攻撃し、それと同時に盾を出して受け身を取り、ダメージを軽減、おかげでHP1割と少ししか減っていない、一方フローのHPは3割減っている

「負けましたよ、ロスト」

木剣を背中の鞘に収める

「んでも、結構やれてたじゃないか」

「そうですか?、ならよかったです」

「ああ、魔法の威力も上がっていたし、魔法の速度もなかなかだった、今回は前衛が居なかったからフローが負けたが、たぶん前衛がいればかなり厄介だろうな」

「確かにそうですね、今度みんなで戦う時はそうしてみましょうか」

スフェーンがこっちに近づいてくる

「終わったの?」

「ああ、終わった、次はスフェーンがやる番だな、フローはどうする?」

「いえ、僕はいいですよ」

「そうか、なら俺がスフェーンとやる、スフェーン、準備しろ」

再び15メートルほど距離をとり、木剣を抜く

スフェーンも背中につけていた木製の槍を取り出す

「準備はいいですか?」

「いいよー!」

俺も頷く、

「では!始め!」

スフェーンに向かって突っ込む、それと同時に剣を振り上げ技を放つ

「クロス!」

「そう来ると思ったよ!スピニング!」

槍の先端をこちらに向け回転させながら攻撃してくる、対してこちらは剣を振り下ろし槍を弾きにかかる

「ドガァァァンツ!」

弾かれる、だが、剣を横に出して足場にし回転、俺は逆さになり、クロスの2連撃目を首に叩き込む

「グッ」

「硬え!」

しかもHPが1割も減っていない、木剣とは言え首に叩き込んだのに減ってねえ

「ロスト、私の勝ちだよ、バラージ」

槍での連続突き攻撃、盾を出してガードを間に合わない、ガントレットならどうにか

「ダダダダダダッダン」

HP3割減少、俺の負けか

「今のは結構効いたぞ、スフェーン」

「あはは、それはごめんね、ちょっと加減ミスちゃった、でも勝ちは勝ちだから」

「んなこたぁわかってるよ」

再生でもう傷はほぼ治ったらしい、まあ次はスフェーン対フローなので見てれば良いがな

「次はフローだぞ」

「はい、もう準備は済ませてます」

「そうか、スフェーンは?」

「もうちょいで体力全回するから待って」

「わかった」

俺は公園のフェンスの横にあるベンチに座る

正面にはある程度距離を取った2人、俺のHPは残り2割で全回復だな、スフェーンも大してHP減ってなかったし、もう時期準備終わるだろう

「スフェーンそろそろ行けるか?」

「行けるよー」

「よし、んじゃ始め!!」

「アクアボール!」

先手はフロー、あの魔法はアクアに打属性を付与した魔法、速度自体はアクアレーザーに劣るが、威力が高くと打属性を使えるため、使いようによってはかなり使える魔法だ、対してスフェーンは、声は聞こえなかったが、ウィンドランスで槍に風属性を付与したか、

それで魔法を弾く気だろうか、

「ウィンドノヴァ!」

槍を通しての魔法か、さっきの付与はこの魔法の威力を上げるためだろうな

魔法を破壊してからはどうする気だ?

スフェーンはそのまま前方に突進、フローは、たぶんあれ、トラップ敷いたな

スフェーンは気づいているのかわからないが、まぁ気づいていれば対処するから大丈夫だろう

「ウィンドレーザー、ウィンドノヴァ!」

ウィンドレーザーをノヴァの爆発で押して勢いをつけた?、実際勢いがついたかは知らんがスフェーンらしい戦い方だ、

「やりますね、スフェーンさんですが、アクアシールド」

アクアシールド、水の盾を作り出す魔法、上手いこと防いだな、だが爆風が出たなスフェーンはそれに紛れて突進と、

「バラージ!」

「甘いですよ」

アクアシールド、再び爆風、ただし、今回はアクアシールドが破壊された時の爆風ではなく、

「アクアトラップだな、フロー」

スフェーンのHP4割減少、フローの勝ちと

「そこから見ててもわかるんですね」

「まぁな、視力には自信あるんだ、スフェーンは、無事か?」

「大丈夫、けどちょっと油断しちゃったなぁ」

「そう落ち込むな、ゆうてこれは模擬なんだからな、ちゃんとした戦闘ならもっと気を付けて貰わんといかんがな」

「うぅ」

「今日は後どうするんですか?」

「そうだな、できればステータスとかの情報交換ってとこだな、あと俺からも言いたいことあるし」

「なるほど、では僕からも言いたいことがあるんですが先話してもよろしいでしょうか?」

「構わない、スフェーンは?」

「私は特に話すことないからいいかな」

「じゃあ、パーティって知ってますか?」

「あれか?、rpgじゃよくある4人1組とかで組めるやつか?」

「そうですね、この前見つけたんですが、右上にある表示見てください」

フローの言った通りに右上を見る、そこには人のマークがついた小さい表示、1、2秒ほど見つめるとその表示が拡大され、パーティメンバー:無し パーティに追加、という2つの表示と8つの枠がある、

「これか?」

「はい、それですね、パーティに追加ってとこを押して見てください」

「わかった」

そこを選択すると、スフェーンとフローの名前が出てくる

「僕の名前を押してください」

フローの名前を押す、「フローをパーティに招待しますか?」と表示される、いいえとはい、はいの方を押し、フローを見る、フローにも何かウィンドウが表示され、おそらくだがフローは俺の招待を承諾した

「これでできたはずです、パーティメンバーのところをもう一度見てください」

見ると、空欄だったところにフローと表示された

「できてるな、スフェーンもした方がいいか?」

「一応しとこうかな」

俺はさっきと同じ手順でスフェーンを招待すると、スフェーンの名前が表示される

「これでどうなるんだ?」

「えーとですね、まず、パーティを組んだ人のHPが常にわかります」

確かに、左上の自分のHPバーの下にフローとスフェーンのものがある

「あるな」

「私もあるよ」

「なら次ですね、パーティを組むと、そのパーティで戦闘をした際に、落としたレコードを割ると、経験値が分配されます」

「!?」

「それっていちいち計算してレベルを合わせなくてもいいってこと?」

「そうなります、それだけではありません、パーティメンバーのHPは、距離が離れていたとしても見えます、お互いのHPがわかると言うことは、誰か1人のHPが減った時、その人が危険に晒されているということもわかります」

「、、、それは便利すぎやしないか?」

「正直言ってそう思います、ですが街は何度も襲撃を受け、いまだ復興中の地域もあります、

冒険者の数が増えているとはいえ、こんな状況では、使えるものは使っていきましょう」

「それもそうだな、」

「ロストは何の話だったの?」

「俺は大したことじゃないんだが、レベル以外でステータスを上げる方法を見つけた」

「どう言うことですか?」

「前に基礎体力ぐらいは上げておこうと思って筋トレしてたんだが、ふとステータスを見てら力のステータスが上がってたんだ、もしかしてと思ってジョギングしたり、魔法を毎日使ったりしてたらステータスが上がるみたいなんだ」

「詳しく言うと何をすれば何が上がるの?」

「まず筋トレだな、これで力が上がる、次に走り込めば素早さ、もし詳しくは体力が上がる、んでもってダメージを受ければ防御力と体力が上がる、最後が魔法を使うこと魔法を使えば魔力とMPが上がる、これぐらいだな」

「なるほど、なら、今度から僕たちもやったほうがいいかもしれませんね」

「、、、」

「どうかしましたか?」

「一つだけ問題がある、レベルで上がったステータスじゃ見た目は変わらないだろ?」

「うん」

「筋トレしてあげるステータスは見た目に影響するんだ、筋トレするとだんだんムキムキになっちまう」

「え?」

「それ、本当ですか?」

「そうだ、実際、最近筋肉がついてきている」

言われてみると、前会った時よりロストのガタイが少しだけ良くなった気がする

「、、、ムキムキになるのはちょっとやだな」

「それはそう、だから俺もほどほどにしとくつもりだ」

「僕もそうしますか、あとはなにかあるんですか?」

「あとは、あーそうだ、スフェーン、頼んでたナイフできたぞ」

スフェーンは病院で襲われた時に投げナイフのスキルを手に入れたんだが、投げナイフがないと使えないので作ってくれと頼まれていたのだ

「10本ある、だけど何か素材を使って作ったわけじゃないからほんとにただの投げナイフだ」

「わかった、んでもありがとね」

「気にするな、大したことじゃない、それに鍛冶スキルの熟練度も上がったしな」

「ならいいだけど、今日はもう解散?」

「そうだな、俺は今から予定あって渋谷行くからなぁ」

「わかりました、スフェーンさんはこのあと何か予定あるんですか」

「何もないけど」

「じゃあ僕も予定ないですし、帰りますか」

「それじゃまた今度、」

「じゃあね」


数十分後


渋谷には到着だな、改札を通り、駅の外に出る、しばらく歩いて前にある角を曲がればスクランブル交差点だ、

「ん?」

角を曲がるのをやめて即時装備をできるようにする、

敵の反応?、1体だけか?

向こうを覗き込む、いつも通り人がいるだけ、変わったところはない、これだけの人を冒険者以外から見てもわからない状態で敵がいると言って避難させられるとは思えない、どうしようか、上を見上げる、上空にも敵はいない、となると地下か、ポータルの先で敵がポータルを開こうとしているのを感知したかのどちらかだろう、敵が出現する地点は交差点のほぼど真ん中、いつでも装備して戦闘できるようにはしてある、あとはいつ来るかだな、

、、、2人チャラそうな冒険者が来た、敵の反応は示してないからあの反応の正体ではない

片方は曲刀、もう片方は銃を手にしている、銃使いは初めて見たが、あれはおそらく、初期装備の銃だろう

「おい!みんな!俺たちは冒険者だ!ここに敵がいる!早く逃げるんだ!」

一般人には敵の反応はわからない、案の定、ハッタリだのなんだの言って揉め出した、

嫌な予感がする、俺も装備をつけて腰のヒートブレイドを抜く、

「!?」

あの冒険者の真後ろに敵の反応が移動した、来るッ!、

走って急接近する、そのまま剣を水平に構えてパリィの体制に入る、敵反応!確実に姿を現した、人型のモンスターであることしかわからなかった、攻撃が来る、道路標識か何かを抜いて投げてくる

「スラッシュ!」

「ガシャンッ!」

パリィ成功、次の技に繋げるために構える、のと同時に違和感に気づく、標識が巨大化している?

「今のを弾いたか」

2本角が生えている、オーガと言うやつだろうか、初めて見たな、武装は棍棒、2人の冒険者はさっきの衝撃で攻撃を受けたことにやっと気づいたらしい、

「あんた誰だよ、お前も冒険者か?」

「あーそうだ、それより、レベルは?戦えるか?」

「レベルは2人とも5だ、もちろん戦えるぜ、そっちはどうなんだよ」

「レベル10、名前はロスト、名前ぐらい聞いたことあるだろ?」

名前を聞くと少し驚いたらしい、少し有名になったと聞いていたが思っていたより有名らしい

「あいつはたぶん固有スキル持ちだ、3人いても勝てるか怪しい、俺がなるべく時間を稼ぐ、片方でいいから残ってくれると助かるが、一般人を逃して冒険者を他に読んできてくれる方が助かる」

「わかったっす、冒険者呼んできます」

ほんとに有名らしいな、2人は行ったか、結局一人でやるしかないな、まあいいまた生き残ってみせる


「おしゃべりは終わったか?」

「ああ」

「お前、ロストと言ったな、今のを見ていてわかった聞いていたよりずっと強くなったらしいな」

シュンッ、

急接近、棍棒を振り上げてからの攻撃、

「こいつはどうかな?」

避けられない、

ドガン、


続く













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