第4話 病院の夜に
「うぅ、ここ、は?」
窓から差し込む日の光で、目が覚める、今は
昼だろうか、あれから、ヒバナと戦ってからどのくらい経つのだろうか、とりあえずわかるのは、ベットに横たわっていることと、体中がとてつもない筋肉痛になっていることだ
「あっ!スフェーンさん!ロスト起きましたよ!」
まだ意識は少し怪しいが、言葉はなんとか聞き取れる
「ロスト!よかった、HPは残ってるから、死んではないと思ったけど、心配で心配で、」
少しばかりスフェーンが涙目になっているが、そんなに心配だったのだろうか
「大丈夫だ、体中筋肉痛だけど、よいしょっと」
なんとかふらつきながらも立ち上がる
「動けないことはないからな」
「ならいいんだけど、」
まだスフェーンは俺のことが心配らしい、まぁわからなくもないが、当たりをみたところ、病院らしい
「ロスト、他に痛むところや違和感があるところはありませんか?」
筋肉痛で気づかなかったが数カ所違和感を感じる場所がある
「左手の二の腕と、右足と肋が少し変な気がするな」
「やっぱりそうですか、」
フローは何か心当たりがあるらしい
「その違和感がある箇所ですが、骨折していたところです、左手と右足それに加えて肋骨が2本なので、違和感がある場所と一致しています」
「えーとひとつ聞いてもいいか?」
「いいですけど」
「それって俺その状態で戦ってたのか?」
「まぁそうなりますね、正直言うとそれどころじゃないですが約1キロあるガントレットと、鉄製のブーツを装着、2キロ半の胸当て、そして両手に3キロの剣、その状態でレベル5倍差の相手と戦闘していました」
「、、、」
正直言って声も出ない、ステータスの補正がかかるだけでこんなにも強くなってしまうのか、という驚きと、これから先、さらに強くなっていくことを考えると恐ろしさも感じてしまう
「わかった、すまん、俺が無茶しすぎた」流石にここは謝っておかなくては
「今回は死ななかったのでよかったですが、死んだら元も子もないんですから、これからは気をつけてくださいね」
やっとスフェーンが不服そうな顔をしているのがわかった気がする
「これ、ロストの」
スフェーンが剣を差し出してくる、
「ありがと」
受け取り、ヒートブレイドは腰の鞘に刺して、リーフィーダースはストレージに戻しておく、
「ロスト、これもあげる」
次はポーションを差し出してくる
「ポーションはいいよ、まだ残ってるし、スフェーンもいるだろ?」
「違う、作った」
「作った?作れるのか?」
「そう、生産系のスキルにポーション作成があるから、それで作った」
なるほど、俺もスキル欄を開くと確かに存在する、ポーションだけでなく、鍛冶、木工、石工、料理、釣り、アーティファクトなどさまざまなものがある
「アーティファクトっていうのはなんだ?」
「アーティファクトは僕が取ったスキルですね、アーティファクトはゲームで言うアクセサリとかかですかね、ステータスを上げたり、特定の魔法やスキルを発動させるなどの効果があります」
「なるほど、今は作れるのか?」
フローがストレージから何か取り出す
「今はこれくらいですね」
それは少し尖った金属片に麻布を巻きゴブリンのつけていた羽のような装飾が付いている
「名前は蛮族の板金刀、といいます、効果は攻撃力上昇3です、まぁ一番最初に作れるものなのでこんなものですね」
確かに僅か3ほどしかステータスを上げられないが、無いよりはマシだろう
「ありがたく貰っておくよ」
「スフェーンさんもどうぞ」
「ありがとね」
スフェーンには渡したようだが、フローは何も持っていない
「フローは何もなしでいいのか?」
「僕は魔法メインなので、物理攻撃力をあげるこれはあまり意味がないですから、それに素材は他にも使い道はありますし」
「確かにそうだな、武器防具の作成にも作れるだろうしな」
スキルの欄を再び覗く、
「俺も何かとっておこうかな」
「いいんじゃないですか?」
会話をしながら、スキル欄から鍛冶スキルを習得する
「鍛冶取った、今は何も作れないけど、またそのうち作るよ」
「わかりました、楽しみにしておきます」
武具作成の欄を見るが、ゴブリンの装備でも作れない、スキルの説明を見る限り、まず木、石、金属、骨、などと言うもので武具を作り、そこにモンスターの素材を使用することでそのモンスターの能力を得た武器を作ることができるらしい、その他には道具を使って武器の手入れをすることで武器の耐久力回復できるってことぐらいだ、ついでにステータスの方も確認しておこう
レベル6
HP511 MP72 力97 素早さ114 防御78 魔力88
最初に比べるとだいぶ上がっている
「ロスト、僕たちはもう済ませましたが、警察の方から話があるらしいので行ってきてください」
そういえばそうだ、あれだけ派手にやって剣まで使って戦って、普通に法律違反だったからな
「わかった、行ってくる」
部屋を出て、外にいた人に案内されたところへ向かう
ーーーーー
数時間後
ーーーーー
「やっと、終わったな」
警察からは色々聞かれた、あの剣をどこで手に入れたのか、魔法はどのようなものなのか、身体能力は何故上がったのかなどとにかく色々と聞かれた
部屋に戻って扉をあける
「フロー、スフェーン、戻ったぞ」
名前を呼ぶが、そこには誰もいない代わりに置き手紙が置いてある
「手紙?」
ロストへ
私とフローは家族が来たので少し話をしてくるよ、すぐに帰って来れると思うから待っててね、眠いなら先に寝ててもいいよ
「なるほどな、武器の手入れでもしておくか」
武器スキル習得時にボーナスでもらえる手入れ道具である小型の研磨道具を取り出し、ヒートブレイドを研磨する
「家族か、俺にはいないからな」
そう、ロスト、失尾 剣には家族がいないのだ、彼は次の3月で16歳になるが、今も孤児院で暮らしている
「こんなこと考えても意味ないか、」
ヒートブレイドとリーフィーダースを研磨し終え、ストレージに収納する
「寝るか」
寝にくいので防具も外す、俺はベットに寝転がると、疲労のせいかすぐに寝てしまった
「ん?、、朝、か?」
物音が聞こえた気がして目が覚める、敵だったらまずいので装備を再び装着する
物音がした方を振り向こうとすふと一瞬の殺気を感じる
くるッーーーー
「ガンッ!」
鈍い金属音が鳴り響く、パリィは成功した
相手の武装は、ダガーナイフ一本、軽装にローブ、見た目はどちらかといえば人間のようだが肌の色が赤褐色で目が黄色だ、レベル差はそこまで無さそうだが、油断はできない
「あんたは何者だ?、戦わなくて済むならなるべく戦いたくないんだが」
「戦わなくて済むと言うことはない、私はお前たちを暗殺しに来たんだからな」
どうやら今回はヒバナの時のようにはいかないようだ
「フロー敵襲だ!起きろ!」
フローはあれだけの金属音が鳴ったと言うのに、まだ眠っている
「なんですか、ロスト」
「何度も言わせるな、敵!襲!だ!」
やっと目が覚めたのか、メガネをかけて杖を構える、
「わかりました、どうしますか?」
「とりあえずスフェーンを読んでこい」
「了解です」
フローは後ろに下がりながら部屋を出ようとするが、奴がフローにダガーを振り下ろそうとする
「させるかよッ!」
「クッ」
ヒートブレイドでダガーを弾く、さっきからあのダガーに違和感を感じるのだが何故だろうか、刀身は少し黄色みのある色で、片刃、色以外に特に変わったところはない
「あんた暗殺しにきたって言ったよな、そのダガー、毒でも塗ってるんじゃないか?」
、、、
「それに応える必要はない、ただ私は一撃でも攻撃を与えれば勝ちだ」
やはり毒か何か状態異常を付与する能力があると見て良さそうだ、警戒しなくては
盾を出して構える
「行くぞ、ストライクッ!」
マジックウェポンズで槍を飛ばす、奴はかわすが問題ない、
「フレアソード、からの打突斬」
一撃目、盾の突進による打撃、ニ激目、折り返してきた槍で後ろから刺突、三撃目、ヒートブレイドによる斬撃、
「結構やるだろ?」
「私は暗殺がメインなんだ、でも、まだ本気は出してないから」
ふたたび剣を構える
「なら、かかってこいよ」
奴が一歩踏み出す
「ソニックバイト!」
ダガーを横に向けて突進してくる、
「ガシャン!」
盾で弾く
「クロス!」
ヒートブレイドで振り下ろし、リーフィーダースを出してさらに横から切りつける
今の攻撃、速ずぎる、反応できたから良かったが、ほぼまぐれと言っていい、
バックステップで下がったか、
「ストライク」
もう一度突進してくる、さっきよりは遅いがそれでも速い
避け切れずダガーの刀身が体を擦り、ほんの少しだけHPを減少させる、
「ストライク!」
マジックウェポンズでスフェーンがいる隣部屋に向けてダガーを撃ち放つ、かわされたが壁を貫通していったので当たれば倒せていただろう
「勝った、」
奴の方に振り返る、次の瞬間、体が硬直し力が入らなくなり床に崩れ落ちる、右上のHPバーを見ると雷のマークが表示されている
「麻痺か」
「そう、麻痺、このダガーの名はパラライド・ナイフ、痺電鉄鋼(ひでんてっこう)と言う金属で作られている、その名の通り雷属性を持ち、触れた者を麻痺状態にさせる」
今ステータスの状態異常を確認したところ麻痺のレベルは1だが、少ししか動けない異常脅威には代わりない
「まぁそんな気はしてたな」
奴が一歩踏み出す
「何故だ?」
「まずその刀身の色だ、黄色というだけで雷属性ということはわかる、次にお前の発言だ、一度でも当てれば勝ちということは即時か、とてつもなく強い毒か、動きを止めるものかのどれかだと思った、そして前者の二つはなしだ、そんな物を俺と同等レベルの奴が使えるとは思えない、となると最後の動きを止めることができる状態異常、まぁ麻痺か眠り状態異常の属性と判断したってとこかな」
続けて奴は2歩踏み出す、そしてさっきダガーで穴を開けたすぐ横にくる
「まぁそんなことはどうでもいい、」
ナイフを俺の額に突きつける
「最後にアドバイスしてやる、周りはよく見ることだな」
壁の穴からダガーが飛び出し、奴の頭を貫く、そして奴は霧となり、レコードを残して消えてしまった
続く
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