第3話 火花散る決戦
「あたしの名前はヒバナ、わかってるかもしれないけどあたしは"向こうの世界"から来たんだ」
、、、彼女は赤い髪に赤い瞳、そして武装は体術を用いて戦闘するために使うガントレット、服装はいかにもファンタジーな世界の格好で、どう見ても俺たちとは違うとわかる点がある、耳が長い、ゲームで言うとエルフとかそんな感じの耳の形だ、それともう一つ髪と瞳の色だ、この世界では赤や青や黄色などと言った髪と瞳の色を持つものがいる実際のところ、俺は黒髪だが紫の瞳だし、フローは空色の髪に少し濃い青の瞳、スフェーンは少し緑みの強い黄緑の髪に、若草色の瞳と、黒髪黒目でないことは珍しくない、しかし彼女は両方とも鮮やかな赤だ、あんなに濃く鮮やかな色を持つものはほとんどいない、
「ロスト、どうしますか?」
「今考えている、少し待ってくれ」
向こうの世界、と言うのはおそらくあのゴブリンとかリザードマンが来た世界のことだろうか、となるとやつがあいつらを連れてきたのか?、それともあいつらとは敵対関係でこちらと協力したいとかで交渉にでもしにきたのか?、わからないが、もし敵だった場合勝てる気がしない、
「相手は今のところこちらに友好的と見て良いはず、となれば今はこちらも敵対的な意思は見せないでおこう」
「わかりました」
とは言ったものどうするか
「そっちは今レベルどれくらい?たぶん全員5、6レベルぐらいだと思うんだけど」
当てられてる、、
「まぁそうだな、俺たちは全員レベル6だ」
「へぇ〜この短期間、おそらく1時間程度しか経ってないのにもうそんなになったんだ?」
「疑ってるのか?」
「そんなつもりじゃないんだけど、できれば君達の中から1人でも良いから、力量を把握しておきたいんだ」
「力量か、そんなものレベル差ではっきりわかるだろ?」
相手のレベルがどれくらいかはわからないが流石に二桁は行っているだろう
「言い方が悪かったかな、力量、と言うより技量の方かな?」
「技量か、」
「そう、冒険者が戦闘する時は単純なレベル差で勝敗が決まる時もあるけど、それを駆け引きやスキルの使い方、属性の相性で覆せることもある、だから私はそれを知っておきたい」
確かにこいつの言っていることは正しいかもしれない、実際あのリザードマンとかは俺やフローよりもレベルは上だっただろう、だがフローの水魔法で遠距離から攻撃し、フローは有利に戦っていた、俺も勝ったわけではないが、かなりのダメージを与えていた、となるとレベルなどのステータスだけでなく、技量が勝敗に関係してくると言うのも頷ける
「いいだろう、それでどうやって俺たちの技量を確かめるんだ?」
「別に全員じゃなくて良いから、誰か1人あたしとサシでやってほしいんだ」
サシでやり合うか、1体1なら誰が出るべきか
「ロスト、僕が出ますよ」
「ちょっと待て」
「わかりました」
、、、
「ヒバナ、そっちはレベルいくつなんだ?」
少し黙る
「レベル30だけど、流石に手加減はするよ」
30か、きついな
「フロー、悪いけどあんたじゃきついかもしれない」
「なんでですか?」
「レベルがリザードマンの時みたいに少ししか離れていないのなら距離を取りながらちまちまやれば勝てるかもしれんが、相手はレベル30、俺たちの5倍のレベルだ、懐に潜り込まれたら数発で終わりだ」
「確かにそうですね、」
「じゃあ私が出ようか?」
「いやー絶妙なんだよなあ」
「うーん、まぁ俺が出るか、」
なんかそうなる気がしていたが、仲間の命を危険に晒したくわないしな
「危ないよ、ロスト」
「そうですよ、相手はレベル30なんですから」
「大丈夫だ、俺は死なない、ゆーてこれは模擬だ、俺も全力で行くし、危なかったら、2人が助けに来てくれるだろ?」
「そうだけど、」
「それに俺の命はとっくの昔に、失われているはずなんだからよ」
「それっていったい、」
「おっと今は聞かないでくれ、せっかく
、、、
「わかりました、今はロストを信じます」
「あぁ、ありがとよ、それじゃあとは下がってろ」
ロストは僕にそう言うと、地面に突き刺せしていたリーフィーダースを抜き、右手でヒートブレイドを構え、魔法を唱えました
「フレアソード!」
「決まった?」
「あぁ決まったさ!」
ガン!
ヒートブレイドをヒバナの拳に打ち付ける
「言っておくが俺は相手が女だからとかの理由で手加減したりしねえからな、一騎打ちは正々堂々、本気でやるのが俺のやり方なんでね」
ほんとは本気出さないとやばいからだけど、
「それならよかった、それくらいの覚悟がないとこれからやってけないからね」
今回俺の武装は二刀流、さっきダガーでコツは掴んだが、片手剣じゃ大きさも違うから難しいだろうな
リーフィーダースからツタを出し、腕に巻き付ける
「動けないだろ?」
「どうだろ」
一瞬、焦げ臭い匂いがした、そう思った直後ヒバナの拳から炎が現れ、ツタを焼き尽くす
「私の固有スキル、火牙の拳(ひがのこぶし)炎を出してそれを操る、単純な能力だけど、意外と使えるんだよ〜」
また相性悪い感じか、それに固有スキルとなると普通の魔法よりも威力が高いだろうさっき取った魔法を使うか
「アイスレーザー、」
氷が線となって飛び、数回攻撃を放つ
フローが使っていたアクアレーザーの氷版、氷属性である以上炎を完全に防ぐことはできないがまぁ牽制とかには使えるだろう、
ヒバナはアイスレーザをガントレットで受け止める
「魔法もなかなか悪くないね」
「そりゃどうも」
もう一度突っ込んでヒートブレイドを叩きつける、それからさらに力を込めて前方に宙返りしながらリーフィーダースを体に寄せ突き出す
「ストライク!」
案の定防がれたが構わない、着地と同時に突っ込む
今なら両腕とも反動のせいで少し隙ができている、
「喰らえ!ブレイブ!」
命中、ダメージは与えれただが、
「やっと一撃か」
「休んでる暇なんかないよ」
「!?」
ヒバナが拳を床につける
「バーンフロア」
床が一瞬にして燃え上がり、足の踏み場さえなくなってしまう、幸いヒバナから正面に向けての攻撃だったので横に走ってダメージは抑えたが今のだけでHPが2割近く減ってしまった
「ヒール」
回復はしたが、連戦だったからか疲労感だけが体に残る
「判断力もあり、と」
「ふざけてるのか?」
さっきから何やら俺のことを記録している
「ふざけてるわけじゃないよ、言ったでしょ?試すって」
「そう言うことかよ」
「まぁそろそろ、こっちもちゃんとやろうかな」
今度は向こうから突進してくる
速いッーーーー!
左からのアッパー、咄嗟に左手の剣を逆手に持ち替えて防ぐ、重いッ
打撃と炎での攻撃、HPがじわじわと減っていくこのままじゃ防戦一歩だ、少しでも隙を作らなくては
「ダーク!」
黒い球が現れ、地面に叩きつけられる、そしてその球が爆発するように広がり、辺りを闇に包む、そしてそれと同時にフレアソードを解除し、左手の剣を突き出す
ダークは一瞬あたりを暗くするだけの魔法、直撃は避けたからダメージはないはず、そして左手の剣で攻撃してきているが、また燃やせば問題ないッ!
「また燃やし尽くしてやるよ!」
拳から放たれた炎を剣が受け止め、闇が晴れる、
「かかったな、ヒバナ」
炎を受け止めたのはリーフィーダースではなく、ヒートブレイドだった
「どういうことよ?」
「すり替えておいたんだよダークを使った瞬間、右手と左手の剣をなぁ!ストライク!」
リーフィーダースから生えた触手と剣本体が同時にストライクを放ち、ヒバナを弾き飛ばす、
「やるね、ほんと」
「ありがとよ、でもまだまだやらせてもらうからな、ダーク!」
再び闇に包み込まれる
「同じ手には引っかからないよ!」
「どうかな、アイスレーザー!」
暗闇の中、氷が槍となり、飛んでゆき、頬を掠める
「クッ、」
「形勢逆転ってとこか?」
ヒバナにも疲れが見え始めている
「そんなことないよ、ていうかそろそろMP、無くなってきたんじゃない?」
HPバーのすぐ下にあるMPバーを見るともうほとんど残っていない、
「どうだろうな?」
正直言ってもう負けな気がするが、一応ハッタリを言っておく、魔法が使えない以上、スキルで応戦するしかないが、今使えるスキルを確認するためにスキルの欄を開く、ストライク、スラッシュ、クロー、ブレイブ、ターンスラッシュ、クロス、それと固有スキル、マジック・ウェポンズ習得可能?
そういえば最初にスキルの欄の時レベル5で固有スキルを習得できると書いてあったがこれのことだろうか、とりあえず習得しておく
「固有スキルマジック・ウェポンズを習得しました、打突斬、サン・バイト、ソーサリー・ナイツを習得しました」
あとはどうやって使うかだな
試しにスキルを使ってみるか
ヒバナに接近していく
「まだ何かする気?」
「そうだな、サン・バイト!」
スキルを唱える、それと同時に目の前に始まりの剣、それに同じく始まりの刀、サーベルが現れ下から切り上げで3連撃を放ち、これはヒバナも予想がいだったのか防ぎきれなかった、そしてやはりこのスキルは他のスキルと違うらしい、まずこの今手で持っている剣で発動せず、インベントリから剣を出して攻撃したこと、二つ目は複数の武器を使用したこと、そして3つ目は武器が浮いていること
マジックウェポンズの説明欄を見ると、武器を操る能力、としか記されていない
操るってのはどういうことだろうか、とりあえず目の前に浮いている始まりの剣が左から右に振るうようにイメージしてみる、するとその剣がイメージ通り動く
「そう言うことか、」
ヒバナがかなり驚いた顔をしている
「ねぇ君、ロストって言ったよね」
「ああ、そうだ」
「本当にレベル6?」
「そうだ、それがどうかしたか?」
今ロストが使ったのは固有スキル、本当にレベル6なら、一桁台のレベルで固有スキルを習得したと言うこと、本来ならレベル20から10の間に習得できるだけでもすごいのにどうなっているのだろうか
「まぁいいわ、まだやれるんでしょ?」
「もちろん、やらせてもらう」
俺は今持っている二刀流に加え、3本片手直剣、サーベル、刀を操っている
「それじゃ仕切り直しと行こうか」
地面を蹴り、接近する、続けて刀を操ってぶつける、ヒバナも同時に炎で応戦する、だがその間に始まりの剣を足場にして上に飛ぶ、そして槍を出して下にむけ
「ストライクッ!」
着地、だがヒバナは放たれた槍を弾き、俺の方に飛ばしてくる
マジックウェポンズで受け止めた
「バーンレイ!」
炎の光線がまっすぐこちらに向けて飛んでくる、盾を出して防御
「やるね」
「そっちこそ」
続けてスキルを繰り出す、
「打突斬!」
こちらも3連撃、一撃目でメイスで叩き、二撃目で槍がつき、3撃目で剣で切る
「フレイムヴォルテックス!」
火の渦が攻撃を巻き込む、
一度バク宙して距離を取る
「ねぇ君、一つ聞いていいかな、なんでそんなに傷だらけになり無数の火傷を負い、それでもなぜ君はその剣を握っていられるの?」
、、、
「正直言って俺にもわからない、俺は今日初めて剣を握ったし、ましてや命を賭けて戦うなんてことができてることに驚いている、でもよ、こんなにもHPが減り、死に近づいていると言うのに、剣を握る力を緩められない、この瞬間が楽しくて楽しくて仕方ない、でもだからって無意義に誰か、少なくとも俺とまともに話せるような奴の命は奪ったりしない、まぁ俺の仲間に手出す奴は許さないが、今言えるのはそれだけだ」
「そう、なら君とは仲良くできそうだね、次で決めるよ」
「わかった」
念の為ポーションを1瓶取り出し、飲み干す
「今俺の出せる最高火力見せてやるよ」
詠唱スキル、ソーサリーナイツ、強力なスキルであるため詠唱を必要とするが、その技は絶大な威力を誇る
「武器を手にした数多の騎士よ、平穏を守りし数多の騎士よ、その想いは永遠に、永久に、新たな世代へと引き継がれ続ける、そしてその想いは、新たな剣士に力を与える!
ソーサリー・ナイツ!」
自分でも感知できないほどの斬撃、俺のインベントリに入っていたすべての武器が猛攻を放ち、ダメージを刻んでいく
「こりゃきついね、でも、フレア・エンド」
豪炎と斬撃がぶつかり相殺される、俺は最高火力を放ったのに、ヒバナは固有スキルだったが詠唱なしのスキルで相殺した
「流石に5倍差のレベルは覆せないな」
もう立っていられないくらい、体が重い、俺の負けかな
「今の技、良かったよ」
ヒバナももう戦う気がないのか、炎を出すのをやめ、拳を下げている
「なら良かったんだがな」
ヒバナが一つ、何か巻物のようなものをこちらに投げる
「これは魔法の使い方が書いてあるんだけど、3人とも15レベルになったら、この魔法を使って欲しい」
罠な気もするが、それはレベル15になってから決めよう
「わかった」
剣を突き立て、体勢を保つ
「それじゃあたしは帰るからまた今度」
そういう時ヒバナはポータルを出して消えていった、そして気が緩んだ俺は体勢を保てなくなり、気づけば俺は意識を失っていた
続く
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