第2話 異界からの使者
そこにいたのはもう1人の俺の親友だった
「全く、剣はいつも無茶しすぎですよ」
「水野、お前も、」
水野 真守(みずの まもる)、俺の親友で、成績は良く、人柄も良く、絵に描いたような優等生、そんな彼が、なぜ今ここで戦っているのかはなんとなく想像できる、それでも意外だとは思うが
「喋らなくても大丈夫です、それと今は僕のことフローって呼んでください、」
黙って頷く
「ヒール」
傷が癒えていくのがわかる、回復魔法か、 彼は剣や槍ではなく、杖を持っている
「魔法メインのステータスか?」
「まぁそうです、攻撃魔法も使えるのであとは任せてください」
「あぁ、あと俺の名前はロストだ、あっちで戦ってるのはスフェーンだ」
「わかりました」
フローは再び杖の先端を奴に向ける
「アクアレーザー」
さっきの水魔法、連打している、早いな、みたところあれはただ単に属性を放つだけの魔法じゃない、あれはさっきスキルツリーの欄にあった、斬属性のカッター、打属性のボール、突属性のレーザー、そのうち水魔法のアクアに突属性を付与した魔法だろう
リザードマンが霧となって消える
「終わりましたよ」
「スフェーンの方は?」
「終わったようですが、ダメージがあるようなので回復させてきますね」
「そうでした、そこのレコードと剣、使ってもいいですよ」
「いいのか?」
落としたのはレコードと素材だけかと思ったがもう一つ、リザードマンが持っていたサーベルが床に刺さっている
「僕はレベル4です、ロストはどれくらいですか?」
「2だ」
「なら大丈夫です、そこの剣も僕は使わないので差し上げます」
「ありがとう」
疲労感があるが、なんとか立ち上がる
レコードを拾って砕く、
習得 クロス
「やっぱこのスキルか、武器の方はどうだ?」
ヒートブレイド
属性:火 武器種:サーベル
火属性のリザードマンによく使用されるサーベル、等身は黒く、ところどころ赤い模様があり、みたことのない字のようなものが刻んである、
特性:ヒートブレイドに対してはフレアソードをMPを使用せずに使える
「これくらいだな、レベルはフローと同じになったし、スキルも見とくか」
「スキルは、正直言って今あるので充分だし、魔法は回復とるとして、あとはカッターとかその辺か、んじゃカッター取って、これで取れるようになったフレアカッターも取って、あとはランスもとっとくか、これでよしと」
「ロスト!大丈夫?」
スフェーンがこちらに向かってくる
「まぁな、そっちこそ大丈夫か?」
「レベル上がったから怪我も治ったよ」
「これで3人ともレベル4です」
「もう敵はいないか?」
辺りを見回す、カーソルは見えない
「向こう側の校舎に数体敵がいます」
「カーソルは無かったはずだが、なんでわかるんだ?」
「私にも見えないけど」
「索敵のスキルを取ってみたんです、少し遠くでも敵がいるかわかります」
「なるほど」
索敵系は今は必要ないと俺は取っていなかったが、取っているなら敵がいるかわかるのも納得できる
「じゃあ早く行こう、誰か襲われてたらまずいし」
「そうだな」
一応渡り廊下を覗き込む、敵はいない、カーソルの表示もなし、しばらく進み、渡り廊下の4分の1程度進んだところでフローが言ったところにカーソルが表示される
「念の為に聞くが、さっき言ってたのはあれであってるか?」
「はい、あってます」
カーソルは3つ、どんなやつかはわからないが、上下に移動しているのが見えるため、壁を移動できるやつかもしれない
「ねぇロスト、」
「なんだ?」
「悲鳴が聞こえる」
言われてみると、微かに声が聞こえる
「行くぞ!」
向こう側の廊下に飛び出す、男子生徒が1人、足と他のところも怪我をしている、敵は3体、虫系のモンスター、サソリ型で名前はケイブ・スコーピオン、
「フロー!そいつの治療を頼む!」
「わかりました!」
これであの人は大丈夫だろう、スフェーンの方は、
「虫いやだ虫いやだ虫いやだ虫いやだ虫いやだ虫いやだ虫いやだ虫いやだ虫いやだ虫いやだ虫いやだいやぁぁぁぁあ!くるなぁ!」
そういえば虫嫌いだったな、1体引き付けてくれてるけど、大丈夫だよな、んじゃとりあえずスフェーンが引き付けているから実質残りは2体、試してみるか、
「フレアソード」
右手のヒートブレイドに炎が灯る、
「こりゃいいな」
前からほぼ同時に突進してくるか、まず右前のやつに切り込み、後退させる続けて左前のやつは蹴りを入れ、同じく距離を取る
天井から何やら液体が降り注ぐ、天井からというより天井に当たったのが落ちてきた感じだ
「水か?」
「ロスト!雷です!サンダーを使ってください!」
感電させるってことか
「サンダー!」
雷が水を伝いケイブ・スコーピオンにダメージを与える、そして霧となって消える
「ナーイス!フロー!」
フローとハイタッチをかわす
「いい連携でしたよ、ロスト」
スフェーンも終わったかな、
「オラ!オラ!オラ!死ねえ!」
槍をサソリに叩きつけている
「はぁはぁはぁはぁはぁ」
「倒したな」
レコードを割ったけどレベルは上がらず、少し足りなかったか
「大丈夫か?スフェーン」
「大丈夫なわけあるか!」
「そうか」
「流すな!」
「つーか、そもそもなんで虫嫌いなんだ?」
「見た目とか、あとはそのーカサカサしてる感じとか」
「カサカサ、ですか、」
「黙れよ」
「まぁそんなことより外見てください」
外には避難した生徒と、警察が数人、あとは消化活動中の消防士の声が聞こえる
「どうする?外出るか?」
「もう敵は全部たおしたので外に出ても大丈夫ですが」
「捕まったりしないよね、」
、、、
「たぶん、大丈夫だと思う」
1回に降りて、外の様子を伺う、
「ロスト、」
「どうかしたか?」
少し下がって話を聞く、
「外に敵の反応があります、ここからでも目視できます」
「どこだ?」
もう一度外をみる
「反応は運動場の奥です、だんだん大きくなっていってます」
「見えたぞ、あれだな」
奥にいかにもって感じの禍々しいポータル?のような物が見える、そしてそこから触手?が出てきている
「フロー、みんなを校舎側に避難させれるか?」
「時間を稼いでくれればできます」
「なら俺が先に行く、スフェーン!お前も来れそうだったらついてこい!」
「わ、わかった」
とりあえずポータルに向けて一直線に駆け出す
「全員下がって!校舎側に避難しろ!」
あとは時間を稼ぐだけ、ポータルからはさっきの触手だけでなく、巨大なハエトリグサが生えた、おそらく胴体になる場所も出てきている、続けて他のやつとは少し見た目の違う奴が出てくるハエトリグサは2本に増え、その間に花が咲き、真ん中に目玉がある
「たぶんあいつがボスだな」
名前は、グラサー・フラワー、他のやつはグラサー・ビーナーか、ざっと見た感じ数は12体ほど、
「多いな、でも、やるしかないか」
剣を構え、呪文を唱える
「フレアソード」
剣に炎を灯す
「行くぞ!!」
突進する、触手の数が多い、本体の移動速度は遅いが触手で遠くから攻撃してくる、
「クロス!からのストライクッ!」
薙ぎ払う、いける、今の俺でもスキルを上手く使い、判断を間違えなければ今の俺でも通用するッ!
「フレアカッター!」
真っ直ぐに飛ばされた炎の刃が道を切り開く
地面を蹴り、進む、そして一瞬後ろを振り返る、スフェーンは雑魚をやってくれているようだ、なら俺は
「ボスを叩く、あと3歩」
ストライクはまだクールダウン中なら魔法で
「フレアッ!」
命中した、火力は抑えたし威力はそこまで期待していなかったが、牽制するぐらいの気持ちだったので、まぁ問題はない
もうこの距離なら攻撃は届く、
「ストライク!」
さっき火の玉が当たり、まだ燃えているところに剣を差し込む、そして引き抜く、
「来るッ」
右から触手での攻撃、飛んでかわす、そして左からもう一度来るが、剣で切り落とす、違和感がある触手もそうだが、さっき本体に与えた傷、もう火が止まり傷口が塞がりつつある
「再生能力があるのか、1人だときついな」
スフェーンは戦闘中、フローもスフェーンのサポートで忙しい、俺があいつらを手伝いに行っても、、いやこいつのヘイトがスフェーン達に向くとまずいか、結局ゴリ押し、いや弱点を見つければいけるだろうか、弱点になりそうな場所といえば花に付いてる目だな、問題があるとすれば普通に攻撃しても届かないってことだな
「ほッ、スラッシュ!」
やはり届かない、ジャンプしていっても胴体の上の方までしか届かない
右から攻撃、
「グッ」
剣で弾いたけど、また来るッ!
今度はしたから、下から?やってみるか
跳躍、真下に触手がある状態で空中に出る、そして来たッ!下から攻撃してきた触手を踏み台にしもう一度跳躍!これなら届く!!
「クロス!」
直撃、
「もろに入った!」
怯んでるみたいだな、かなり暴れている、やみくもに攻撃してくるから動きが読めない、でも今のうちに叩いておけば、勝てる可能性もあるッ!
「スラッシュ!」
触手を切り落とす
、、、
再生が止まっている
「目をつぶすと再生が止まるのか?」
正直行ってわからないが、再生が止まってくれるならなんでもいい、
「今のうちに魔法でも、フレア!」
触手をまとめて焼き払う
「これで攻撃手段はほぼないな」
続けて前に踏み出し、本体を攻撃する
「クロスはまだ使えないか、ならブレイブ!
スラッシュ!」
ブレイブとスラッシュで、反動は大きいが擬似的にクロスを再現する
「クルータイム終了!もう一発クロス!」
さっき入れた傷口にさらにダメージを与える
「そして、ストライク!からのサンダー!」
最大出力、今使えるだけのmpを注ぎ込んだ魔法攻撃、初級魔法といえど傷口から電流を流され、燃やされば相当なダメージだろう
剣を引き抜く、
「あとは通常攻撃で、削り切るッ!」
手応えが少なくなってきた、再生が始まった?触手を見ると再び生えてきている
「まずいな」
もう一度触手を足場にして目を狙うか?mpはもうはほぼない、魔法を使おうにも自然回復もするが時間がかかる、どうしたものか
「ウィンドノヴァ!」
暴風が触手を切り裂く
「スフェーン!!」
助けに来てくれたか、
「僕もいますよ、ロスト」
「助かった、フローやつの目を狙えるか?」
「狙えますけど、なんでですか?」
「こいつは再生能力を持っている、目を破壊すれば、一時的だが体の再生を止められる」
「そう言うことですか、わかりました狙ってみます、でも触手が邪魔なのでどうにかできますか?」
「そうだな、スフェーン!」
「何!?」
「さっきの魔法で触手を薙ぎ払えるか?」
「できるけど、大まかにしかできないよ」
「それで構わない、細かいところは俺がやる」
ストレージからダガーナイフを出し、左手で逆手に持つ
「作戦は決まりましたね」
「じゃあ行くよ!ウィンドノヴァ!」
もう一度暴風が触手を切り裂く
そして数本残った触手をダガーとサーベルで処理する
「フロー!頼む!」
「わかってますよ!アクアレーザー!」
目の破壊完了、
「あとは全力で叩くぞ!」
「了解!」
さっきは1人だったが、今は3人、一気に押せば勝てる、
斬撃、刺突、魔法で攻撃を続ける
「クロス!」
、、、
「ねぇロスト、なんかコイツ今ちょっと膨張した気がする」
「どう言うことだ?」
上を見る、やつの頭上に何か表示されている
「フロー、あれなんて書いてあるか見えるか?」
「うーん、"自爆"、5、4」
「ちょっ待って自爆!?離れろッ!!」
爆散、
「ぶねぇ、めちゃくちゃするな、」
さっきまであのモンスターがいたところにはレコードと、また武器が一つ落ちている、
「倒したってことでいいよな?」
「レコードも落としましたし、たぶん大丈夫でしょう」
「ならいいんだが、」
とりあえず落ちている剣を拾い上げ、能力を確認する
リーフィー・ダース
武器種:片刃剣
属性:草
名前にダースとついている通り、軸になっている棒に12本のツタとそれに生えている葉で構成されている、特殊効果としてそれらのツタを分解して攻撃することも可能、切れ味はそこまで良くないが、おかげで打属性のダメージを与えることができる
「今はこんなところだな、レコードの方は、再生レベル1だな」
効果:体力を持続的に回復できる
「レベルは、3人で分配してもレベル6まで上がったな、スキルも見ておこう」
直後パチ、パチ、パチ、と拍手の音が鳴り響く
俺は咄嗟に、2つ新しい魔法を取り、音の方を向く、
「誰だ!!」
そこにいたのは、1人の女性、赤髪で武装はガントレット、ゲームで言うと拳闘士とか武道家の部類だろう、
彼女が口を開く
「こっちの人たちは、みんな魔法もスキルも使えないって聞いてたんだけど、結構やるじゃん、ああそうだ、自己紹介がまだだったね、あたしの名前はヒバナ、わかってるかもしれないけど、"向こうの世界"から来たんだ」
続く
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