第5話:お願いだから帰らないで。

晋平に処女を奪われたルシアンはここになにしに来たんだろうって悩んだ。

ルシアンを自分のものにした晋平はちょっと自己嫌悪に落ちいっていた。

欲望のままに天使とやっちゃって・・・まじ、よかったのかなって。


でも、もうやっちゃったことは白紙には戻せない。

ルシアンは自分に与えられた使命を無視して天界に帰ろうと思って晋平に申告した。


「天界に帰るって?・・・」


そしたらいきなり晋平に土下座されてお願いされた。


「頼むから・・・ここにいてくれ・・・いや、いてください、お願い」

「天界に帰らないでよ・・・俺が悪かったから」


「今更、謝ってもらっても遅いです」

「ルシアンに天界に帰られちゃったら俺絶対堕落した人間になっちゃうよ」

「君がいない世界で俺が生きてたって意味ないし・・・もう生ける屍だよ」


「そんなこと・・・なに?私に依存しちゃってるの?晋平」


「だって愛してるんだもん」


「それいつから?」


「最初に出会ったときに、ビビッと来てた・・・でも気持ちを悟られたくなくて

チャラい俺を演じてたけど、ルーシーを抱いたとき確信したんだ」


「俺、ルーシーを愛してるんだって」

「だから・・・お願いだよ・・・天界に帰らないでよ」

「ずっと俺のそばにいてよ」


晋平は神に祈るようにルシインに手を合わせた。


ルシアンは迷った・・・自分を傷つけた晋平のことは許せなかったけど

土下座して謝る晋平を見て心が揺れた・・・実はルシアンも晋平のことを憎からず思っていたからだ。


「もう、しょうがないわね・・・じゃ〜しばらくいることにします」

「とりあえずしばらくですよ、いい?」


「まじで?・・・ありがとう」


「だけど、もう無理矢理はやめてくださいね・・・もししたいって思ったら

前もって言ってください・・・今度また無理やりしようとしたら本当に天界に

帰りますからね」


「うん、分かった・・・もうしない・・・妄想だけにする」


ってことでルシアンは改めて村本家で暮らすことになった。

そうなると天使と言えど地上に降りてきたかぎりは人間の女の子と同じ。

女の子ひとりぶんの生活必需品は揃えないといけない。


晋平はそのことに気づいて、ちょっとため息をついた。

なんでかって言うと頑張ってバイトで稼いだ金をルシアンの生活必需品のために

飛んでいってしまうからだ。


ルシアンにここにいてくれってお願いした以上、ちゃんとしてやらないと・・・。

金銭的なことは良平と恵里奈には頼れない。


まあ、とりあえず服は自分のを着せとけばいいだろう・・・けど・・・

晋平はもっとも肝心なことに気づいた。


「そうだ、ルーシーの下着・・・どうしよう?」

「俺が直接買いに行ったって女物のパンツなんかレジに持って行ったら絶対

変態よばわりされるし・・・めちゃカッコ悪いし・・・だったらネットで

買うって手があるな」

「そうだ・・・ここは恵里奈に頼もう」

「ルーシーを連れてブラとパンツを買いに行ってもらおう」


と思って恵里奈に相談したらルシアンのことは、あの子の処女を奪ったあんたが

が全面的に面倒みることって言われた。


だからしかたなくネットでブラとパンツを買うことにした。


「たしかに恵里奈の言った通り、ルーシーを奪っちゃった男として責任を果たさなきゃな」


まだそう思える晋平は心までは腐ってなかったってことかな。


天使がなんて言ってた時は絵空事みたいだったけど、ここに来て一気に現実味を

帯びてきた。

で、ネットで注文したパンツは二三日して村本家に届けられた。


つづく。

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