第3話:俺の妹かよ。

ってなことで、ルシアンは結句ビジホには泊まらず 晋平の家に泊めてもらう

ことになった。


で、大変だったのが晋平・・・ルシアンに偉そうなことを言ったが、両親に

ルシアンのことを信じさせなきゃいけないこと忘れていた。


「ルーシー、そこでちょっと待ってな」


「なんか暗い廊下・・・空気が淀んでるよ、風水で見てもらったほうがいい

んじゃないですか?」


「天使が風水なんか知ってんのかよ?」

「余計なことはいいから俺が呼ぶまでそこでじっとしてろよ」


晋平は玄関先の廊下のルシアンを置いて両親がいるリビングに入って行った。


親父の名前は表札にあったとおり「良平りょうへい」仕事が一番の馬車馬

みたいな男。

もう種馬として活躍することも少なくなったが、それでも時々は嫁のために

疾走しなきゃいけない夜もあった。


その嫁、晋平の母親の名前は「恵里奈えりな」歳のわりに若い、油の乗りきった

熟女・・。今が女として一番感度良好な歳。

良平が徐々に衰えて行く反面、恵里奈はますます性欲旺盛なって行く。


そのふたり、テレビを観てバカ笑いしていた。


「あの・・・良平・・・恵里奈、ちょっといいか?」


晋平は両親のことを普段から名前で呼んでいる。

で、晋平に声をかけられた良平と恵里奈は同時に晋平のほうを振り向いた。


「あ、お帰り晋平・・・」


恵里奈が行った。


「なに?・・・なんか用?」


「お〜い・・・ルーシーちょっとこっちへ・・・」

「わ、びっくりした・・・え?おまえな〜なんで呼ぶまで廊下にいないんだよ」


ルシアンは晋平の斜め後ろにいた。


「どっちみち出て来なきゃいけないでしょ?」


「晋平・・・その俺好みの可愛いロリータは誰だ?」


ルシアンを見た良平が言った。


「ロリータじゃないわ・・・失礼な・・・バカ親父」


「あんた、どこでその子拾ってきたのよ」


「拾って来たわけじゃないよ・・・いきなり現れたんだよ」


「またバカなこと言って・・・あんたは小さい時から作り話しばかりして

私らを困らせてたでしょうが・・・」

「よりによって、その子を連れ込んでどうしようってのよ、淫行息子」


「淫行息子はないよな・・・まあ外れてもないけど・・・」

「つうか、なこと言ってたら話がぜんぜん進まないからさ・・・」

「どうでもいいことは後回しにして、とりあえず紹介しとくわ」

「この子、天使のルシアン」


「は?・・・今、なんて言った?・・まさかのてんしって言った?」


「そうだよ正真正銘、天使なんだって」

「俺を女にモテるいい男にするために遠い空の果てから降りて来たんだと」


「よろしくお願いします、ルシアンです」

「晋平の言ったとおりだけど、一個だけ違うのは晋平をモテるいい男にするため

に来たわけじゃありませんから」

「私、神様の使命を受けてボンクラの晋平をまともな人間にするために来たんです」


「なに?そうなの?・・・そんな話聞いたら私たちも協力するしかないわよね」

「ね、お父さん?」


「そうだな・・・晋平のボンクラな性格を直してくれるんならな」

「それにまあ、この子は晋平に妹ができたって思やぁ丸く収まるんじゃねえか?」


「お父さん頭いいわ」


「良平と恵里奈の脳みその出来なんて俺からしたら目くそ鼻くそだけどな・・・」


ルシアンは勝手に、いいかげんな良平によって晋平の妹にされてしまった。


根っから単純な良平と恵里奈は迷うこともなくルシアンを受け入れた。

つうか、ただ面倒くさかっただけだった。

ルシアンが肝心の天使だってことは完全に無視されていた。


なわけでルシアンは村本家で暮らすことになった。


つづく。

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