第2話:俺さ、基本可愛い子に目がないから。

「俺に何か用?・・・おネエちゃん・・・じゃなかった・・・え〜と」

「君・・・名前は?」


「えと、ルシアン・・・ルシアン・ローレットて言います」


「よろしくねルシアンちゃん・・・ルーシーちゃんかな」


「あのね、今から私いろいろ話しますけど絶対驚かないでくださいね」


「わっうそ?・・・まじで?」


「まだ早いですっ!!・・・今からしゃべるの・・・もう真面目にやって

ください!!」


「冗談ですって・・・で?どんな素敵な話してくれるの?」


そこでルシアンは天界で神様からの指示で、ボンクラを更生させるため地上に

降りて来たことを晋平に話した。


「なに?ボンクラって?」


「信じられないかもしれないけど受け入れてくださいね、ボンクラ、できそくれ」


「口の悪い天使だな」

「たしかに俺はボンクラでできそくれかもしれないけど、直、言われると、この

か弱い胸につき刺さるんですけど・・」


「いい?信じられなくても信じてください」


「要するにルーシーちゃんは俺にご奉仕するために来たんだよね」


「ご奉仕って・・・そうなるんですかね?」


「分かったよ、信じるよ・・・でも俺が信じるその根拠はなんだと思う?」


「こ、根拠・・・根拠ってなんですか?」


「君が天使だってことと俺をモテるいい男にするために、わざわざ俺んちを

訪ねて来たってことの理由だよ」


「え?なに、その理由って」


「君が超可愛かったから・・・それが理由・・・理由としては充分だよね」

「俺さ・・・基本可愛い子に目がないから・・・」

「だからさ、手っ取り早く済ませようよ」


「え?なにを?」


「話のとおりルーシーちゃんが僕をいい男にするために来たってことは早い話、

俺んちに居座ろうって魂胆だよね」


「魂胆ってなに?魂胆って・・・あなた本当に根性まで腐ってません?」

「その根性たたき直すためにルーシーちゃんが来たんだろ?」

「それに今晩の宿泊先、決めてもないし予約もしてないでしょ?」


「予約なんかしてませんけど・・・平日なんだから予約なしでビジホに泊まれる

でしょ?」


「たしかに・・・まあそうだったとしても、よかったら俺んちに泊めてあげても

いいけど・・・俺んちならタダだよ・・・」

「まあ、俺の部屋に泊まるならそれなりに覚悟してもらわなきゃダメだけどね」


「覚悟ってなに?」


「俺さ、俺の家に来た女の子は全員、ありがたくいただくことにしてんの」


「いただくってなんですか?・・・意味分かんないんですけど」


「ルシーちゃんって処女?」


「なに聞いてるんですか?・・・いきなり」


「あのさ、天使の処女奪っちゃうってそんな経験ないよね、貴重だと思わない?」


「あんたバカ?・・・デリカシーのない人・・・もう死ねば?」


「ひどいよルーシーちゃん」

「俺が死んじゃったら君のお仕事なくなっちゃうよ?」


「やっぱり今夜私、ビジホに泊まります・・・ああ〜憂鬱になってきちゃった」


「ダメダメ・・・行かさないよ、俺にご奉仕に来た女の子をひとりビジホに

泊まらせるなんてそんなことさせられないよ・・・」

「だから、はいどうぞ・・・我が家にようこそルーシーちゃん」


「まじ、ウザいです・・・」

「あのですね・・・私の言ったこと、ちゃんとに信じてます?」


「信じてるよ」


「あのさ、世の中、100%完璧とか、これありえないなんてことないの」

「もしかしたらって考えたら必然的に天使がいたって不思議じゃないだろ?」


「だから俺はルーシーの存在も話も全面的に信じるよ」


つづく。

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