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「私を見て」ひまわりは言う。

 ひまわりは真っ白な美しい両方の肩の出ている、腰のあたりに大きな水色のリボンのある花のように膨らんだスカートのドレスを着ていた。

(ひまわりは、おとぎ話に出てくるお姫様のような恰好をしていた)

 そのドレスには特徴があって両手の指が隠れるくらい長くてぶかぶかの大きな袖のデザインになっていた。ちょうど両手を隠して胸の前に持ってくれば、おばけの真似ができるようなデザインだ。

 その服はジラが出会った幽霊ホロウの女の子、小枝つばさと、水玉ひかりが着ていた大きな袖のコートと同じようなデザインだった。

 少しだけ出ている指先にはひまわりは白い手袋をしているようだった。

 白い手袋の上から獅子の模様のある黄金の指輪をつけている。足元は白い靴下と白い真珠のような色をしたヒールの靴。

 美しくて長い黄金色の髪はまっすぐに腰の辺りまで伸びている。その黄金の髪には白い百合と白い羽根の形をした造形のあるカチューシャ(機械的なデザインだったので、デバイスなのかもしれない)のようなものをつけていて、右耳には太陽の形をした金色のイヤリングをしている。

 ひまわりはその顔にいつも仮面をつけていた。

 仮面かあるいは薄い布のようなものをつけて、自分の顔をつねに隠していた。

 でも、今、ジラの目の前にいるひまわりは素顔だった。

 青色の海のような美しくて大きな潤んだ瞳と、真っ白な小さな顔。(でも、その小さな頭の中には宇宙がつまっている)可愛らしい耳。白い歯に赤みを帯びている小さな唇。

 そのどれもがジラの知っているひまわりの顔だった。

 小柄な体格をしていて、肌は白く、胸は小さい。すらっとした足はぴったりと閉じている。両手は重ねられてひざのうえに置いてあった。

 美しい(本当に美しかった)ひまわりの素顔を見て、「綺麗」と思わずジラはいった。

 そのジラの素直な言葉を聞いて、ひまわりは「ありがとう」と言って、にっこりと(年相応の十五歳の少女らしく)嬉しそうに微笑んだ。

「久しぶりですね、……今の名前はジラでしたね」

 記憶の中にあるひまわりの声で、ひまわりは言う。

「……うん。本当に久しぶりだね。ひまわり。ずっとあなたに会いたかった」

 とジラは言った。(その言葉は嘘ではなかった)

「かわいそうに。その片目はどうしたの?」とジラの左目を指さしながら、ひまわりは言った。

「少し痛めただけだよ。もう痛くはないし、すぐにまた見えるようになる」と自分の左目を隠している眼帯を触りながらジラは言った。(本当はまだ眼帯の奥で左目はずきずきと痛んでいた)

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