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 ジラは一人で縦穴にある鉄の梯子をのぼっている。

 ひかりはまだ、一人であの地下にある秘密の隠れ場である小枝つばさの家に残っている。その理由はつばさの残した最後の手紙にあった。

 ……少し前に、いつものようにひかりがつばさとお手紙のやりとりをしていると、そのお手紙にはなんの断りもなしに、『もう、ひかりちゃんとこうして素敵なお手紙のやりとりをすることはきっとできません。だから、ひかりちゃん。ひかりちゃんはもうこの危ない場所にはこないでください。今までのように幽霊の街で幸せに暮らしてください。いつも私のわがままばかりでごめんなさい。……今まで本当にどうもありがとう。ひかりちゃんがこそこそと隠れてばかりいる私を見つけてくれて、……最後にひかりちゃんと友達になれて、本当にうれしかったです。……ばいばい、大好きなひかりちゃん』と見慣れたつばさの手書きの文字で書いてあった。

 そのつばさの手紙を読んでひかりはとても悲しい気持ちになった。(実際にひかりはその手紙を読んでたくさん、たくさん一人で泣いた)

 もうこの危ない場所にはこないでください、とつばさの手紙には書いてあったけど、ひかりはそれからもこの秘密の家に今までと同じように訪れていた。

 その理由はつばさに会うためだった。

 ……どうして、どうしても、なぜもう秘密のお手紙のやりとりができないのか、もし私がつばさのことを怒らせてしまったのなら、そのことを謝らせてほしいと思った。どんな理由があるにしても、最後になるなら直接、つばさにあって、その理由を聞きたいとひかりは思った。

 ……さようならって、自分の口から言いたいと思った。

 それからずいぶんと時間がたったけど、(秘密の家ではつばさの生活している気配はなくなった。だからひかりはよく秘密の家で掃除や壊れかけていた場所の補修などをしていた)ひかりはまだつばさと会ってはいない。

 だから今も、水玉ひかりは一人で、あの地下にある秘密の隠れ家である小枝つばさの家で、つばさがももう一度、自分の家に帰ってくることを待ち続けているのだ。きっと、ずっと、つばさと会うまで、ひかりはそうしているのだとジラは思った。

 ……大切な友達だから。

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