第4話 ゴーレムにも可愛いのとそうでないのがいる
すぴぴーすぴー、すぴぴぴー、すぴー……
…………………ドガバキドガッ!!!!!!
「どわぁっ!?なに!?れ!?」
変な自称メイドゴーレムに疲れて果てさせられて寝ていたら、突如轟音が響く。
目を開けると、僕の頭から数センチしか離れていない所まで、家が、無くなっていた。
夜風が吹き込んで瓦礫から砂埃が舞う。
揺らめく土煙の向こうに、5メートルはありそうな巨体のシルエットが見える。
…早速どこかの組織が放った刺客、ご登場らしい…
「逃げるぞってオイ起きろがぶりL!!」
第2波の攻撃が来た、やばい、1回の柱が崩されて床が落ちる!?
「むにゃ…そんな激しくされたらいやっ、なんだよ……」
「どんな夢見てるのォ!?
もうええわちょっと失礼!!」
この騒ぎで全く起きない豪胆がぶちゃんを急ぎ担いで、
「『
風穴の開いた壁から飛び出して魔法で創った足場に着地、とりあえず距離を稼ぐためひたすら走る。
しまった、僕の趣味コレクションたちが!!
「『
左手で彼女を担いでいる僕の右手に神通力で包まれた僕の愛読書たちが飛んでくる。
さて、両手塞がったよちくしょぉぉ!!!!
「うぉぉぉぉぉ、『
走っているスピードをなんとか増強。
スピードの無い状態からでも加速できる追加速の上位、ベクトル変換魔法の極致、『
そういえばとあセロの続編らしき古文書が発掘されたってニュースやってた気がする気になるどこの博物館だったか、行きてぇ!
なンて考えてる暇ねェ!!!!
走って走って、港の埠頭らしき所に着いてしまった。
しまった、海辺の高台良いじゃん暮らしやすそう!って今の家決めたから行き止まりだ!?
「……オマエが、"湯沸かし器"か…?」
ドゴォンッ、僕らを追って跳んできた刺客が着地して、大きな音が静かな夜の広場に響き渡る。
3メートルはある、巨躯の男が立っている。
デカいのに身が締まってすらりとしており、力業の得意な剽悍な獣、なんて相反するイメージを同伴させている。
こんなの相手したくねぇぞ…ってかお前神人な訳ないよな、神人の身体構造は別に人と変わらない……
「お前は何者だ、っハァ…」
ジロリ、と焦点の定まっていなかった追っ手の瞳がこちらを見つめる。
「…俺は元老院の儀式場で、"強欲"執政官様に創って頂いた
言うが速いか、元老院製のクソッタレゴーレムが跳んできて30メートルはあった彼我の距離をゼロにされる。
くそっ、速いっ!!
「『
「『
ッ…………ボゴッ!!!!!!!!
強烈な衝撃に神通力の盾を貫かれ、ヒット、ランナーが二塁は進めそうな程吹き飛ばされる。
「か、はっ……!?」
「…そんな、交通事故防止目的程度の軟弱な盾で、執政官様に楯突くつもりだったのか…」
「ッ、『
なんとか起き上がり走り出す。
右は行き止まりだが左手にコンテナの積まれたスペースがある。
コンテナの森に駆け込み、がぶちゃんと数冊の本を地面にゆっくり下ろす。
ガゴンッ!!!
追ってきた
………だが、その隙があれば十分だ。
「『
『
空気中の水分子が俺の神通力に導かれ、右手と背に結晶となって集う。
「久々に喧嘩売られたな、くはッ、めんどくせぇ静かに生きさせてもらいたいもんだが相変わらずテメェらはッ!!!!」
あぁ、身体中の血が沸騰しているような感覚に心が躍る。
「テメェの血も沸かせてやるよ、3分間も待たせねェ!!!!!」
刺客の
俺とゴーレムが向き合った刹那。
ゴッ、!!!
2人の身体が同時に飛び出し交差する。
―
「固有複合水操作魔法"
に噛み千切られて、横一文字の傷口を晒し両断された。
元老院製クンが、目を見開く。
「貴様ッ、その力やはり…っ!」
「おい、まだ終わったなんて言ってないぞ?」
水剣と水翼が消え、代わりに俺の左手に蒼い光が集い始める。
その左手をそっとゴーレムの傷口に触れさせて、発動準備が完了した魔法を放つ。
「『
――――ゴッ。
音すら置き去りにして。
…………もちろん術者本人である僕も、例外ではない………あっ、
「『
ヨシ、これで本とがぶちゃんは無事だ!
埋め立て地から投げ出され、海面が顔に迫るのを眺めながら安心して。
ぼちゃんっ!
あまり爽やかじゃない勝利サウンドを聞きながら、僕は海に沈んだ。
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