付録が捨てられない件

 雑誌などの付録というのは無料タダで価値がない。そういうものを使っていると運気が下がるので捨てなさい。

 テレビだったかと雑誌だったか覚えていないが、昔そんなことを聞いた(あるいは見た)。そのとき私は「たしかに」と深く頷いた。

 ではそのときに潔く全部捨てたかと言うと、まったくそんなことはない。手放せずに付録を保管し、何なら使っている。


 なぜ手放せないかと言うと、「何かと便利だから」ということに尽きる気がする。


 以前書いた通り、私は付録の財布を使っている。なぜ使っているかも前回書いた通り、間に合わせであり、形もちょうどよかったからだ。

 それ以外にも、トートバッグやエコバッグ、ポーチなど、ちょこちょこ現役で使っている。


 お気に入りのものを買い、大切に使う。それはその通りで、大切なことだと思う。無料だから、安いからと所有しても使わない、使う気にならないのではまったく意味がない。


 個人的には雑誌の付録合戦みたいなブームは過ぎたと思っていて、今は付録あり付録なしの雑誌が選べることも多い。本当に使いたい、と思うもの以外はそもそも付録なしのほうを選んでいる。

 ただ以前はそうもいかなかったので付録つきの雑誌を買いながら、付録はなくていいからもっと安くしてほしいと思っていた。

 そう、付録とは無料タダではないのだ。付録ありと付録なしの雑誌の値段を見ればわかることで、その差額分のお金を払っているわけだ。自ら選んだお気に入りのものという意味では価値のないものだが、付録の分お金がかかっている。


 もちろん無料じゃないからもったいないから手放せない、というのではない。運気どうこうと言う気はないけれど、何でもかんでも捨てなくてもいいのかな、と今は思えるのだ。

 とはいえ、何でもとっておけばよいということでもない。あくまで使うなら、使うものを手放す必要はないということだ。


 それでも時間をかけて減らしてきたのだけれど、手放したのは次のようなものだ。

 柄やデザインが好きではないもの。縫製が粗く歪んだりしているもの。デザインはかわいくても使わないもの。

 結局、付録に限ったことではなく、気に入らないもの、絶対に使わないようなものは手放せるということだ。


 逆に、捨てられないものとは何だろうか。

 私はわりと現役で付録を使っていて、財布、カードケース、ポーチ、エコバッグ、トートバッグなどが挙げられる。

 これらを捨てられないのはまさに使っているからなのだが、なぜ使うかといえば、ちょうどよくそこにあるから、ということに尽きる。


 買う、ということは私にとってハードルが高い。付録があふれるくらい雑誌買いまくってるじゃないかというツッコミは、私の判断の甘い分野だからとかわしておくけれど、買い物の基準が高いため、納得のいくものにはなかなか出会えないのだ。

 一方で付録というのは勝手についてきて、まあそれなりにかわいい。エコバッグもポーチも何かと便利で数があればそれなりに使い道がある。それに、本当に気に入ったものがあれば購入して、付録は手放せばいい。


 ミニマリストの人たちであれば、お気に入りの一個以外は使わないから全部手放すだろう。けれども、エコバッグとかポーチとか、一つじゃ到底足りなくないですか?

 もはや無料で袋をもらえない昨今では、買い物に行けば、行った店の分だけバッグが必要だ。もちろん同じエコバッグで事足りることもあるけれど、一つじゃ心もとない。

 ポーチや巾着のような袋だって、旅行に行くときの荷物を小分けにしたり、何かと役に立つ。それ以外にもサニタリー用品を入れてトイレに置いておいたり、外出時のマスク入れとして使ったりと何かと使える。というかめちゃくちゃ使っている。

 こういうものが欲しいなと思ったときに、試しに家にあるもので試すという意味でも何かと都合がいい。それを探して買う手間や、百均だとしてもお金をかけることを考えれば、手間も時間もお金もかからない。付録を置いておくために使うスペース(とその家賃)についてはここでは考えないでおく。


 付録はいわばお試し品。ガンガン使って、汚れても壊れても惜しくないのもありがたい。

 何か買う前にあるもので何とかならないか考える。お気に入りのものが見つかるまでの仮のものとして使う。使うものはデザインや大きさを考慮した上で、数があればあったでいいじゃないか。

 ミニマリストとはほど遠い考え方ではあるが、むやみやたらにものを買うよりはいいはずだ。


 ちなみに私は、数年前まで付録のポーチを外出時に使っていたのだが、気に入ったポーチを購入して付録を手放した。

 もともと私はリップと目薬と頭痛薬くらいしかポーチに入れないため、小さなポーチで十分だ。でも、ちょうどよい大きさのポーチが見つからず、付録の小さなポーチを使っていた。

 もともとそんなだったから、バッグの内ポケットに直接突っ込んでいたこともあったのだが、内ポケットが一つしかなく、そういうわけにもいかなくなったという経緯もある。しかし付録のポーチはマチがなく、リップを縦に入れるだけの高さもない。横に入れると奥のものが取りにくい。

 そんなわけで手頃な大きさのポーチを見つけ、ようやく不便から解放された。不便ポイントがばっちりわかっているので、買うときの失敗もなかった。


 もちろん付録はなくて困るものではない。そんな今使うかもわからないものに、スペースやものの管理をする時間を使うのか、という考え方もある。

 だけど私は、今とりあえず必要なものがあったときに、買いに行く時間や手間がかかること、気に入ったものがなくてもとりあえず買わなければならないという事態のほうが嫌なのだ。

 それらを天秤にかけたとき、私は迷わず今あるものを使うことを選ぶ。だから私は付録を手放せない。


 もっともらしく付録が捨てられない理由を語ったが、かわいいという理由だけで手放せずにいる付録があるのも事実。

 使わないものは手放すとともに、使っているものも使い倒して捨てることで、数を減らしていかなければと気づいたのだった。

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