流行と年齢に乗っかる
服を減らす過程で、ちょうど流行や年齢による変化の波にぶつかった。気に入って着ていた服がだんだん似合わなくなり、あるいは着ることが恥ずかしくなった。
そこまで流行を追いかけていたわけでも、十代のような格好を二十代でもしていたというわけでもない。しかし、アラサーと呼ばれる年になり、三十路に近づくにつれ、それは顕著になっていった。
膝上のスカートやショートパンツが徐々にだめになっていった。ストッキングがあれば大丈夫だったのに、タイツがないと無理。タイツがあろうと無理、といった具合だ。
不思議なことに、どんなに気に入っていたヘビロテ服であっても、そんなに迷わずに手放すことができた。散々着倒した服のほうが、潔く手放せるものらしい。
逆にあまり着ていなかったものは、踏ん切りがつかなかったりした。あまり着ていないのにもったいない、という気持ちが拭えなかった。
服というのは着てなんぼだろう。服だって、着られなければ悲しいに違いない。
たくさん着た服は感謝の気持ちをもって手放すことができる。でも着ていない服は「高かったから」「まだ着られるから」「まだきれいだから」と、手放せない理由を並べてしまう。そうした言い訳を並べて、着ていないくせに捨てることを先延ばしにしてしまうのだ。
前に何かの雑誌で見たのだが、「買った金額を着た回数で割って一回あたりの服の金額を出す」というものがあった。
たとえばセールで千円で服を買っても一回しか着なかったら一回あたり千円、定価で五万円の服を買って百回着たら一回あたり五百円。結果的に五万円の服のほうが安いということだ。
そもそもセールで買った服には妥協がつきもので、本当に気に入って買った服を何度も着たほうが満足度も高い。
自分はいったい一回あたりいくらまでだったら許容できるかどうか、自分なりの目安を持っておくと買う基準も明確になるし、手放しやすさも、手放せない理由も見えてくる。
逆に高くても一目惚れして買った服が案外似合わなかったり合わせにくかったりした場合は、もう諦めるしかない。失敗だと認めてさっさと手放したほうがよい。そうしたものはきっときれいだから、リサイクルショップに売ったり、(私はずぼらだからしないが)フリマアプリで出品するとよい。「捨てる」のではなく「誰かに大切にしてもらう」のであればハードルがぐっと下がるし、何より嬉しい。
もちろん散々着倒したものも、きれいであれば売るというのもありだ。お気に入りの服たちに第二の人生もあるならば、嬉しい限りだ。
さて話が逸れたが、年齢の波に乗って似合わない服、着られないと感じた服を捨てる、ということだ。服を実際に着てみると、自分はそんなに変わってないつもりなのにしっくりこない、ということはよくある。時間はかかるかもしれないが、実際に着て判断するのがよいと思う。
そして私の場合、年齢の波とともに流行の部分でも変化があった。スカートの丈で言うなら、ロングに移り変わっていったのだ。
年齢に加えて巷にあふれているものもそうであるならば、ますます膝が見えることに抵抗を感じてくる。私のクローゼットの中から徐々に短い丈のボトムは消えていった。
ボトムの丈だけでなく、ぴったりめだったりオーバーサイズだったりと、世間にあふれる服は変化していく。私はそれほど流行に敏感ではないが、それでも流行遅れの服はクローゼットにあふれる。どんなにスタンダードなものを買ったつもりでも、流行を反映したものが店先に並んでいるせいだ。
そのため、どこか「今」にそぐわない服があって、そういう服は一度手にとってもなんか違うとまたしまいこんでしまう。その繰り返しで、気づくといつから着ていないだろうか、という状態だ。
流行は巡るというし、実際昔流行ったものが再び流行ることはある。けれど当時のものを今の流行りで着ようとしたところで、まったく違う。流行が一周したとしても、けっして日の目を見ることはない。
年齢とも流行とも合わなくなったものは、諦めて手放すほかない。リサイクルショップに持っていければ罪悪感も少ないが、持っていくのもはばかられる状態のものもある。私は素材によっては掃除に使って捨てたり、ブラウスなどは母の裁縫にはぎれとしてあげたり、どうにも使い道がなければ捨てている。
なるべく自分にとって負担のない方法で、早く手放せる方法で、手放していくのがいいだろう。
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