第4話 vsレッドドラゴン

 俺は機体の動力を全開にし、レッドドラゴンの突撃をかわすために急上昇した。

 すれ違う瞬間、ドラゴンの巨大な翼が風圧を生み出したのか、機体が一瞬揺れる。


「なかなかのスピードだな」


 突進を回避し、クリムゾンドラゴンが旋回して戻ってくるまでの隙を逃さず、即座にその場から離脱する。

 

 操縦桿を握り直し、機体を急上昇させる。

 下からクリムゾンドラゴンが追いかけてくるのを視界に捉え、俺は小手調べと思い、機体を反転。照準を定め、魔粒子レーザーを放つ。

 両翼から放たれたレーザーが直進し、クリムゾンドラゴンへ迫る。

 しかしいくら進めど、回避行動を見せない。


「避ける必要がないってか」


 そのまま直撃するが、鱗を焦げさせる程度しかダメージを与えることが出来まかった。

 そもそもダメージと呼べるのかすら怪しいが……。

 迫るクリムゾンドラゴンが口を膨らませる。


「ブレスかッ!」


 口が開かれ、真紅の炎が俺に向けて放たれた。

 こちらも回避するまでもない。


「チェェェェンジ、アルファライザァァーーッ」


 叫ぶ。

 尚、これは必須では無い。

 でもやる。気分が乗るからね!

 

 機体を変形させ、人型形態へ移行。

 変形時に発生する魔粒子エネルギーが周囲に広がり、バチバチと稲妻が走る。

 魔法や魔物が放つ攻撃には魔粒子が含まれていることにより、それは一切、攻撃が効かない強大な結界へと進化するのである、

 しかし、これは飛行形態からの変形時にしか発動できない。


 ブレスが魔粒子エネルギーに接触し、相殺。機体に到達する前に霧散し、消滅した。

 だが、これにより軽度の視界不良に陥ることとなる。

 そのため、レーダーが映るディスプレイに視線を移す。

 レッドドラゴンの位置を確認するための行動だった。が、表示されていたのは敵対生物を示す赤丸が二つ。

 一つ増えているのだ。


「二つだと……? フードの野郎が参戦してきたってのか?」


 ここで増えるということは、あのフードの人物しか頭に浮かばなかった。


 ————その時、突然機体がバランスを崩し、揺れる。

 また、コックピット内が赤い光に包まれた。

 

 警告!? 被弾したかッ。

 

「なっ!? 一体、何が……」


 そして視界に捉えたのは————ドラゴンだった。戦闘中のレッドドラゴンと比べ数倍の体格に漆黒の鱗に大きな翼。

 鋭い眼が確認できる。


「二体目!? 嘘だろ」


 二体目、それもレッドドラゴンよりも体格が大きく、気性が荒いと言われるブラックドラゴン。


「厄介な……どこから現れたってんだ」

 

 すぐに機体の姿勢を戻し、全速力で距離を取る。

 ブラックドラゴンが出現したことにより、戦況が不利になってしまった。


 二体同時は流石にやったことないぞ……。

 しかし————


「各個撃破は厳しいか……」


 二体のドラゴンが獲物の取り合いで争うことなく、連携するように飛ぶ姿を見てそう感じた。

 俺は意識を地上へ向ける。

 あのフードの人物。あいつが司令塔だとしたら……奴を叩けば好転するかもしれない。


「全を貫く金色の雷槍よ」


 右前腕部へ魔粒子が集中し、そこに装備された魔法陣が起動。4メートル程ある雷の槍を生成。

 掴んで、フードの人物めがけて投げる。


 が、フードの男が腕を動かすと、ブラックドラゴンが急降下し、身を挺して防ごうとする。

 雷槍は翼を焦がし、ブラックドラゴンの背中に直撃した。


「チッ、先にドラゴンを倒さねばならないか」


 攻撃を仕掛けてくるレッドドラゴンをいなしつつ、そう考える。


「一体ずつ、確実に仕留めるか。二体が直線上に並ぶようにさえできれば……一網打尽にできるんだが」


 焦げた翼では回復するまで飛べないだろう。

 そのため、レッドドラゴンに照準を合わせる。


「ブレイブソード!」


 剣を握り締め、魔粒子を供給する。

 ブレードを包むように、より大きな形状のブレードを生成する。


「ここは地上に近い。ブラックドラゴンに加勢されないためにも……」


 俺は高度を上げ、地上から距離を取る。

 追いかけてくるレッドドラゴン。


 いいぞ、その調子だ。追ってこい!


 勢いそのままに旋回し、レッドドラゴンと向かい合う。


「グヴォオオォオォォォォッ!!!!」


 咆えるレッドドラゴン。

 口を膨らませる。その隙間からチリチリっと赤い炎が漏れ出ていた。


「来るッ」


 俺はスラスターを最大に、レッドドラゴンへ向けて突っ込む。


 そしてブレスが放たれた。

 魔粒子は魔法を構成するための魔力、それの元となるものだ。そして相反する魔粒子が接触し、双方の出力が同程度であればかき消すことができる。


 迫るブレスの出力へブレイブソードの出力を最大に上げる。

 それに伴い肥大化するブレード。


 ————振り下ろす。

 ブレスと接触し、真っ二つになる。左右二つに分かれ、背後へと飛んでゆく。

 レッドドラゴンが目を見開き、驚いたような表情をみせる。が、すぐにブレスを吐き続けることにしたようだ。 

俺は正面に構え、ブレスを斬ったまま直進し、レッドドラゴンへ迫っていく。


「これで止めだァッ!」


 勢いそのままに、すれ違いざまに斬る。


 斬られたことに気が付いてないレッドドラゴンが、追撃しようと振り返る。

 瞬間、体中を光が包み轟音を上げて爆発した。

 

 かろうじて原型を保っていた亡骸が地上へと落下し始める。





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S級探索者はスーパーなロボットを駆使して戦う。 水国 水 @Ryi-

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