第9話

『たいようフレアたんへ。この手紙メールを読む頃、ぼくはもうちきゅうではなくなっているかもしれない。だけどね、フレアたん。どんなに綺麗な子と出会っても、口説いたとしても。いつだってぼくの心の真ん中にいるのはフレアたん、きみしかいないんだ。ぼくはとても自分勝手すぎて、みんなに嫌われてしまったけれど、にんげんたちのことは守りたい。守ってあげなきゃならない。残念なことに、その大切な使命を忘れていたんだ。フレアたん。一人ぼっちになって、ようやくきみのわがままで幼稚でぼくを困らせてばかりいるきみの存在が懐かしく感じているんだ。もし、この手紙メールを読んだなら、なんなりとお返事をください。ぼくはそれを、甘んじて受けます。あいしてる、フレアたん。心からきみのことが大好きなちきゅうより』


 長い長い手紙メールを送信してすぐに、たいようフレアたんとお母さまが乗り込んできた。


「だれがわがままで幼稚だってぇ!? もうちきゅうくんなんて知らないっ。さよならちきゅうくん」


 たいようフレアたんは、お母さまを見上げた。


「本当にいいの? きちゅうくんを木っ端微塵にしても? あなたみたいな女の子、ほかに相手にしてくれる人なんていないわよ?」

「いいのっ。あたちにはコクテンくんがいるもの」


 そう言って、たいようフレアたんは去って行ってしまった。


 ぼくの中で渦巻く悲しみは、たいようフレアたんに与えた仕打ちのせい。全力でぼくが悪い。


「……娘はああ言ったけど。ちきゅうくん、一年だけ猶予を与えます。その間にしっかり働いていたら、今度はわたくしがフレアたんに話をし、最後にもう一度だけ、二人で会うことを許しましょう。ですがもし、あなたがこれまでどうりのおバカさんをやらかしたら、もう二度と娘には会わせません。それでいいですね?」

「っく、はい。ぼく、一生懸命ちきゅうを守ります」


 こうしてぼくは、長い長い一年間を、一生懸命働いたのだった。


 そのあとのこと、気になるかな? つづいてもいいかい?

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