第8話

 ううっ。なんだか寒気がする。体もズタボロになったし、熱もある。自業自得。そう言われてもしかたのないことで。そもそも女性陣から嫌われているのは、ぼくのこのふざけた性格なわけで。(作者注釈・嫌われているのは女性陣だけにあらずということに気づけないちきゅうくん)。


 でもさぁ、綺麗な女の子を目の前にしたら、ついつい口説いちゃうよね?  


 男子諸君ならわかってくれるよねっ? ねっ? 


 えっ!? ぼくだけだってぇ!? そんなわけないじゃないか。みんな、女の子にモテたいからってきれいごとばっかり言うんだもんな。


 結局、ぼくが悪いんだ。それはわかっているんだけど。なんとなく、あやまるタイミングを逃してしまった。


「ちきゅうくん」


 そ、その声はっ。テーキアツちゃん!?


「……おま、本気でふざけんなよっ!? なぁ〜んでほかの女の子は無条件でプロポーズするのに、あたいにはプロポーズしねぇんだよっ!!」


 テーキアツちゃんはとても強い。強すぎて言葉をかける余裕もなく、いつもこうやって四の字固めやら、あらゆるプロレス技をかけられるんだ。


「ギブ、ギブ、ギブ、ギブ!!」

「おっしゃあ!! あたいの勝ちだね。そういうことだから、にんげんたちのために、あんたからみーんなにあやまんなさい」


 テーキアツちゃんの背後には、もっと恐ろしいコウくんと、泣きはらした目のおーろらたんがいる。


「ごめんなさいっ!!」

「その謝罪が軽いっつてんだよぉ!! どーするんだよ、爆弾低気圧が四つもあって、台風までこさえて。それでもまだ、にんげんたちに迷惑をかけるのか? ああ〜ん?」


 そうだ。ぼくのこの軽率な言葉のせいで、にんげんたちを苦しめることになっている。守らなければならない、大切なにんげんたちのために。


 だから、今度こそ、誠実に生きなくちゃいけないんだ。


「たいようフレアたん。ごめんなさい。ぼくにはやっぱり、あなたしか見えていませんでした」

「そいつはあまりにも都合が良すぎるんじゃねぇのっ!」


 はっ。いきおいあまってコウくんまで怒らせてしまった。


「おーろらたん。きみにも酷いことをしたよね? 本当にごめんよ」

「ぐすん。だったらアラシくんにもあやまってよぅ!! ぼくたち、運命の恋人同士だったのに、きみのせいで喧嘩別れしちゃったんだよ!?」


 えぐえぐと涙をこぼすおーろらたんを、よしよしとテーキアツちゃんが励ます。


「おーろらたん、おれが間違ってた。ごめん。迎えに来たよ。一緒に帰ろう?」

「アラシくん? わぁ〜ん。ぼくにはアラシくんしかいないんだよぉ〜」


 アラシくんの胸に飛び込むおーろらたん。まるで映画を見ているように美しい。


「そんじゃま、テーキアツちゃん。おいらたちもそろそろ撤退しようぜ?」

「それもそうね。あとは、ちきゅうくんしだい。事と場合によっては、ちきゅうがどっかんするかもだけど。バイバイ」


 こうして、眼の前から二組のカップルが去っていった。


 ぎったんぎったんのけっちょんけっちょんにされたぼくだけを残して。


「よしっ。ぼくの命にかけて、たいようフレアたんと仲良しに戻るぞっ」


 だが実際のところ。そう簡単にいくかなぁ?


 自信はないけどつづくんだな、これが。

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