お題【葬儀に欠かせない腕輪】、【仮初の入り江】、【分け合う】

その民族の伝承によれば、人は死ぬとその魂は仮初の入り江に辿り着き、死の海に入ってゆく。生者の言葉が、歌が、魂の錘となり、海の底に沈んでゆく。死の海はまた、生の海でもある。魂は海の底でゆっくりと溶け、また再び凝って、浮き上がり生まれてゆく。

葬儀に欠かせない腕輪は、生者を現世に繋ぎ止めるためのものだ。死を悲しむあまりに自らの魂も入り江に向かってしまう。それを食い止めるためにある。

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