お題【はちみつ色の書物】、【伝言】、【ほじくる】
師匠のところに届いたのは、はちみつ色の書物。
「残さないように、と」
そう伝言を残して、書物を運んでやってきた黒い犬はどこかへ消えた。
師匠はしばらく真面目な顔で書物をめくっていたが、不意にスプーンを持ってきてページをほじくる。
一体何をと思うと、頁はスプーンに掬われて、とろりとしたはちみつそのものになってしまった。
「君もどうだね」
ご相伴に預かれば、ちゃんとはちみつの味がした。
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