お題【平原の花嫁】、【儀礼用の】、【ほどく】

平原の花嫁の嫁ぎ先は砂漠だった。馬にも乗れない男に嫁ぐことを花嫁は内心気に入らなかった。

昼間は建物の中で休み、夜はラクダで砂漠を渡る。

花嫁は昼間の間も儀礼用の布を幾重にも纏っていた。暑さにのぼせて顔が赤い。迎えにきた花婿はそっと手を伸ばして布をほどく。

余計なことをと言いかけた花嫁はけれど、もうその元気もない。小さな意地に花婿は微笑む。

埃っぽい乾いた空気に、花嫁は平原を懐かしく思う。

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