お題【かえらぬ宝冠】、【野生化した】、【かする】
城の奥深く、大事に大事にしまわれていた魔法の宝冠が逃げ出した。こんなことのないよう、幾重もの魔法陣で厳重に封じていたというのに。溜息をついて森の中を進む。小枝で肌が傷つくのが鬱陶しい。野生化した宝冠は様々な動物に姿を変えて森の中を逃げ回る。魔法を封じて投げた枝が、鳥に姿を変えた宝冠をかする。わずかにその体が落ちかけて、けれど飛び立ってしまった。大きな溜息。捜索はまだ続く。
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