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 疲れきった少年はそばにあった縁石えんせきに腰を下ろした。ふと手元の絵に視線を落とす。そして瞠目どうもくする。あの日描いた青空の絵は、今の彼には到底とうてい描くことのできないものになっていた。旅をする内にかつての純粋さを失くしてしまった彼ではもうその絵の書き方がわからなかった。

 少年は迷うことなく青空に黒い✕印を付ける。その絵こそが現在の自己じこ心情しんじょうを表すに相応ふさわしいものだと思った。

 その後も途方もない旅を続けた。歩くことは同時に絵に不純物ふじゅんぶつを描き足すことでもあった。   

 いつの間にか、澄んだ青空はふちをかすめる程度にしか残っておらず、絵の大半は黒を中心とした雑多ざったな色で濁りきっていた。

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