第一章 レノン
1-1 辿り着いた先
レノンが辿り着いたのは古びた田舎町だった。
町へ入る森のそばには『Welcome to Mega River』と書かれた看板が設置されているが根元が劣化しているのか傾いている。
その看板にはデフォルメされた金髪の女性のイラストが描かれていて、満面の笑顔で奥へ手を向けていた。
恐らく町の方向へと誘導する意図で描かれているのだろうが肝心の看板が傾いているため今は生い茂った雑草と木々へとその手は向けられている。
「住んでる人は・・・、まだいるのかな」
口から零しつつゆっくりと歩みを進めて町へと入っていく。
レノンの服装や見てくれはぼろぼろだった。必要最低限の衣服しか纏っておらず肌も土で汚れており、水や食料も当分取っていない。
護身用の武器も持っておらず、ひとたび襲われたらあっという間にあの世行きと言える状況だった。
「とりあえず、どこかで水を・・・・・・あっ」
言葉を言い切る前にレノンは膝から崩れ落ちて地面へと倒れる。長く途方もない崩落した世界を歩き続けた先に町を見つけて少し気が緩んでしまったのか、体力の限界を超えてしまっていたようだ。
「うう・・・・・・お父さん、一体どこにいるの・・・?」
気力を持とうと必死にもがいたがそれも空しく、レノンの意識は遠のいていった――。
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