【詩】使徒【再掲】


この世界に

私だけ取り残されて

夕闇の

狭間から伸びた手が

私の首を絞める


意識だけが宙を漂い

呪文を唱える

未来人の

教徒によって

天に導かれる


空が青を取り戻した

けれど

私は私の屍を

見下ろすことしかできない

人として

生きることはもう

できないだろう


しかしやはり

あの手は

私自身の手であり

自らの存在を否定する

唯一無二の私だったのだ


屍となった肉体は

この世界と一体になった私の

神経系を冒す


過去の残骸を朽ち果てるまで

見届けると

やがて

遺灰は

神器の杯に注がれた


再生の儀式が夜通し行われた

世界と融合された私の精神は

分離され

「私」の姿を借りて

真実を語るのみである



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