幸運集めのフォークローバー 19

 その後しばらく先生の未来写真をじっくり見返したり、二人でグループワークの資料を探したりしていると、孝慈が不意に聞いてきた。

「加澤、お前って、生徒会役員だっけ?」

「いいや。――どうして?」

 なぜ突然生徒会の話になるのだろう。聞き返すと、孝慈はすぐ横で本棚を漁りながら言った。

「ああ。加澤って、部活入って無いから。代わりに何かやってそうだと思って。生徒会とか、風紀委員とか」

「いや……そういうのはガラじゃないし」

 答えると、孝慈は顔を上げて意外そうに言う。

「そうか……けどさ、加澤ってたしか、色々ボランティアやってるんだよな?

 この前だって、保育園訪問の――読み聞かせボランティア、だっけ。

 一人ぶん募集が貼り出されてたけど人が集まんなかったやつ。

 で、結局最終日の午後に、加澤が先生に言って立候補したんだよな。俺、あの時ちょうど職員室にいて見てたから、知ってた」

 孝慈が言うのは、十日ほど前に行った訪問ボランティアのことだ。

 そして、昨日の放課後に、先生に言われていた感想レポートを出したばかりのものだった。

「ああ。でも、特に教育関係に興味があるわけでもないし。

 ボランティアは、まだ具体的な進路がなにも浮かばないから、なにか見つかれば良いな、くらいの気持ちでやってた。

 読み聞かせのやつも、誰も応募しないようだったから、じゃあやってみようかな、と。

 その程度の理由だから、他に希望者がいたら応募しないつもりだった。きっとその人の方が、僕なんかよりずっと本気だし」

「卑屈すぎるのは良くないぞー。

――ま、それでもお前って、そういうちょっと良いことするから、なんとなく生徒会っぽいと思ってた」

 それから孝慈は窓の外を見て話題を変える。

「和歌子のこと」

「うん?」

「『座敷わらしのおまじない』って知ってるか?」

「いや……なにそれ」

「一部の生徒の間で、昔から歌扇野高校に伝わってる噂なんだけど、知らない?」

「知らない、初耳だ。でも、座敷わらしって言うからには、和歌子ちゃんと関係が?」

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