幸運集めのフォークローバー 18

 松野へのズバズバした分析に、僕は自分のことでも無いのに恥ずかしくなった。

 そのようすを見て、孝慈が笑う。

「お、なんだ加澤お前、ひょっとして恋バナは苦手か」

「…………」

「ああ、もしかして恋バナって言葉を知らない? いいぜ教えてやるよ。――恋バナってのはな、『恋のバナナ』って意味なんだぜ!」

「そんなん小学生でもダマされないわ!」

「ははは。――じゃあさ、加澤」

 孝慈は急に真面目になって向き直る。持っていた分厚い本を本棚に戻すと言った。

「だったら何か、心当たりは無いのかよ? お前が忘れてるだけで、子供のころに一度会ってたとか」

「子供のころ? 心当たりなんて無いよ。そんなに強い出会いだったのなら、僕も覚えてるはずだし」

「お前にとっては小さなことでも、向こうにとっては強烈なファーストインプレッションがあったのかもしれないぜ?

 次に松野と会うまでに、よーく思い出しておいた方が良いぞ。

 万が一、忘れられてたなんて、きっとショック受けるだろうから」

 さきほどから松野を気遣うような言葉に、僕はふと疑問を持った。

「……どうしてコージは、そんなに松野を気にかけるの?」

 孝慈は他の本も正しい場所に戻すと、「そりゃあもちろん」と前置きしてから続けた。

「なんか放っておけないからさ、あいつ」

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