精霊編4
精霊編四
バス内ではザワザワしていたが特にトラブルなく学園に到着した。
「寄り道せず帰りなさいよ」
熊田先生がバス降りていく生徒達に、その都度すぐ帰るようにと伝えるのだった。
「待たせたわね」
生徒達がバスから降り最後が昴、あかり、あきら、恵美香、栗山先輩、桃坂先輩のみになった。熊田先生が声をかける。
「熊先生どうするんですか?」
あかりが熊田先生にこの後の予定を聞く。
「みんなには悪いけど学園長室に着いてきてくれるかな?」
熊田先生は半強制的に学園長室に着いてきてと言う。
「熊田先生!」
足立先生が半強制的に言葉を発した熊田先生に注意しようとする。
「足立先生、みんなごめんなさい。今この場では教師ではなく魔法師団としての権限で言わせてもらうわ」
熊田先生は教師としてのお願いではなく、魔法師団の隊員としての調査協力としての発言と言う。魔法師団は特殊で警察の権限も持っていて任意ではあるが事情聴取ができる。
「行きましょ」
昴があかりの手を引き歩き出した。
「わるいわね」
熊田先生はボソッと言うのだった。
足立先生、あきら、恵美香、栗山先輩、桃坂先輩後から着いてきたのだった。
「コンコン」「失礼します」「失礼します」
熊田先生を先頭に学園長室に入っていき、昴、あかり、あきら、恵美香、栗山先輩、桃坂先輩の順に中に入っていった。
「よく戻って来てくれた」「学園長。説明します」
椿学園長は昴、あかり達を見て安堵し喜んでくれる。熊田先生は起こったことの説明をする。
「…………なるほど。道が…!いい判断だと思います。阿倍野さん、栗山さん、桃坂さんよく動いてくれました」
椿学園長が中型魔物の攻撃で道が抉れ、よく通れるように対策してくれたと褒めてくれる。
「ありがとうございます」「ありがとうございます」「うっ…ありがとうございます」
栗山先輩、桃坂先輩、あきらがお礼を言う。あきらがうっすと言おうとしたが姿勢を正しお礼を言う。
「えーっと、すば竹中君……」
椿学園長は下の名前で言おうとしたが留まり、苗字で呼び頭を抱えた。
「オホン。どうしましょう?」
熊田先生は君呼びは目を瞑り、今後の対応をどうしようかと聞く。
「まず初めに中型魔物が突如現れたのは周知されているわ。そして倒れされたことも……。問題は誰が倒したのか分からず、捜索されるわよね!突如現れたのも前代未聞で捜査も行われると思うわ!」
椿学園長も今後の動きを推測する。
「そうですよね…あそこには生徒達も居て何人かは竹中が動いた事を知っていますし精霊も見られています……」
熊田先生は、問題は隠しても他の生徒から漏れる可能性があると話す。
「おか、学園長!す……竹中君は今後どうなるんですか?!」
あかりは両手を握りながら縋るように椿学園長に聞いた。少し体が震えていた。
「……大丈夫よ。前例が無いわけではないわ。藤田特尉の時は学生中は黙認されていたわ」
椿学園長は藤田特尉の学生時代を思い出しながら話す。
椿学園長も藤田特尉と世代が同じであった。
「竹中君。精霊を見せてもらえるかしら?」
椿学園長は昴にお願いする。
「…わかりました。鈴?」「はーい」
昴が頷き鈴を呼ぶと、鈴が元気よく返事をして姿を現し元のサイズに戻った。身長は昴の腰ほどの高さだった。
「ま、まさか!」「えーそのまさかだと思います」
椿学園長が椅子から飛び上がり、熊田先生もその予想が当たっていると話す。
「風の精霊の鈴です」
昴は鈴を紹介する。
「鈴だよー」
鈴は挨拶する。
「竹中君は鈴ちゃんのことどこまで知ってるかしら?」
椿学園長は昴に聞く。
「えーっと風の精霊でえーっと……」
昴は風の精霊でマナをシルフさんから教えてもらったと言おうとして言うのを止めた。
「そう……多分だけどその子中位精霊以上だと思うわ。精霊には上中下と位があるの。下位精霊は人型ではあらずと本に載っているわ」
椿学園長が自身の推測を言う。
「私もそう思います」
熊田先生も同意する。
「鈴どうなの?」
昴も同意し鈴に確認を取る。
「そうだよ!下位ではないよ。だって……あれ?話せない」
鈴がだってから先が言葉に出ないと言う。
「多分だけどプロテクトがかかっていると思うわ」
椿学園長が精霊の不利益になりうることにはプロテクトがかけられて人間の言葉にできないと話す。
「そんなことが!」「そうなんだ」
昴と鈴が驚く。
「えー。精霊王の取り決めと言われているわ」
椿学園長が精霊王が決めたことと言い伝えられていると話すのだった。
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