精霊編3
精霊編三
昴と鈴が中型魔物を撃沈した頃、
「降ろしてください!」「ダメに決まってるでしょ!」
「いいから降ろして!」
バスの中ではあかりと熊田先生が言い合いになっていた。
非常時の為、あかりと熊田先生がバスのドアの出入り口に居るが、バスは動いていた。
「ちょ、あかりちゃん落ち着いて!」「降ろして!」
恵美香があかりに声をかけようとするが、あかりの耳には入っていなかった。
「ゴーーン」「な何!」「何だ!」「キャー!」
爆発音がして生徒達が騒ぎ出す。
「…昴」
あかりは誰がやったのか直ぐに分かりボソッと言葉が出る。
「危ない!」「……」
恵美香が中型魔物がビームを放つのを見て声を荒げる。
あかりは両手を握り祈ることしかできなかった。
「攻撃しなくて正解だったな」
栗山先輩が今の攻撃でもまだ生きている魔物を見て言葉が出る。
自身の発言にハッとして苦々しい顔をした。
「律……」
桃坂先輩が栗山先輩の発言を聞き見つめるのだった。
「ドゴーン」「ゴーーン」「ドゴーン」
爆発音が連続で聞こえた。
「キャー!」「衝撃に備えてください」
生徒が悲鳴を漏らす。バスが大きく煽られバスの運転手が大声を出した。
「ふー!」
バスは転倒は免れたが半回転して停車した。運転手は安堵の息を吐く。
「助かりました」「いえ偶々です」
熊田先生は運転手に激励する。運転手は運が良かったと答える。
「おいこら!待ちなさい!」
あかりは一瞬を突いて、バスのドアを手動で開け外に飛び出した。熊田先生が静止を呼びかけるがもちろん聞かなかった。
「昴……昴ー!」
あかりが外に出て魔物が居た方に大声を出して昴を呼ぶ。
「……」「こら待ちなさい」
昴からの返事はなく、熊田先生が追いかけてきてポコンと頭をこついた。
「大丈夫だ。あの爆破は間違いなく竹中だ!」
熊田先生があの攻撃は昴が使用したと確信を持ち言う。
「分かってます。ただ…」
あかりは多分そうだと思うけどと、魔力の枯渇を心配する。
「それも大丈夫だと思うぞ。竹中は精霊を連れていたからな……」
熊田先生はあかりの心配を理解し、小さな声で心配いらないと言う。
精霊と契約した人は魔力も底上げされる。元が魔力が多いのにさらに多くなる為、大技の連発が出来る。
「詳しいんですか?」
あかりは熊田先生に聞く。
「あー……親友が精霊契約者だ」
熊田先生は少し考え、親友が世界で六人しかいない精霊契約者一人だと言う。
「そうなんですね!」
あかりは驚くが納得もする。
日本の精霊契約した
「問題はこれからだな」
熊田先生は少し悩んでいた。精霊契約に成功した生徒をどう扱おうか悩んでいた。
世界で六名しか居らず日本では一人だった。二人目が現れたが戦力のバランスがおかしくなってしまう。非公開で他にも居ると噂はあるが、正確な人数は公開されている六名だった。
「…………昴!」
あかりと熊田先生が中型魔物が居た場所を見つめていると何かが飛んで来ていて、あかりがあれは昴と言う。
「…」
熊田先生はいちおう警戒するが近づくにつれ竹中と分かり安堵する。
「あれ?」「昴ー」
昴は思っていたより近くにバスが居て、外にあかりと熊田先生が待っていて首を傾げる。あかりは昴に抱きついた。
「説明は後から聞きます。一旦離れますよ!」
熊田先生はとにかく学園に戻ると言う。
「はい…」
昴は頷き返事を返しあかりの手を引きバスに戻った。
「チィ」「あれ!」「マジ!」
栗山先生が舌打ちし、他の生徒が昴を見て騒めく。
「うん?」「昴君ここ座って!」「おおい!」
昴が周りの騒めきに首を傾げる。鈴には小さくなってもらい姿を隠してもらっていた。恵美香が昴とあかりに座るように言いあきらを自身の席に引っ張り押し込んだ。あきらは少し戸惑うが状況が状況のため素直に動いた。
あかり、昴の順に席に座りその後ろにあきら、恵美香が座った。
「出してください」
熊田先生は運転手にとりあえず出発しましょうと指示を出す。
バスが学園に向かい再び動き出したのだった。
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