精霊編2

精霊編二

 昴は精霊と契約した。

「いい、鈴!これからさ君のことをしっかりと聞くのですよ!」

 シルフが鈴に言う。


「はい!」

 鈴は右手をビシッと上げ返事をする。


「それでは私はこれで!」

 シルフはスカートをちょこんと上げ姿を消した。


「フィー、鈴。ここからはどうやって出るの?」

 昴はフィーネと言いかけ鈴と言い直した。


「鈴だよ!ここから出たいと思えば出れるよ!わたしは君に従うんだから!」

 鈴はここの空間は鈴が作ったから昴次第で元に戻ると話す。


「……分かった!」

 昴はどう言う理屈かと思うが頷く。

 目を瞑り元居た場所を思い浮かべる。


「昴!」「昴君!」

 あかりと恵美香が突如席に戻った昴に驚く。


「どんだけ居なかった?」

 昴は目をパチクリさせている二人に聞く。


「一、二分くらいかな?!」

 恵美香が答える。あかりは昴の身体を触り存在を確かめている。


「どうなっているんだ!」

 足立先生が驚き聞いて来た。


「後で説明します!それより!」

 昴は中型の魔物を見て言う。


「通れるようにした!前に進んでみてくれ!」

 熊田先生が外からバスを動かしてくれと指示を出す。


「分かりました!」

 運転手が返事をしバスが前進する。

 熊田先生、あきら、栗山先輩、桃坂先輩が作った鉄板でなんとか抉れた道を通過できた。


「ふー」「何とかなったな!」

 あきらと栗山先輩がバスに戻ってくる。


「行ってくるね!」「えっ」「待って!」

 昴が恵美香の前を通り、バスの通路に出る。恵美香は驚き、あかりは静止の声を出す。


「大丈夫だよ!」「そーそー任せて」「えっ!」「えっ!」「なにー!」

 昴があかりと恵美香をに声をかけると鈴も任せてと言う。

 あかりと恵美香は驚き、足立先生も驚き大声を出した。


「えっー!」

 桃坂先輩もバスに戻ってきて驚きその場で固まる。


「桃坂先輩すいません!」

 昴は合間を通りバスから降りた。


「…竹中どうするきだ!」

 熊田先生が昴と鈴を見て昴に聞く。


「倒します!このままだと危険なので!」

 昴が中型の魔物を倒すと言う。


「……分かった。しかし離れるまで待て!」

 熊田先生は精霊をチラッと見て答える。昴の力と精霊が合わされば中型魔物を倒せると判断し、周囲が避難するまで待てと言う。


「……分かりました、なら!」

 昴は返事をし空中に飛び上がった。


「なっ!」

 熊田先生は驚く。


「鈴のおかげです」「ふふん」

 昴は精霊の力と言う。鈴は胸を張る。


「そ、そうか。風の精霊か!」

 熊田先生は昴が契約した精霊は風の精霊と言い当てる。

 風の精霊は空を飛び、火の精霊は火力が上がり、水の精霊は水の上を歩け、土の精霊は防御が上がると言い伝えがある。


「まーそうですね!」

 昴は熊田先生に言う。


「鈴、あっちまで行ける?」

 昴は鈴に今いる場所とは正反対に行けるか聞く。


「あいつを避けてってことだよね?」

 鈴は昴に聞く。


「うん。上か避けてだね」

 昴はルートを話す。


「わかった」

 鈴は了承し昴と共に上昇していく。


「えっ、竹中」

 熊田先生が声をかけようとしたが、声は聞こえなかった。

「昴!」

 あかりもバスから飛び出してくるがすでに昴は居なかった。


「美濃……とりあえずここを離れるぞ!」

 熊田先生は強引にあかりをバスに押し込んでその場を離れるのであった。


「ねーあの変なのどうするの?」

 鈴が中型魔物を見て言う。

 昴と鈴はアクアラインと中型魔物の直線上に到着した。


「倒すよ!まー見てて!」

 昴は鈴にいい目を瞑った。

「……エクスプロージョン!」

 昴は数呼吸して水素爆破中型魔物の上でを起こした。


「ガルーー」

 中型魔物は負傷しているが健在だった。


「めちゃくちゃ怒ってない?」

 鈴が魔物の怒声を聞き昴に言う。


「倒れないか!やっぱり威力かな?」

 昴は顎に手を置き考える。


「そんなんより!キャー」

 鈴が考えてるより何とかしてと言おうとして、中型魔物が転回して、昴にビームを放った。昴が悲鳴を漏らすが昴の左側を通過した。


「良かった…こっち来てて」

 昴はアクアラインで攻撃しなくて良かったと言う。


「良くないわよ!契約間違えたかな?」

 鈴が昴に言い返し、選ぶ人選間違えたかなと思うのだった。


「精霊って魔力多くないと無理なんでしょ?」

 昴は諦めたらと言うのだった。精霊がこっちの世界に顕現する場合、契約者の魔力が多くないと顕現できない。


「優しそうだと思ったのにー」

 鈴が精霊世界で覗き込んでいた感じと違うと訴える。


「知らんがな!」

 昴は方言で返し笑う。


「さてと、まー何発か打てばいいか!」

 昴は中型魔物の損傷具合を見て言う。


「鈴、力を貸して!」

 昴は鈴に力を求めた。


「ほいさー」

 鈴は敬礼し昴の手を握った。


「エクスプロージョン!」「ドゴーン」

 昴は、ほぼ溜めなしで放った。


「ガルルル」

 中型魔物が悲鳴を漏らす。


「エクスプロージョン!」

 昴がもう一発放った。


「ガ」

 中型魔物の悲鳴が止んだ。


「…………」

 水蒸気で魔物周辺の視界が見えず沈黙する。


「やったか!」「それ言ったらダメ!」

 鈴が決め台詞を言い、昴はお約束になるから言うなと言う。


 水蒸気が無くなり視界がクリアになる。

「終わったな」「やったー!」

 昴が消沈したと言い鈴が喜び回ったのだった。

 

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