精霊編1

精霊編一

 突如、アクアラインをバスで走っていたら、昴達の海側に空間が開き、中型魔物が出て来た。

 前代未聞であり、中型魔物は口からビームを放ってアクアラインの道路が抉れたのだった。

 熊田先生の提案で、あきら、栗山先輩、桃坂先輩達が抉れた道路に鉄板を魔法で作り、通れるようにしようとしていた。


 一方バスの中では、

「昴!」「昴君!」

 あかりと恵美香が必死に昴を起こしていた。譲っても、肩を叩いても昴が起きなくて心配していた。


「えっ!」「き消えた!」

 突如昴がその場から消えてしまい、あかり、恵美香が驚き戸惑った。


「どうした!」

 足立先生も異常に気づき声をかけて来たのだった。


「ここは?!」

 昴は真っ白な空間に居た。周りをキョロキョロしたが何も無かった。


「ねーねー、ねーねー!」

 昴の目の前に小さな少女が突如現れた。羽をパタパタして昴の目線まで浮いていた。


「わっ!……君は?」

 昴は驚き数歩後ろに後退する。顔と羽を交互に見て少女に聞く。


「わたし?私はね…何だったけ?」

 羽の生えた少女が首を傾げる。

「えっ!」

 昴は少し戸惑う。


「えーっと、わたしは、確かー……うーん…わかんない!」

 羽の生えた少女が頑張って思い出そうとするがダメだった。


「君はもしかして精霊?」

 昴は本に載っている精霊かと聞く。



「うーん…そう!わたし精霊!」

 少女は少し首を傾げ考え、精霊と答えた。


「精霊なんだ!」

 昴は少女の反応に驚く。


「ふふふんすごいでしょ!」

 少女は精霊で自慢気に胸を張る。


「……」「あっ!そうだった。君に頼みたいことがあるんだった!」

 昴が少女の自慢気に呆然していると、少女が思い出したと言う。


「ねー、君!わたしと契約してくれないかな?君の魔力量なら契約できるんだよ!」

 少女は昴に精霊契約をしようと言うのだった。

 精霊と契約した人は世界で六人しかいない。契約すると強さも跳ね上がる。


「……えーっと!」

 昴は精霊契約と言われ戸惑う。今でも十分実力がありこれ以上はと思った。


「わたしとじゃー契約嫌?」

 少女は悲しそうに言う。


「うんうん嫌じゃないよ!」

 昴は首を振り違うと苦笑いする。


「ならしようよ!わたしと契約!」

 少女は昴の周りをぐるぐると飛び回り契約しようと言う。


「うーん…」

 昴は悩む。


「こら!無理矢理はいけません!」

 突如少女の後ろから声がする。


「ヒッーごめんなさい!」

 少女は直立し謝罪する。


「ごめんなさいね。本来は私が出るところではないのだけど急をようするから」

 声をかけて来たのは女性の精霊だった。昴が本で見た精霊に似ていた。


「私の名前はシルフ。今は風の精霊を束ねているわ」

 女性の精霊が挨拶した。


「初めまして、竹中昴です」

 昴は本で見た精霊だと驚き自身も自己紹介する。


「フィーネ!自身のマナを忘れるんじゃありません!」

 シルフが名前を忘れた少女に注意する。


「すいませんでしたー」

 フィーネは土下座をする。


「ハー。ごめんなさいね!契約にはマナが必要なの。それを忘れた子は初めてで!」

 シルフは頭を抱え昴に謝る。


「い、いえ」

 昴は大丈夫と首を振る。


「あっいけない!」

 シルフが慌てて声を漏らす。

「どうしたんですか!」

 昴も慌ててシルフに聞く。


「えーっと、ここは現実とは隔離された空間なの。そして君達がいるところに魔物が現れて暴れているの!」

 シルフは昴に事情を話す。


「え!どうして!」

 昴は門に出現したのは知ってるが、なぜもう来ているのかと驚く、戸惑う。


「だから、わたしと契約なのよ!」

 名前を忘れていたフィーネが胸を張り言う。


「あなたねー」

 シルフが頭を抱える。


「どうしたらいいの!」

 昴はフィーネのに詰め寄り聞く。


「慌てないで!契約したら元の場所だから大丈夫よ」

 シルフが昴に一度落ち着くように言う。


「……スーハー、…フーー」

 昴は深呼吸し落ち着く。


「もうこの際だから私が教えるわね!」

 シルフがせっかくだからと説明する。

「精霊にはマナがあるの。私はシルフ、この子はフィーネ!契約したい子のマナを呼び、新たに名をつけてあげるの!」

 シルフはマナを呼び新たに名前を付けたら契約出来ると話す。


「あっちに戻ったらマナはあまり口外しない事を勧めるわ!」

 マナを知られ新しい名前を付けられ、もし気に入れば奪われる危険があると注意された。


「そんなヘマしないよ」

 フィーネが頬を膨らます。


「シルフさんは大丈夫何ですか?」

 昴は疑問をシルフに聞く。


「ふふ。ありがとう、私は大丈夫よ!上位になれば抵抗も出来るからね!」

 シルフはマナを知られたくらいでは問題ないと話す。


「ねーね!早く契約しよ!危ないんでしょ?」

 フィーネが昴を急がせる。


「……」「大丈夫よ、君のためになるわ」

 昴がシルフをチラッと見ると、シルフはあれだけと心配いらないと言う。


「……フィーネ!」「はい!」

 昴は少し考えてからフィーネを呼ぶ。フィーネは返事をし、昴の目の前に立つ。


「フィーネに名をすず」「うん」

 昴がフィーネに名前を付け、フィーネは同意し昴の口にキスをした。


「……!!」「…ふふ。わたしは鈴!鈴、鈴!」

 昴がびっくりしていると鈴が自身の前飛び回りながらを連呼していた。


「おめでとう、フィーネ!いいえ鈴!」

 シルフが拍手していた。


「えーっとシルフさん?!」

 昴はシルフをジーッと見る。


「何かな?」

 シルフは惚けた感じで答える。


「……」

 黙ってたなと昴は思うのだった。

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