校外研修編10

校外研修編十

 自由時間に昴、あかり、あきら、恵美香は商店街でショッピングしていた。

 昴は青色のコップを買い、あかりは薄ピンクのお揃いのコップを買った。

 恵美香は昴が似合うと思う薄紫のコップを選んで納得して貰った。あかりがお揃いの柄を拒否したのだった。


「別にいいもん。昴君に選んでもらえたし」

 昴が居ないところで恵美香があかりを牽制する。


「渡さないから!」

 あかりはムスーっと言い、ニカっと笑うのだった。


 自由時間が終わり集合場所に集まる。

「何人か知っていると思うが、どうやら今回も魔物はこっちに向かってる」

 バスに乗ると熊田先生が研修最終日でと頭を振る。


「点呼するぞ!」

 足立先生が点呼し全員居るのを確認し、バスは学園に向けて出発した。


「チィ!」

 バス走行中舌打ちが聞こえた。前の席にはあかり、あきらが座っていて後ろに昴、恵美香が座っていた。


「なんだよ!」

 あきらは通路挟んで座っている栗山先輩に言い返す。


「お前ら席コロコロと!」

 栗山先輩は席コロコロ変わるなと不満を漏らす。


「仕方ないだろ!」

 あきらは左に座っているあかりに目配せする。


「だってー」

 あかりは頬を膨らます。後ろの席の昴は窓側に寄せて寝ていて、恵美香は昴側に頭を倒して休んでいた。


「イチャイチャしやがって!」

 栗山先輩があきらに言う。


「俺はしてないやろ!やろ?」

 あきらは俺は対象外ってツッコミを入れる。


「狙ってるくせに?」

 あかりはあきらに恵美香をアピールしてるのにと呟く。


「ゴホッ!ちょ!」

 あきらは咽せる。


「ガキが……あきらはまだ早い!」

 栗山先輩がガキがと言い放ち、ボソッと言う。


「ふふ。それをはっきり言ったらいいのに」

 桃坂が栗山の小さな声を聞き話に入って来た。


「桃坂先輩なんですか?」

 あきらは栗山先輩が何を言ったのか聞く。


「桃ー!」

 栗山先輩が言うなと桃坂先輩の口を押さえる。


「ほー」「栗山先輩もイチャついてるじゃないですか!」

 あかりが栗山先輩と桃坂先輩を見てニヤつき、あきらは栗山もじゃんとつっこんだ。


「お、おい!あれは何だ!」

 バスがアクアラインを走っていると、後ろの方の座席の生徒が大声を出した。


「う嘘!」「な、何で!」「キャーー!」

 東京湾に突如、異空間が広がり中型の魔物が飛び出して来た。

「ありえない!」

 足立先生がこんな事態は初めてだと混乱する。

 熊田先生はどこかに連絡していた。


 バスの中は騒然していてパニックになっていた。

「お、落ち着いて!」「落ち着いてください!」

 足立、熊田先生が落ち着くよう声をかける。


「す昴君!」

 恵美香が昴を揺すり起こそうとするが、昴は起きる気配がなかった。


「ゴーン」「キャー!」

 中型魔物が口からビームを出しバスの前を通過した。生徒達が悲鳴を漏らす。バスは急ブレーキして停まった。


「……昴!」「昴君!起きて!」

 あかりも昴と恵美香の席に移動し昴を起こしに入る。

 恵美香は引き続き昴に声をかけ続けていた。


「ちょっと!栗山君!」

 中型魔物の攻撃でバスの前方の道路が抉れ、バスや周りの車が立ち往生した。栗山先輩がバスから降り、熊田先生が制止するよう声を出す。


「お、俺も!」「私も!」「俺も…」「行くか!」

 あきら、桃坂先輩、椎名先輩、高木先輩が飛び出していく。


「あ、コラ!……あーもー!」

 熊田先生が次々外に出る生徒に注意するが、あきら達は外に飛び出していってしまう。熊田先生も外に飛び出す。


「……どうするんだよ!」

 あきらが栗山先輩に声をかける。


「俺が倒す!」

 栗山先輩が攻撃すると声を張る。


「待ちなさい!今ここで攻撃したら……」

 熊田先生がバスから飛び出し、刺激を与えないでと注意する。


「でも!」

 栗山先輩は熊田先生に食ってかかる。


「気持ちは分かりますが、後ろには他の生徒が居ることを肝に銘じてください!」

 熊田先生は場所を考えろと言う。


「まず穴を塞ぎ一旦この場を離れましょう!」

 桃坂先輩は中型魔物が攻撃し抉れた道路を応急処置し、通れるようにしようと提案する。


「そうね!」

 熊田先生が同意する。足立先生は他の生徒が外に出ないように声をかけていた。


「砂を生成する?」

 あきらが砂を無から生成するかと聞く。


「やめましょう!深さがあるからタイヤが嵌ってしまう!」

 熊田先生があきらの提案を否定する。


「なら鉄板か?でもな!」

 栗山先輩が鉄板を引いて対象するかと言い、無からはキツイなと言う。


「広範囲ではなく、タイヤの部分だけなら可能だと思います!」

 熊田先生が全面じゃなく必要部分なら出来ると話す。


「分かりました」「分かった」「よし!」

 桃坂先輩、栗山先輩、あきら達外にいた生徒が了承し魔法を使い始めるのだった。

 

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