同居編6
同居編六
火災から一週間たった。
昴はなんだかんだ言い訳を言われ、ダブルクラスの一部屋に住んでいた。
母親に連絡したら「良かったわね」と言われ電話を切られる始末だった。
心配して聞いてクラスメイトには一人部屋に引っ越したと説明した。
「……お邪魔します」
あかりが昴の部屋に入ってきた。引っ越し業者が荷物を運び終え、昴とあかり二人きりになっていた。
「ボス」
あかりがリビングにあるソファーに座る。ダブルクラスは二段ベッドがある寝室、リビング、トイレ、風呂がある。
「と、」「あかりは上で寝る?下で寝る?」
あかりがと、と言い、昴があかりに寝る場所を聞く。
「……う、上で」
あかりは上で寝れと言う。
「了解」
昴は下で寝ていたが恥ずかしくなり寝室に向かう。
「ハー」
あかりはリビングで昴は寝室でため息を吐くのだった。
「ピンポン」
インターホンが鳴る。
「……」「……」
昴とあかりはピンポン聞こえたが反応できずにいた。
「ピンポンピンポン」
反応が無く二回連続でインターホンがなる。
「ピッ」
無言で扉の解除音がなる。
「ガチャ」「昴君?あかり?やってる?」
あかりが玄関に入り声を出す。
「…やってません!」
昴とあかりが声を荒げる。
「あれ?なんで別の部屋にいるの?」
あかりがリビングにやって来て言う。
「二段ベッドの確認に…」
昴が頬を赤くして答え、リビングにやってくる。
「片付けるわよ?」
引っ越しの荷物片付けるよとゆいかが言う。
「いいわよお姉ちゃん!」
やらなくていいとあかりが言う。
「片付けれるとでも?」
二人の状況で終わると思う?とゆいかはあかりに聞く。
「…………手伝って」
小さくゆいかが言う。
「なに?」
あかりはニターっとなり聞き直す。
「うっ…手伝ってください、お姉ちゃん」
あかりが涙目でジロッと睨み、ゆいかにお願いする。
「ちなみにこの事は誰にも内緒だって!」
ゆいかは二人が一緒に暮らす事は内緒と話し、近くにあった段ボールを開け始める。
兄弟、姉妹以外のダブルクラスは何組か居るが原則秘密らしい。友達、恋人、家族(シングルマザー、ファザー)、師弟等の組み合わせがある。
「へー!」「ちょっ!」「……」
ゆいかが段ボールから下着を取り出した。あかりは赤面して声を出す。昴は目を逸らす。
「お姉ちゃんはこれしまって!」
ゆいかがあかりから、段ボールと下着を取り上げ寝室に入って行った。
「……」「これから頑張ってね!」
昴がゆいかをジトーっと見る。あかりが笑いながら言う。
「あ、これ片付けて!」
ゆいかが段ボールを一つ昴に渡す。
あかりの食器類だった為、昴は無言で受け取り片付ける。
「もう、お姉ちゃんは!」
下着類をしまい終わったあかりがリビングに出て来た。
「はい。次これ!」
ゆいかは次の段ボールをあかりに渡す。中身は服類だった。
「……」
あかりは無言で受け取り、再び寝室に入って行った。
「ねー、昴君。二人は付き合ってるんだよね?」
ゆいかは食器を閉まってる昴に聞く。
「ゴホッ!なんですか急に!」
昴は咽せてから聞く。
「いやーだって、ねー!」
ゆいかは初々しくても言う。
「つ、付き合ってますよ。いちおう」
昴は照れながら言い、小さく一応と答える。
「嬉しくないの?」
ゆいかは首を傾げて聞く。
「…」「ほーほー」
昴は赤面する。ゆいかは昴の反応に満面の笑みで頷く。
「エッチはまだダメだからね!」
ゆいかはまだ早いから待ってねと言う。
「ゴホッ」「ちょ!お姉ちゃん!」
昴が咽せ、あかりが寝室から出て来た。
「お邪魔だから帰るね!」
ゆいかは笑い席を立ち玄関の方に向く。
「待って!」
あかりが声をかける。
「なーに?」
ゆいかがニヤーっと振り返る。
「夕飯食べでって、ください」
あかりは徐々に声のボリュームが小さくなる。
「可児君に感謝だね!」
ゆいかはニヤニヤと言うのだった。
夕ご飯が終わるとゆいかはサッと帰って行った。昴とあかりがもう少し居てと声をかけるが、ニヤニヤしながら断られた。
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