同居編1

同居編一

 決闘の結果、昴が勝った為昴の転校の話は無くなった。

 しかし智樹が不服みたく、行方をくらませた。


「ほんとなに考えてるんだか!」

 あきらは智樹は何考えてるんだと言う。


「うーん初等部の時ってどうやったか?」

 昴は智樹とは六年の時に同じクラスだったと思い出す。


「強くなろうとしてたな、あいつなりに!」

 あきらも去年を思い出し話す。


「わたしは別のクラスだったけど、智樹君の事もよく名前上がっていたよ!」

 恵美香は実力者の生徒として有名だったと言う。


「順位かな?」

 昴は中等部になってからの順位が問題なんかな?と話す。


「それもあると思うけど……」

 あかりはそれも一つと話す。


「心当たりでも?」

 恵美香があかりに聞く。


「……うん。えーっと」

 あかりは心当たりはあるけど、なんて説明しようかと悩む。


「ちょっといいかな?」

 可児先輩が声をかけてきた。


「……はい」

 昴が代表して返事する。


「どうやら智樹は君達を意識しているみたいだった。智樹なりに強さの壁に当たってしまって悩んでいると感じた。すまないと思ったが、決闘という形で力を見させてもらった」

 可児先輩は智樹は何か思惑があったと思うが、弟の為ひと肌脱いだと話す。


「そうなんですね!ありがとうございます」

 昴は可児兄弟の好感度を落とすが可児先輩にお礼を言う。


「居ました!」

 先生が智樹を発見したとフィールドの部屋に入ってきた。

「どこですか!」

 可児先輩は直ぐに聞く。


「…寮です」

 先生は少し悩み寮に居たと話す。


「……放火していた為、取り押さえました」

 周りを一周みて智樹が魔法で放火していて現行犯で取り押さえたと言う。


「な!」「えっ!」「えっ!」「なんで!」

 可児先輩は顔が青ざめ、昴、あきらは驚き、恵美香は戸惑った。


「可児、智樹君は何を考えていたんですか?」

 あかりは報告した先生に聞く。


「えーっと、……竹中君が居なくなれ、と……」

 先生は言いづらそうに竹中の部屋を放火していたと言う。


「……ごめん。私のせいだ」

 あかりはボソッと言い、膝から崩れる。


「あかり?あかりのせいじゃないよ!」

 昴は慌ててあかりに駆け寄り言う。


「うんうん。私、か、智樹君を追い詰め過ぎた」

 あかりは昴に話す。

 智樹があかりに告白した事、あかりには好きな人が居て一位目指して頑張っていて、五位以内に入るくらい本気なのかとプレッシャーをかけた事など。


「だから智樹はあれほど勉強してたのか!」

 可児先輩は納得したと呟く。


「……美濃さん。それは智樹の問題であって美濃さんが心配する事じゃないよ。あとどうであれ、智樹が真剣に勉強に取り組んでいる事はいい事だと思った」

 可児先輩は苦笑いであかりを慰める。


「竹中君悪いが智樹を見てくる。悪いが謝罪は後ほど!」

 可児先輩は昴に言い先生と走って行った。


「マジかよ!」

 あきらは被害者は昴やろと顔を強張らせる。


「まー仕方ないよ」

 昴は弟の為だからと苦笑いする。

「僕は兄弟いないから分からないけど、家族がなんかあったら、そっちのけで動くと思うしね」

 昴は家族と置き換えたら同じ行動を取ると話す。


「……そうかあかり好きな人いたんだ」

 ボソッと昴は言い少し肩を落とす。


「え、え!」

 あかりは周りをキョロキョロしあたふたするのだった。


 その後お開きになり、あきら、恵美香は寮に戻った。

 昴、あかり、ゆいかは寮の外に居た。


「あの寮、あの部屋昴君のだね!」

 ゆいかは消火活動している建物を見て答える。


「……そうだね…どうしよう」

 昴はどうしようかと返事する。


「あかり?」

 昴は青ざめているあかりに声をかける。


「……」

 あかりは昴の部屋をジッと見つめていた。


「…ねーね!昴君。今日どこで寝る?あのままだと寝れないよね?私の部屋で寝る?一緒に!」

 ゆいかは昴の後ろから飛びつき、腕を回し聞いてくる。


「……」

 ゆいかは無言で見向きもしなかった。

「ちょっ、ゆいかちゃん!」

 昴はゆいかに離れるように言う。


「あらら、重症だね!」

 ゆいかはあかりの反応を見てこれは重症だと言う。


「本当にどうする?荷物とかは鎮火してからだから、明日とかになると思うよね?もう直ぐ夕方だよ?」

 ゆいかは真面目に聞いてきた。

 色々していたら既に十五時を回っていた。お腹もぺこぺこであった。


「熊田先生に聞いてみる。その後早いけどご飯にしようかな?」

 昴は今後どうするか熊田先生に聞くと言い、昼夜兼用でご飯食べに行くと話す。


「私達も行っていい?」

 ゆいかはあかりの手を引き歩く。


「いいよ」

 昴もあかりの空いてる手を取り歩いて行くのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る