中間テスト編8

 防壁魔法のテストに入っていた。

 

「次一年一組、竹中君二番、美濃君五番」

 昴とあかりが呼ばれた。

 防壁は強度を測るため時間が個人で違う。


「五秒以内に防壁を展開しなさい。いくわよ。一、二、三、四、五」

 昴がフィールド内に入ると、熊田先生が準備はいいか?と聞かずに始めた。


「……ハッ!!」

 昴は四秒の時に防壁を展開した。

 防御の基準は強度のみで、タイムの測定は無く、五秒の時間内でどれだけ強度にするかのテストだった。


「よし!」

 熊田先生が防壁にレーザーの機械を当てて強度を測る。


「不意打ちとは卑怯ですよ!」

 結果が出るまで暇なので熊田先生に文句を言う。


「悪い悪い。不意だとどうなるかと思って」

 熊田先生は全然悪いと思わず答える。

「でも充分だと思うぞ!実際もっと早く展開できるだろ?」

 あの反応だと問題ないと言う。


「まー五秒ありますし」

 昴は時間いっぱい防壁の強度を上げれるからいいけどと言う。


「やっぱり速度も加点したいな!」

 熊田先生は防御も速度も重視したいと言う。


「それを言われましても!」

 昴は僕に言わないでくださいと言う。


「早く展開できる生徒が少ないんだよ!」

 熊田先生は昴に君ぐらいしか早く展開できないと言う。


「そうなんですか?」

 昴はあかりなら出来ると思うと思い言う。


「実際どうなんだ?」

 熊田先生がどれくらいで防御展開できるか聞く。


「測ったことないんで、測ってください」

 昴は熊田先生が気になるならと構える。


「よし!初め!」

 熊田先生は計測時計を準備し合図する。


「ハッ!」

 昴は最速で防御を展開する。


「早いな!」

 熊田先生はタイムに驚く。時計は一秒ぴったりだった。

 

「テストの防壁よりは強度落ちますけどね!」

 昴はテストのは時間があったから、さらに強度したと白状する。初等部の時は信用できる先生じゃなかった為本気ではやらなかった。

 熊田先生からの注告もあり正解だったと思い攻撃魔法もレールガンに留めていた。


「まーそうだろうな!」

 熊田先生は時間かけた方強度は上がると話す。まだ結果が出ていないモニターを見る。


「ちなみにこれも測っていいか?」

 熊田先生は興味半分で聞く。


「僕はいいですよ」

 昴も少し興味があり頷く。


 熊田先生はレーザーの機械をもう一つ持ってきて強度を測る。熊田先生は、昴は先生によって実力を隠してある事は知っていた。


 少し時間が経ち強度が出る。

 その合間に実力をどうするか話し合っていた。校長と信頼できる先生にはしっかり話す事になった。

 

「六〇か!すごいな!」

 熊田先生が驚く。ダイヤモンドの硬度は十とされている。現在、硬度と強度はイコールされている。


「熊先生、もう一つは?」

 速さで作った防御の強度はと聞く。


「あー、こっちは三五だったぞ!」

 熊田先生が結果を見せてくれる。


「以前より上がりましたね!」

 昴はヨシっと拳を握る。


「上がってしまったな!学園一だぞ!」

 熊田先生は六十も三十五は異常と言う。

「うーん。点数はどっちも満点だが……」

 熊田先生はどうしようか迷っていた。

 

「な、ならこっちの点数で!」

 昴は速さの方でもいいと言う。


「皆にはこっちで頼む!」

 熊田先生が速さの方の三十五の方で話してくれと言う。


「分かりました!満点ならいいです」

 昴は笑顔でフィールドを出て行った。


「硬度六〇って破れるんか?」

 熊田先生はボソッと言うが昴には聞こえなかった。


「どうだった?」

 昴が戻るとあかり、あきら、恵美香は既に終わっていた。


「うん。満点もらったよ!」

 昴は強度は言わずに満点取ったと話す。


「くー!やっぱりか!」

 あきらは時間的にそうだと言う。


「強度は?!」

 あかりと恵美香はグイッと聞いてくる。


「……三十五」

 昴は小さな声で言う。


「えっ!」

 二人は予想より低くて驚く。


「二人は?」

 昴は話を変える。


「私は三十」「二十一です」

 あかりと恵美香が自身の強度を言う。


「すごいやん!」

 昴は平均値以上だと褒める。

 防御の平均強度は十八だった。

 ダイヤモンドより防御の方が硬いため、各国は防御を魔道具化出来ないか模索していた。試作品は完成していた。


「……うん」

 あかりと恵美香は納得いかない顔をしていた。


「あきらは?」

 昴はさらに話を変える。


「俺か?俺は二十二だったよ」

 俺も普通と答える。


「なになに?今年の一年はすごいんだね!」

 あかりと恵美香の後ろからゆいかがやって来た。


「きゃ!」

 恵美香が驚き悲鳴を漏らすのだった。

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