中間テスト編5

 校長と熊田先生は校長室にいた。


「熊田からしてどう思う」

 校長が熊田に率直に聞く。熊田と校長は学生時代の先輩と後輩になる。校長といっても一般の校長先生みたく年寄りでは無く四十代であった。魔法学校であるため魔法が使えるのが前提である。


「危うさはあり問題児扱いではありますが、自己のためより、仲間のために使う生徒だと思っています」

 熊田は初等部からの印象を話す。


「仲間か!」

 校長は頷く。


「他国にはやれんな!」

 校長は海外には渡せないと話す。海外は日本より魔法使いの自由度が厳しい国が多い。


「今回の報告次第になりませんか?」

 熊田は報告次第で各国が動くと言う。


「今回の魔物は当初百頭程度と言う話だったろ?そこを突いてみよう!」

 校長は魔法師団に相談すると話す。


「よろしくお願いします」

 熊田は校長に頭を下げて退出した。


「はーいお待たせ」

 熊田先生がクラスに戻ってきた。

 昴とあかりも席に座っていて、あきらと恵美香とで会話していた。


「午後からのテストは明日に延期します」

 熊田先生は残りの二教科の説明をする。国、数、英、理、社の五教科はすでに終わっているが、攻撃魔法、防御魔法の二教科がまだだった。


「えー!」「もうよくない!」

 不満が生徒から漏れる。


「私はいいけどテスト〇点になるけどいい?」

 熊田先生が言う。


「いえ、明日お願いします」

 ブーイングしていた生徒が手のひらを返す。


「あかりはテストどうだった?」

 昴はそういえばと聞く。


「う、うん。たぶん」

 あかりはミスがなければと言う。


「ふーん。毎度すごい力の入れようだよね!」

 昴はその意義混む力が、かえってミスをすると思っていた。


「うん。まあね…」

 あかりは苦笑いをするのだった。


 次の日

「残りの二教科だな!」

 あきらが嫌なら顔で言う。


「ヨシ!」

 あかりは意義混む。


「移動ですよね?」

 恵美香が移動しなくていいの?と聞く。


「あっ!」「やば!」

 あかり、あきらがそうだったと慌てて準備し教室から更衣室に移動した。昴と恵美香も後に続いた。


「ね、あかりちゃん」

 恵美香が更衣室であかりに声をかける。


「何?」

 あかりは服を脱ぎながら答える。


「……あかりちゃんは昴君のこと、す…何だよね?」

 恵美香は小さな声になりながらも聞く。


「…………負けないよ!」

 あかりは手を止め恵美香をジッと見て、真剣に答える。


「ご、ごめんなさい」

 恵美香は頭を下げる。


「何で謝るの?」

 あかりは首を傾げる。

「負けないから、絶対!」

 あかりは服から戦闘服に着替え、恵美香に手を出す。


「…ありがとう。私も負けない!振り向いてもらう!」

 恵美香もあかりの手を握り宣言する。


「なになに?面白いことになってるね!」

 更衣室の端から声がした。


「キャ!」「ぎゃー!」

 恵美香とあかりが悲鳴をあげた。


 あかりと恵美香が訓練場に入ってきた。

「どうしたの?」

 昴が二人に声をかける。


「な、なんでもない」

 二人が声を揃えて言う。


「ふ、ふ、ふ、知りたい?」

 その後ろからゆいかがひょこっと出てきて言う。


「……」

 あかりと恵美香の睨みが入る。


「わかった、わかった。誰にも言わないから睨まないで!お姉ちゃん悲しくなる!」

 ゆいかがあかりと恵美香に言う。


「ゆいかちゃん、ほどほどにね!」

 昴はゆいかに苦笑いをする。


「誰のせいだと…」

 顔を真っ赤にしあかりが言おうとし、恵美香があかりの口を押さえる。


「あかりちゃん冷静に!」

 恵美香はコソッと言う。


「……ふー」

 あかりは一息入れ冷静になる。


「そんじゃーね!」

 ゆいかはそそくさと逃げていくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る