中間テスト編3
テスト本番、昴は朝起きテレビを付ける。
「緊急ニュースです。今日未明、門より小型魔物百頭程が確認されました。その全て西に、日本に向かったもようです。繰り返します……」
どの局も緊急ニュースの話だった。
「はー嫌なニュースやな!」
昴はボソッと独り言を言い学園に向かった。朝は昴が作り一人で食べている。
「おはよう」
昴が教室に入るとあかり達は既にいた。クラス中、いや学園中ニュースの話をしていた。
「俺達にも出動要請来ると思うか?」
あきらが話してくる。
「無いんじゃないかな?」
昴は百頭では無いと考える。現在の日本の魔法師は約一万人居る。太平洋沿いに配置したとしても、百頭なら対処できるはずだ。
「ガラガラ」「試験やるわよ」
熊田先生は入って来てテストをすると言う。
「えーー」
何名かはブーイングをする。
「はーい答案用紙配るわよ」
熊田先生はお構いなしに配り始める。
昴は、熊先生の左耳にはイヤホンがあり、ニュースを流しているんだと推測する。
「問題配るわよ!」
熊田先生が問題を配る。
「みんな行き届いたわね?……では初め!」「カシャシャ」
熊田先生の始めの合図で一斉に紙が捲れる音が響く。
テスト四教科が終わり給食中。
「ガタン」
熊田先生がご飯中、突如席から飛び上がった。
一同びっくりする。
「ご、ごめんなさいね。忘れ物を思い出して…職員室に行ってくるわ」
熊田先生は教室からそそくさと出て行った。
「…………」
教室が静かになる。
「昴……」
あかりは昴を見る。あきら、恵美香も見る。
「やばいかもね」
昴は熊先生の豹変振りを見て推測を立てる。
「校長先生!」
熊田先生は職員室に駆け込んだ。何人かの先生は既におり、続々と先生が入ってくる。
「先生方お聴きになっていたのですね!」
校長は先生達を見渡す。
「どうやら関東に来るみたいですね!」
校長は深刻な顔で答える。
「軍から応援要請が来るかも知れません。生徒をピックアップしてください」
校長は最悪のケースを想定して優秀な生徒を選抜するよう指示を出す。
熊田先生と二年、三年の学年主任の先生が話し合う。
熊田先生は一組の一班、二年の学年主任の先生は一組の一班と二班、三年の学年主任の先生は一班から五班の実戦でも行けると話す。
各組、班共に数字が小さい程優秀で、口外されていないが暗黙のルールになっている。
「一年はどうだ?二、三年は小型なら一部の生徒は問題ないと思う!」
三年の学年主任の先生が話し始める。
「一年ですか。少し心細いですね!」
二年の学年主任が言う。
「私も同意見だ」
三年の学年主任も同感と話す。
「一組の一班の二名は大丈夫だと思います」
熊田先生は昴とあかりはいけると話す。
「熊田先生あまりにも……」
二年の学年主任が一年から前線に出るのはと言う。
「あの二人かね?」
三年の学年主任はあの問題児かね?と目で聞く。
熊田先生は頷く。
「聞いて来てくれ!あくまで最悪のケースだ」
三年の学年主任の先生が昴とあかりにどうするか聞くように伝え、熊田先生は教室に戻る。二、三年の学年主任の先生は各先生に話をし、二年の一班から三班、三年の一班から五班の生徒にも参加の確認するよう伝えた。
魔法師団に所属していない為強制ではない。
当初東海地方に向かうと推定され東海地方が四割の戦力、関東関西で二割ずつ、東北、九州、四国で一割ずつの戦力が配置していた。
突如関東に進路変更になり関東の二割では厳しいとなった。関東には二千名の隊員が居るにはいるがそれをさらに各県に分かれている。どこに来るかは分からないのだった。
「応援要請来ました!」
教頭が職員室で発した。
関東学園は太平洋に面している。東京湾の入り口に人工島で作られた東京の守り手でもあった。
「嫌だねここには来ないことを願うしか無いね!」
校長先生が言い、その場に居合わせた教師が頷く。
「午後授業は中止。参加する生徒以外は寮に帰らせ、シェルターから出ないよう伝えよ!」
校長は指示を出す。
「ウーーーー」
警報が鳴る。避難警報だ。
東京湾周辺の地域に避難指示が出た。寮の生徒は地下シェルターに行くことになる。
「嫌な予感が当たりそうだね!」
昴が苦笑いし、あかりに言う。
「言わないで!本当に思ってるんだから!」
あかりは首をふる。
昴の嫌な予感は結構当たるのだった。
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