中間テスト編1

 五月中旬、中間テストがやってきた。

 

「嫌だー!」

 あきらがテストが嫌だーと不満を漏らす。


「そう?」

 あかりは嫌ではないと答える。


「いやいやあかりちゃんの実力なら問題ないでしょ!」

 あきらはあかりは頭いいから大丈夫と言う。


「日頃の行い?」

 あかりはあきらに諦めろと言う。


「そこまで悪くないやろ!やろ?」

 あきらは言い切るが考える。


「クスクス」

 恵美香が隣で小さく笑っている。


「ムッ。そう言う恵美香ちゃんはどうなのさー!」

 あきらが隣で笑っていた恵美香に振る。


「わ、私は普通かな?」

 恵美香は平均点と答える。


「ちぇー面白くないなー」

 あきらが拗ねた。

 

「頑張りましょ」

 恵美香はあきらを励ます。


「あれ?昴君は?」

 恵美香はふと昴は大丈夫と聞く。


「あー、あいつは触れないでくれ!」

 あきらは昴の話はするなと言う。

 恵美香は昴の方を向くと、昴は魔法の書を読んでいた。大辞典みたいに分厚く本である。


「よ、余裕みたいだね?」

 恵美香は昴を見てつぶやく。


 昴の学力は有名だった。初等部時代全教科満点で一度もこぼしたことがない。


「あかりちゃんはどうなの?」

 恵美香はあかりは今回はどう?と聞く。あかりは昴のことが好きで全教科満点を取ったら告白しようと日頃考えていた。今のところ全教科満点は取れていない。

 恵美香とあかりは仲良くなり、この前相談されたのだった。


「な、何とか!」

 あかりは今回こそはと意気込む。


「えっ!そこまで今回やばいの?!」

 あかりの何とか!を聞きあきらが驚く。


「うんうん赤点は大丈夫だよ。ただ……」

 あかりはアキラにそこまで悪い点は取らないと言い、昴の方をチラッと見る。


「まー頑張れ!」

 あきらは何となく察して励ます。


「たのもー!」

 教室に入ってきたのはゆいかだった。


「なによ?!」

 あかりはスタスタと扉の方へ行き、変な挨拶で入って来ないでと睨みながら用件を促す。


「昴君に用があって!」

 ゆいかは昴に用があると言い、昴の机の前まで行く。


「ねーねー昴きゅーん。勉強お、し、え、て!」

 ゆいかは昴の肩に後ろから手を回し抱きついた。


「なっ!」

 あかりは大声を出した。


「ゆいか先輩、重たい!」

 昴は本を読みながら答える。


「えー。ゆいかちゃんだよ!ってか、見なくても分かるって昴君のエッチ!」

 ゆいかは先輩じゃなくて、ちゃんで呼んでと言い胸で当てたなーと言う。


「いや、声で分かりましたし、こういう事するのゆいかちゃんしかいないから!」

 昴は声で分かったと言う。ちゃんとちゃん付けに直した。


「ふむふむなら」「だーれだ!」

 ゆいかはそう言い一歩後退すると、両手で目元を塞がった。


「え!えーっと?」

 昴は考える。こんな悪ふざけするのはと。


「正解は小鳥ちゃんでした」

 ゆいかはやったねっと正解はと話す。


「いや分からんし!北条先輩、まに受けてやらなくていいですよ」

 昴はそのまま上を向くと顔を真っ赤にした北条先輩がいた。


「こ、小鳥です」

 小さく言う。


「……小鳥先輩?」

 昴は少し考え下の名前で呼んであげる。


 小鳥はさらに顔を赤くしてゆいかの後ろに移動した。

「うんうん」

 ゆいかは頷いた。


「……用件は?」

 昴は本を閉じ用件はとゆいかちゃんに言う。


「用件はね、私たちの勉強を見てほしいの!」

 ゆいかは昴に勉強を見てと言う。


「はっー!!」

 あかりはびっくりな声を出す。あきらも恵美香も口が開いていたのだった。

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