入学編3

 実戦練習で各組の班ごとに分かれて練習していた中等部の一年から三年生。昴達は三年生の一班の実力を目の当たりにした。

 

「どうだ!」

 可児が自慢げに振り返り言い放った。


「……流石です!」

 北条小鳥が言い、昴とあかり以外は頷く。


「ふん」

 可児は満足げに鼻を鳴らした。


「次二年」

 熊田先生が二年の一班と指示を出した。


「ガシャン」

 もう一つの小型の魔物の檻、鎖が外れる。


 二年も南国、北条が詠唱を開始して、日野、ゆいかが足止めをした。三年より少し時間がかかったが倒せた。


「どー?」

 ゆいかが一年のグループまで近づき、昴に目線を送る。


「次私たちだね」

 あかりは昴の手を繋ぎ、檻方へ歩く。


「ちょっと無視!」

 ゆいかは声を荒げ剥れる。


「ねー二年も三年も微妙だったね?」

 あかりは昴にボソッと話す。


「そうだね…もう少し上かな?と思ってた!」

 昴も少しがっかりしたと話す。


「それ先輩達に言わないでくださいね」

 恵美香は苦笑いで言う。


「ふふふ。もっとスバっと言っていいよ」

 あかりは小さな声で言った恵美香に声をかける。


「さて、やりますか!」

 昴は肩を回す。


「ガシャン」

 小型の魔物の檻、鎖が外れる。


「え、え、」

 恵美香は初の魔物討伐にテンパる。


「いっちょ行くぞ!」

 あきらは無詠唱で足止めする。


「わ、私も!」

 恵美香も足止めに回る。


「じゃんけんぽん。ぽん。ぽん」

 昴とあかりはじゃんけんをし始める。


「……」

 二年、三年の一班全員呆然する。

 熊田先生は頭を抱える。


「勝ったー」

 あかりが勝ったと喜ぶ。


「早くして!」

 昴は少し拗ね、あかりに討伐しろと言う。


「はいはい……ほい!」

 あかりは返事をし二呼吸程で魔法を放った。ほぼ無詠唱だった。頭に思い浮かべ放ったのだった。


「レ、レ、レールガン!」

 あかりが放った魔法は正真正銘のレールガンだった。二年、三年の一班が口を開けていたり、呟いたりしていた。


 一年の一班が皆がいる場所に戻る。

「あかり!何よあれ!」

 姉のゆいかがあかりに詰め寄る。


「お姉ちゃん知らなかったの?」

 あかりはゆいかに首を傾げる。魔法学園は小、中、高と寮生活で家族とは休みの日しか会えなかった。


「知らないわよ!聞いてないし!」

 ゆいかは知らないと言う。


「ふふふ。私は一人でも小型倒せるのだ!」

 あかりは胸を張る。初等部では擬似の小型の魔物で今回が初だったが、三年、二年の実力を見て倒せると自負していた。


「うぐぐ!」

 ゆいかは悔しがる。


「熊田先生。美濃さんの実力は?!」

 可児が熊田先生に怖い顔で聞く。

 

「……最低でも高校卒業レベルよ」

 熊田はあかりに目配せし、あかりが頷くのを見て最低のレベルを話す。高校卒業課題が小型の魔物を一人で倒すとなっている。

 その際に魔法師ランクレベルが確定する。DからSまでがある。高校卒業レベルはCランクレベルになる。


「主席ってことですか?」

 出雲が熊田に聞く。


「主席は竹中だ!次席に美濃だな!」

 熊田先生は隠していても仕方ないと諦めた。


「へー!」

 昴とあかりがハモる。


「知らなかったの?!」

 ゆいかが二人に言う。


「うん。あまり興味ないかな?」「あまりね!」

 昴とあかりが答える。


「キンコンカンコン」

 終了のチャイムがなる。

 

「よし。次回は…」「クッ」「待ちなさい!」

 熊田先生が次回の話をしようとして可児が訓練場から出て行ってしまう。熊田先生が静止するが聞かなかった。


「あちゃー不味かったかな?」

 熊田先生が頭をかく。


「熊先生仕方ないですよ!俺も昔はへこみましたから!」

 あきらが熊田先生に仕方ないと励ます。


「可児君もそうだが、一班は学年首位の実力を持っている。他の学園から見ても皆実力はあると思っているのだがなー!」

 熊田先生は可児以外の一班全員に、自信を持ってくれと話す。


「少しやり過ぎたかな?」

 あかりが答える。


「僕でもあれ打ってたから仕方ないよ!」

 昴はあかりの頭をポンと置き答える。


「うん」

 あかりは頬を赤らめ頷く。


「ほほー!」

 ゆいかは二人を見てニヤニヤするのだった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る