第2話

第2話

先輩目線(1話の続きから)

 

 とりあえず深呼吸だ、、、、


あの顔は反則だよまじでほんとにやめて、、、

落ち着いてられないよ、とりあえず表面上は平常心保ててたかな?とりあえずは大丈夫そう??平常だったことを祈るしかないな。

 でもなんで???急に性別変わるのって普通じゃありえないよね??夢?私、欲求不満なの??しかも私の好みドンピシャドストライクな超速球投げてきたよ???

いや、そんな夢見るほど疲れては無いか。

ほんとになんで????

 いや答えなんか出るわけないか、考えるだけ無駄だ。

むしろ、見た目めちゃくちゃ好みの嫁ができたって考えればお得だな!!

 でもどーしよ、周りにどうやって説明すればいいんだろ。

普通に「TSしました!」って言っても自分だったら絶対信じないからなぁ。

 面白いし隠すか!そっちの方が楽だしな!!

だとしたらレオの存在はどうすればいいんだ??

とりあえず海外に料理の研究しに行ったことにすればいいか!あいつ料理好きだし、皆にもよく振舞ってたしね。

 あ〜〜〜

でもあの子大丈夫かな??

まあ大丈夫か、何とかなるよきっと。

 ようやく落ち着いてきたわ、やっとご飯食べれる。


今日バイトだしいい加減遅刻したらクビになるよ、何回目になるんだろほんとに。

 頭混乱してたせいでいつもギリギリなのにもっと時間に余裕ないよ、やばい遅れる。

 お米だけ流し込んどけば昼の弁当までは持つか?

まあいいや、チョッパヤで準備してダッシュしよ。

――――――――――――――――――――

「ただいまぁ〜」

 って誰も居ないかぁ。

時刻は午後の17時21分、日曜日の夕方だ。

 今日はレオのやつ学校あったっけな?

 レオは演技の道を進むべく、こちらの方でアクターズスクールに通っている。

なんでも実力は折り紙付きのようで、素人の私の身からしても凄く上手だ。

 実際先生に、このままいくと事務所のオーディションにはある程度受かる実力があると言われているほど。

 オマケに顔も悪くない方ではあったので時間さえあれば全然芸能界でも生きていけそうな感じ。

 ただ今回、TS(性転換)してしまい、顔はもちろん骨格まで、全て別物となってしまっているのでどーなるのか。

 大人達はレオの言い分を正直に信じるかと言うとそうはいかない。TS(性転換)してから初めてとなる今日、レオの性格だと正直に言うんだろうけど、信じる方が厳しい状況。レオの演技には、しっかりとした武器があり自分が確立できていても、まだ未熟な身。

 おそらく今回でレオの少しづつ積んできたものが一気に崩れるだろう。社会的な地位も周りからの評価も。

「ほんと、救われないヤツだなぁ」

 これからどうして行くのだろうか、、、

目的を失ってしまったレオにもうここに居る理由は無い。

 明日には荷物をまとめて出ていってもおかしくは無いし、むしろ自分ならそーする。

 私的には雑用兼シェフのレオが居なくなるのは悲しい。そーして欲しくないし、そーなって欲しくない。

 何よりも、今のレオの見た目はどちゃしこ直球ストライクだ、何とかしてここにレオを留まらせる理由が欲しいところ。

「本当にどーしよう」

とりあえず話してみることには変わりないか。

――――――――――――――――――――

 学校がようやく終わった、今は帰宅中だ。

幸いなことに学校は徒歩ですぐの距離、どれだけ疲れてても、どれだけ身体がしんどくても簡単に通えちゃう距離なのだ。

 まだこの体に慣れていない僕にとっては嬉しい誤算、不幸中の幸いとはまさにこの事だと思ったね。

 そんなこんなで家に到着、鍵を開けて入るとリビングで正座をしている先輩の姿が見えた。

「レオ、お帰り」

「ただいまです、先輩なにしてるんですか」

「レオを待ってた、大事な話がある」

「大事な話?」

「レオ今日TSして初めての学校だったでしょ?」

「まぁ」

「何も無かった?」

「何も無かった?とは?」

「いや、見た目とか声とか変わって別人なんだからなんかあったでしょ」

「まああったけど、」

「そっか、残念だったね」

「ん?なにが残念だったの?」

「別人扱いされて退学とかされてないの?」

「レオの俳優(?)生命はどうなったの?」

「ちょっと質問に質問重ねられたら答えられなくなるよ」

「でも.....」

「確かに色々言われたよ?でもなんか学校のお偉いさんが似たような経験あったらしくて演技見てもらったらあっさりと信じて貰えたよ?信じられないよね、、、」

「ふぇ?」

「なにその間抜けな顔、この世のものとは思えない顔してるよ?」

「うるさい」

「もしかしてなんか色々心配させちゃってた?」

「うん、」

「ふふっw」

「やっぱり先輩は面白いなぁ〜、てか本当にいい人」

「ありがとうございます?でいいのかな?」

「こちらこそありがとうだよ!色々心配してくれて、僕の為に色々悩んでくれてそうだったし」

「まあそうだけど」

「ありがとうございます先輩!先輩のおかげで毎日頑張れてます!!」

「はぁ、もう無駄なことばっか考えすぎちゃって疲れた、寝る!!」

「はい、おやすみなさい!先輩」

「おやすみね〜」

 はぁ、本当に先輩は度が過ぎるほどのお人好しだなぁ、眩しすぎるよ。

 実際、学校では一悶着も二悶着もあった、警察まで呼ばれかけたし、退学になりそうだった。

結構な大騒動になりかけたしね。

 でも演技見てもらって何とかなった。まあお偉いさんの力がデカイんだけどね。

 少し、昔を思い出しちゃって気が滅入っちゃってたけど、先輩に助けられたなぁ、、、

そーいやあの時も先輩はずっと味方になってくれて本当に助かったよ。

 昔から変わらずお人好しで世界一カッコイイ先輩、ずっと変わらずにいて欲しいなぁ。

 そんなこと思ってるうちに時刻は午後の11時52分。

もうそろそろ色々片付けてお風呂入らないと、次の日の体力が持たない。

 明日は先輩のバンドに付き合う日だ。

お風呂に入ってから万全の準備をして今日は寝よう。

他のことは明日おいおいとやっていけばいいだろう。

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