男の方が好きなんで!

R1n/Nanase

第1話

「明日弁当よろしく!」

「いい加減急に言うのを直してくださいよ先輩」

「はいはい」

 

 そんな普段通りの会話をしつつ、ふと時計を見る

時刻は午後11:42、冷蔵庫には何も無い。

(そりゃあ週末だもんなぁ)

こんな時間じゃ近所のスーパーやドラッグストアは当然閉まっているので、値は張るがコンビニへ行くしかなくなってしまった。

 薄手のジャケットを羽織り、財布を持ち、居候しているマンションを出て200mほど歩く。

 (もうそろ夏かなぁ)

 外の風景を見つつそんなことを考えているとコンビニに思ったより早く到着していた。

 コンビニには明日の弁当の材料や惣菜を買いに来たので、入口とは真反対のコーナーへ向かう。

(どーせなら好きなもの入れてあげた方がいいのかな)

 そもそもなんで僕が他人の弁当を作ってるのかというと、居候先の家主は地元の先輩というやつなのだ。

上京するのにいい物件が見つからず、3月が終わってしまった為、部屋が見つかるまでその先輩の部屋におじゃますることになったんだよね。

だけど先輩と僕は異性、もちろん反対の声もあったのだが先輩の家族も普段の先輩のだらしなさを知ってなのか、むしろ世話してやってくれと頼まれてしまった。

 年頃の男女が2人暮らしなのも問題だと思ったが、先輩はレズ、女性しか愛せないから大丈夫だろうと先輩の両親に太鼓判を押されてしまった。

何を隠そう僕もゲイであったし、その辺はあまり考えないようにしている。

 そんなこんなで明日の弁当は決定、買うものも決めて早く帰りたかったのだが気になるものを見つけてしまった。

 ペットボトルの並んでいる冷蔵庫の奥の方が謎に光っていたのだ。

手前のペットボトルをどけて奥を見てみると光は消えていたので、光っているところの近くに置いてあったジュースをカゴに入れて、帰り道で飲むことにした。

 そそくさと会計を終え、まだ少し肌寒い夜道を歩く。

袋の中からジュースを取り出し、さっき光っていた何かについて考えていたらいつの間にかマンションのエントランスまで着いていた。

 

「あっ」

 

 いつも右ポケットに入れているはずの鍵がない。

(電話気づくかな)

スマホを取り出して電話をかける

 なんとか7コールで呼び出すことに成功

とりあえず鍵を開けてもらって家に入ることに成功した。

 

「寝てたんだから起こさないでよー」

「すんません、でも明日の弁当の材料とかいろいろ買ってきたんだから許してや」

「その材料、もしかしてアスパラの肉巻き?分かってんじゃん」

「そ、だから許して?」

「許す」

「あざます」

「ほんじゃ、寝るから起こさないでよー?」

「自分も明日の下ごしらえだけしてから寝るわ、おやすみー」

 

 自分にとって厄災みたいな先輩、かなりの気分屋でだらしない。両親があっさりと任してきた理由が分かりまくっちゃうよ本当に。

 僕と先輩の関係は子供の時からだけど、ぶっちゃけほとんど覚えていない。覚えてるのは中学生の時から。

一緒に2人で集まってよく楽器を演奏していた。

そんときはまだこんなじゃなかったんだけどなぁ。本当にどうしたんだろう。

 先輩は今も楽器を続けており、こっちに来たのはバンドをするためなのだとか。音楽で売れるのが夢と言わんばかりだ。

メンバーが足りないとかで、実際に自分もそのバンドによくヘルプで行ったりしているため、先輩の他のバンドメンバーとかとも仲良くなっていた。

 まあこっちに来たら誰も知らないし、知り合いが増えるのは嬉しい。

 だけどもちろん中にはどーしても仲良くなれない子とかもいるんだけどね。

 とりあえず下ごしらえは終了!!後は調理だけになったので明日起きて作るだけ。

 変な時間に外に出たせいかどっと疲れた気がする。気のせいか体も少し重い。

「とにかくいそいで寝よう、きっと疲れてるんだ」

 そう独り言を呟き、寝ることにした。

―――――――――――――――――――――――

ピピピピピピピピピピピピピピピ

 部屋中に目覚ましの音が鳴り響く。

「うるさいなぁ」

 少しベッドから遠い場所に目覚ましを置いているため、仕方なくベッドから出る。

昔っからこーでもしないと起きれないんだよなぁ。

ピピピピピピピピピピピピピピピッ…

 目覚ましを止めるとそのまま洗面所へ、顔を洗って眠気を吹き飛ばしに行く。

(その前に漏れそうだからトイレ行かなきゃ)

鍵閉めてっと、まだダルいなぁ体重い。

 !?!?!?!?!?

自慢の息子がない、、、!?

 

 ここからは記憶が曖昧で、先輩から教えてもらった話になる。


先輩目線

 

「うるさいんだけど、何時だと思ってんの?」

「そんなことはどうでもいい!とにかく見てよ!」

 

!?!?!?!?!?

 

めちゃくちゃ好みの子が下半身さらけだしてるんだけど!?!?!?

「え?だれ、」

 危ない、理性失うところだった。でも本当に誰だ?強盗か?でもこんな若そうなのにする訳ない。すっごいタイプだ、どちゃしこだ。どーしよう。襲いたい。好きだ。好きすぎる。

「先輩!!僕ですよ!僕!」

「僕僕詐欺?」

「違いますって!レオですって」

「え?昔っから一緒にいたあの?」

「だからそーですって」

「私専属メイドの?あのレオ??」

「そんな風に思ってたんですか?ショックだな」

「特殊メイク?骨格から違う気がするんだけど」

「確かに、なんかいつもより目線が低い感じしますし、手とか細くなってる気がします」

「そんなことよりズボン履かない?」

「あっ、そーだ!自分の象徴である自慢の息子がぁ」

「自慢の息子(笑)じゃないの?無くなったところで変わらないってww」

「ライン超えです、絶交です!もう一切家事しません」

「ごめんて、謝る!」

「てか謝罪はいいんです、僕は今後どーしていけば…」

「まあとりあえず朝食食べながら考えよ?幸いなことに時間あるんだし」

「うぅ、起こしてしまってすいません、とりあえず準備します」


危ない危ない、理性失うところだった。それにしても見た目好みすぎるんだが?細身のくせして足長いしスラッとしてる、いわゆるモデル体型ってやつ、髪はサラッサラで正統派な黒髪ロング、どちゃしこだ。犯したい。てか、犯されたい。だめだ、相手はあのレオなんだから。あれ?レオっていつも私のご飯作ったり掃除してくれたりお世話してくれるし意外といいんじゃ?いや、レオだからないわ。でも見た目好みだし、う〜ん、どうしたらいいんだろう。とりあえずご飯食べてバイト行こう、面白いことも思いついたし。

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