第37話 仕込み

『あわ!あわわわ!どどどうしましょう!』


今俺たちは椎奈の要望通りゲームセンターでいろいろと遊んでいる

音楽に合わせて画面をタッチしたり、アニメ関連のゲームをやってみたり、ガンアクションゲームをやってみたりと椎奈は慣れないゲームに悪戦苦闘しながらも楽しそうにしている

今は音楽に合わせて太鼓を叩く某ゲームをやっている

『ええっと、頑張れ』


俺も親父とゲームセンターは来るが音ゲー関連は親父もよく分からないらしく詳しくないUFOキャッチャーやガンアクション、コインゲーム関連はよくやったものだ


『ああぁ……終わってしまいました』


『すまん、俺もこれ系は苦手でな』


『いいんですよ楽しかったですから。……時間は』


『もう少しなら遊べると思うぞ?この後の予定も特にないんだし』


この後は軽くぶらぶらしたり、気になる店や今日の夕ご飯を買いに行くくらいで終わるためそこまで時間はかからないはずだ…………後は


『では後一つやってから出ましょう。…仁くんのおすすめはありますか?』


『俺の?』


『はい!先ほどから私のやりたいもの優先でしたから。仁くんも何かやりたいものがあればやりませんか?私もやってみたいです!』


『そうか?じゃあ…』


椎奈の気遣いもあり先ほどからちらちらと目の端に写っていた結構やり込んだゲームの新作が出ていたためそれをやろうと思ったんだが…


『大丈夫か?やめとくか?』


『ダダダダダ大丈夫です!…………多分』


全然大丈夫そうではないのだが

俺のやりたいゲームはホラー系のガンアクションゲームで、襲ってくる幽霊やらゾンビやらを打って倒すゲームだが、椎奈は心霊系が苦手らしい


『やっぱりやめとこうか?こんなのいつでもできるんだし』


『や、やります。私のわがままに付き合ってもらったのですから…』


『そうか?…なら、やるか』


二人分のお金を入れて協力プレイで開始する椎奈にはやり方などをレクチャーしつつ、ビクビクしている姿に可愛いやら面白いやらですでに楽しい思いをさせてもらった

そんなこんなで始まったんだが……


『きゃあ!ま、また出てきました!仁くん助けて!』


(やっぱ無理だったか…)


若干どころかかなりの確信を持ってこうなることはわかっていたため椎奈をフォローしながら先へ進めていく、椎奈からしたら絶望が続いていくわけだがらかなり面白い感じになっている


(これは…やばいな)


椎奈はすでに銃型の端末を置き画面をちらちらみながら俺にしがみついている、がっちりと体に抱きつくようにくっついてきているため意識しないようにしているのに存在感の強い二つの丘の存在を意識してしまう

そんな邪念があったためにゲームオーバーとなってしまった


『椎奈!終わったから!』


『はっ!…………すみません』


『いやいいんだそれより外に出て少し休もうか』


『はい…』


騒ぎ疲れたのか少しぐったりとした感じで椅子に腰掛けている


(いくなら今だろうか…)


『椎奈、ちょっと離れるが大丈夫か?』


『え?わ、私も行きますよ?』


『いや、お手洗いとちょっとした用事だからすぐに済む、その間休んでな、何かトラブルがあったらすぐに連絡するんだぞ?』


『はい、いってらっしゃい』


🔸

今は椎奈に内緒で日頃の感謝という名目で何かプレゼントをするために近くの雑貨屋にきている、手洗いは行く必要はないため少しなら余裕があるが、早めに会計を済ませたいので会計に向かう、モール内を歩いているうちに目に入ったものだが、見た瞬間に椎奈にあげたいと思ったものでもある


『ありがとうございました〜』


とりあえず会計を済ませせバックの中にプレゼントをしまい急いで戻ろうと思ったんだが、あるものが目に入る


(あれも買っていくか)


🔸

(まずいな、待たせすぎたか?)


思っていたより時間がかかってしまい椎名を待たせてし待っているため少し急ぎめて歩いていると椎奈の姿が見えた、特にトラブルもないようで安堵した。んだが


『あ、お兄さん、今ちょっと暇?』


『お姉さんたちと遊ばない?』


二人の女の人に絡まれてしまった。

早く椎奈の元に行きたいというのになんだろうか?逆ナン?まさかな、声をかける人間を間違えている……もしかして何か買わせるつもりだろうか?壺とか


『すいません連れを待たせているので』


『じゃあその連れ君も一緒でいいよ?だから一緒に遊ぼ?ね?』


『もち私たちが奢っちゃう!どう?』


『いや、ええっと………椎奈?』


『『?』』


話しかけてきた女性二人の後ろに絶対零度の表情と雰囲気を纏って椎奈が立っている、別に怒られているわけでもないのに、なぜだか体が身震いしてしまう


『仁くん?その方達は?』


『さ、さぁ?話しかけられて対応してただけだが……』


『そうですか、ではあなた方はどなたでしょうか』


俺に向けられていた視線が二人の女性に向けられる…正直ちょっと怖い


『いや、えっと……』


『な、なんでもないですぅ、失礼しました!』


俺の連れを男と解釈していたのか急に現れたアイドル顔負けの椎奈に詰め寄られて、 脱兎のごとく逃げていった、あんな高いヒールであんなに早く動けるのはシンプルにすごい


『助かったよ、椎奈』


『いいですけれど、トラブルがあったら呼べと言った人がトラブルの時に私を呼ばないでどうするのです?』


『も、申し訳ないです』


確かにこおいう場合は女性の椎名を読んだ方がいい場合もある、自分が言ったことなのにと椎奈に怒られてしまう


『わかればいいのです!では行きましょ?』


俺の反省の色が見えたのか満足したようで先程の怒りはなくなり笑顔で話してくれる


『……ああ、行こうか』


次に行くところが決まっているわけもないが、とりあえず歩き出しまたモール内の散策にあたることにした。


🔸


散策するとは言ったものの正直言って目的は大半消化してしまったのでただの散歩のような感じだ。もちろん目的もなくぶらつくのも全然楽しい、何より椎奈が隣にいて何気ない会話をしながら歩くのはとても落ち着く。しかし、そろそろ時間も怪しいし食器を買った店に荷物を取りに行くべきかもしれない


(言いづらい)


『…椎奈、そろそろ食器を受け取って帰るか?』


『はい!行きましょう!』


(あら?)


なぜか思ったより悲しんでいないし、なんなら早く帰りたいって思っていそうだ。疲れてしまったのだろうか、もしくは今日は楽しくなかっただろうか?


『仁くん?どうかしましたか?』


そんなことを考えていたのが伝わったのか椎奈が前から顔を覗き込んでくる


『いや、えっと、今日は楽しくなかったのかなって思って』


『むぅ、怒りますよ?今日ずっと一緒にいてなぜ楽しくなかったのかなんて思ったのです?とってもとっっても楽しかったですよ?』


『そ、そうか、ならいいんだ』


『それで?なぜそんなことを思ったのです?』


『なんだが、帰ることが嬉しそうだったから早く帰りたいほど楽しくなかったのかなって思ってしまって……』


(情けないな)


確かに、今日の椎奈の様子を見ていれば楽しくないなんて思わないだろう。なのに、こんなふうに心配をかけて怒らせてしまった。


『ああ、そういうことでしたか!いいですか?仁くん私は今日一日はずっと楽しかったですし満足しています。早く帰りたそうだったのは、早くあの食器たちを使いたかったからなのですよ。』


(そうだったのか、よかった……)


『椎奈とはまだ一緒にいたかったからな、そう思ってるのが俺だけかと思ったよ』


『…………』


『椎奈?』


なぜだか目をぱちぱちと瞬かせたかと思ったら瞬間沸騰機のごとく顔を真っ赤に染め上げて俯いてしまう、今度は俺が椎奈の顔を覗き込む番になった。


『大丈夫か?』


『だ大丈夫れひゅ!…………やっぱり仁くんはよくないです。』


『ええ?どこがだ?』


『教えません、それより今日は覚悟してくださいね?目一杯料理を作っちゃうんですから!お残しは許しませんよ?』


ぷりぷりと怒りながらも、イタズラするかのような顔をして前を歩いているが、椎奈にとっては食べ切れるかギリギリの料理を作るのが初になるらしい、なんとも嬉しく可愛らしい罰だと思いつつ言ったら椎奈の料理が少なくなりそうなので黙っておく


『ああ、覚悟しておこう』

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