第31話 利寿とデート?
『そんで?どこにいくんだ?』
『いや、服を買いにな?』
『あれ?この間椎奈さんと一緒に買いに行ったんじゃ?』
あの時のことをしっかり覚えてたようで不思議がっている
『実はあの時買ったのってかなりラフなのなんだよ。でも、明日椎奈と出かけるんだが椎奈と一緒にいるなら多少なりともしっかりしたの着たいと思ってな』
『なるほど確かにお前の私服ってあんま見ないなこの間の勉強会の時もかなりラフな感じだったしな』
確かにあの時は俺のうちだって言うのと来るのが三人だったのでそこまで堅苦しいものは着ていなかった
『あと、これはついてこなくていいんだが髪を切りにいってくるよそろそろちゃんと切らないとって思ってたんだ』
『まぁ確かにお前って髪結構伸びてるもんな、』
『俺、髪って自分で適当に切ってるんだよ、目にかかりそうになったら軽くすくくらいで、だから美容院って知らないんだよなどこかいいとこ知ってるか?』
『…………なら帰りにうち来るか?』
美容院の話をしていたのになぜ利寿の家に行くことになったんだろうか
『なんで?』
『うちの母さんの職業美容師なんだぜ?』
『聞いてない』
『言ってないからな!で?どうする?』
『…………お願いするよ』
『じゃあ帰りでいいか?』
『ああ』
気軽に行けるのは嬉しいが、自分の家を進める前の間はなんだったんだろうか?
『よっしゃ』
そう言って携帯で電話を始める、どうやら話をどうしてくれているようだ
『オッケーだってさ』
『助かるよ、じゃあ行こうぜ』
『で?どこ行くんだ?』
『この間行った愛華のお義姉さんがやってる店に行こうかと思ってるんだ』
『ほー、じゃそこにするか』
こうして再びあの店に行くこととなったが
(……何か忘れてるような?)
🔸
『ここだ』
『ほへぇー結構いい感じの店だな!俺もなんか買ってこうかな』
『いいんじゃないか?』
利寿も何か買うか迷っているようでそのまま店の中に入る
『いらっしゃい!おお少年、この間ぶりだな!』
『こんにちは浅羽さん、またお世話になります』
『今日はあの子と一緒じゃないんだね?』
『ええ今日は友達とです。』
『こんにちわ、風間 利寿です。』
『あぁぁん!?お前が利寿か!!』
『うぉ!』
(そうだった!利寿が愛華の彼氏だって言ったのをそのまま説明もせず逃げたんだった)
真蛇のような顔になり利寿に詰め寄って何かぶつぶつ言っているが、聞こえてくる口調が呪ってやるでめちゃくちゃ怖い
『浅羽さん!!落ち着いてください!』
『何?少年私の可愛い可愛い愛華ちゃんに近づくこいつを八つ裂きにしないといけないんだけど?何?少年も手伝ってくれるの?それならいいよ?さ!早速やっちゃおう!』
(どうすんだ?!この状況!)
『浅羽さん…すよね?愛華から話よく聞いてます。とっても優しいお姉さんだって!あっ!言い忘れてました俺愛華さんとお付き合いしてる風間 利寿って言います!これからよろしくお願いします。』
お辞儀をし顔をあげた利寿のキラキラとした笑顔を見て浅羽さんが固まった
『どうしました浅羽落ち着きましたか?』
耳元で話しかけると、ニコニコといい笑顔で、まさに上機嫌と言ったふうだ
『少年〜?よく利寿くんを連れてきてくれた!さっ!なんでも言いたまえ!』
『こんなこと言うのは100%おかしいんですがいいんですか?』
『いいのいいの!愛華ちゃんが私のこといい姉って言ってくるなんてとっても嬉しいし、そんな愛華ちゃんと付き合ってるのがこんないい子なら変な男に捕まるより、よっぽど安心だわ!』
『そんなもんですか?』
『ええ、それにね?…………私弟も欲しかったの』
最後の弟の部分は耳元で言われ利寿には聞こえなかったようだがちゃんと認められたようで利寿もほっとしている
利寿が義弟になるには結婚する必要があるんだが、そこまで行くだろうか?
(そうなったらいいな)
🔸
『で?今日は何買いにきたの?この間買ったよね?』
『明日椎奈と買い物に行くんですが、椎奈と一緒に歩くならそれなりの服装をしたいと思って』
『ホーン?デートってわけね?だったらかっこいいの出してあげる』
『いえ、付き合ってませんしデートではないです。』
『え?』
勘違いしているようだったので訂正すればなぜか(何言ってんのお前?)みたいな顔をされてしまった
『え?二人だけで行くんだよね?』
『そうですよ?』
『え?だったらデートなんじゃないのてか付き合ってないの?』
『友人と一緒に出かけることはデートとは言いませんし、俺と椎奈はそう言う関係じゃないですよ』
さっきの顔のまま利寿に近づきヒソヒソ話を始める
〔ねぇ、利寿くんあの二人本当に付き合ってないの?〕
〔そうなんですよ、俺からしたらさっさと付き合ってくれって思うんですけどね?椎奈さんの方が恋してるのかわからないから前に進めないらしいんですよ〕
〔はぁーなるほどねーあなたも愛華ちゃんも大変ね〜?〕
〔まぁ俺はこのまま見守りますよ、変な方向にいかない限りですけど〕
〔頑張ってね?〕
仲良くなるのはいいのだがそろそろ決めたい
『あの!そろそろいいですか?』
『ああ!悪かったね、じゃあこれ着てみて?』
🔸
シャァ〜
『どうだ?』
『おお!いい感じじゃないかめっちゃかっこいいぜ?これなら椎奈さんもイチコロだな!』
『別に椎奈をどうこうするための服じゃないんだがな……』
『まあまあ、いいじゃないか!どうですか?浅羽さん』
『うん!いいんじゃないかな!これならあの子と一緒にいても全く違和感がないよ』
利寿、浅羽さんからのお墨付きをもらったし大丈夫だろう
『じゃあこれください』
『まいど!じゃあ持ってくね〜』
『そういえば利寿はいいのか?何か買うって言ってたがやめたのか?』
『ああ、買おうと思ったんだが、浅羽さんが愛華と二人で来てその時に買いなさいって、俺と愛華を一緒にコーディネートしたいんだってよ』
……理由としてはそれもあるんだろうけど本当のところはそれを理由にして愛華をここに来させるためだろう
(ご愁傷様だ、愛華)
心の中であいかに手を合わせつつ会計に向かう
『はい、じゃあこれくらいね』
相変わらず服の質に対して値段が合っていない
『あの……』
『いいのよ、今日は利寿くんも連れてきてくれたんだものサービスさせて?ああ、あと他にもちゃんとした服入れといたから着てね?』
『ええ!?』
驚いて袋の中を見たら確かに服の量が増えていた
『あの!流石にこれはもらいすぎです。お金払います。』
『いいから受け取りなさい。どうしても受け取れないって言うなら条件を貸すわ』
お金をガンとして受け取ろうとしない、これは条件を達成しないと恩を返せないだろうな
『…聞きましょう』
『今後、あの子と付き合うことになったら愛華ちゃん利寿くん椎奈ちゃんと君、全員でいらっしゃい?みんなのダブルデートの服のコーディネートさせてもらうから!』
『……わかりました、その日が来るかわかりませんが覚えておきます。』
『うんうん!じゃあまたきてね?』
『はい!』
本当にこの人には感謝しかない
🔸
『よっしゃ!次は俺の家だな』
『そうだな、‥その前に飯にしないか?』
『飯ならうちで食ってけよ。てか、うちで食ってってくれ、うちに友達を呼ぶっつったら舞い上がって飯も用意するって張り切っててさ』
『わかった、ご馳走になるよ』
『よかった!じゃあ行こうぜ!』
こうして髪を切りに行くとはいえ、友人の家に行くのは初めてのことで少しばかし緊張しつつも楽しみになってきたのだった
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