第25話 異種格闘
🔸
『よっしゃお前ら今日は練習試合形式で行なっていく気合い入れてけよ!』
『『『『おっす』』』』』
『負けた奴トレーニング三倍な』
『『『『……おっす』』』』
(マジか)
絶対に負けられない理由ができて気合が入るが数人ゲンナリしているそんな人たちを眺めていれば利寿が話しかけてくる
『仁あっちの人如月っていうんだろ?まさか…』
『俺も最初はそう思ったが息子さんがいるらしいから違うんじゃないか?椎奈に弟がいるなんて聞いてないしな』
『確かに…』
なんだがぶつぶつ考え込んでしまった
『おい!如月始めようか!』
『わかりました!』
こうして相手側も俺たちの陣営も準備が終わり試合が始まる
『『『『『『『『『よろしくお願いします!!!』』』』』』』』』
『仁!お前は一式と組めあっちの中でだったらちょうどいいくらいの相手だ!いいか?負けんなよ?あいつは如月がしごいてる奴らしいからな…負けたらわかってんな?』
わざわざ肩を組み小声で脅してくる、これで負けでもしたら確実に次の練習日には殺されてしまうかもしれないくらいの扱きが待っている
『わかりました』
とりあえず一色さんの元に向かい改めて挨拶をする
『一式さん今日はよろしくお願いします。胸をお借りします』
『おおよろしく!さっき聞いてたが普段から天上さんの相手してるんだって?こっちこそ胸を借りるつもりで行くよ、よろしく!』
握手を交わし互いに指定の位置までいく、開始の合図は利寿に頼んだが少しソワソワしているようだが大丈夫だろうか
『『お願いします!』』
互いに礼をし構える
『…はじめ!』
同時に相手に向かい歩き出し互いに襟や裾を狙い攻防が繰り広げられていくがなかなか捕まらない
『すごいな全然取れない』
『そっちこそ』
どっちも引かず三十秒くらい取り合いをしてやっと状況が動きほぼ同時に取る
『ほっ!』
一式さんから仕掛けてきた足を払おうと右足を俺の左足にかけようとしてくるがそれを一歩下がりすかすがそれは布石だったようで腕を引き投げようとしてくる、それを躱して一旦離れる
『はぁー今の回避する?今のでやられてくれればありがたかったんだけどな〜』
『さすがに、こっちは命がかかってるんです。』
『どゆこと?』
『お気になさらず』
『そう?じゃ再開するか!』
こうしてしばらくの間一式さんと組み手を繰り返していき休憩時に利寿の質問に答えたりしていき時間が過ぎていった
🔸
『おおい!どうだ?今どんな感じだ?』
ちょうど組み手が終わったタイミングで師匠と如月さんがやってきた、師匠はホクホク顔なのだが如月さんが少しがっかりしたようなゲンナリしたような顔をしている
『ちょうど終わりましたよ』
『結果は…みりゃあーわかるか、よかったな地獄のメニューこなさなくてよ』
『本当ですよ』
俺の隣には如月さんと同じような状態の一式さんがいた、結果だけを言えばほぼ俺が勝った、しかし結構危ない場面も多くて反省の多い試合だった
『如月さんこの道場おかしいっすよなんすかあの強さ尋常じゃないんすけど年下に負けて結構ショックです。』
『まぁ、そうだろうな天上さんは俺でも勝つのが難しいそんな人とずっと組んでいる人ならかなり強いとは思っていたんだがやっぱり予想通り以上の強さだったな』
そんな二人の会話を尻目に片付けが始まり如月さんたちが帰る時になった
『おっし今日はここまでだな!今日は誘ってくれてありがとうな、あんまり時間取れないだろけどまた来いよ!』
『はい今日は本当にいい勉強になりましたまたよろしくお願いしますよ。仁くんちゃんと報酬について考えていてくれよ?』
師匠との挨拶を済ませて俺にあの時の報酬について念押ししてくる、どうしてそこまで押してくるのだろか
『はい、今日はありがとうございました』
『おう、仁次やる時は絶対に勝ち越すから首洗って待っとけよ!』
『わかりました、一式さんもお元気で』
『ああ、淳平でいいぞ!これからも頼むよ』
『はい!ではみなさんお気をつけて、また』
『ああまた会おう』
『じゃあな』
こうして他種試合が終わった
🔸
『じゃ師匠俺らも帰りますね』
『おう!今日は助かったよありがとうなまたいつでも来い』
『はい』
他の人たちはみんな帰っていったが利寿の簡単な手続きのようなものを済ませるのを手伝ったりしているうちに三人だけになった
『利寿もないつでも来い』
『了解です!これからよろしくお願いします!』
『うむじゃあな!気おつけて帰れよ』
『『さよなら』』
ガラガラ
『いやぁー結構楽しかったな〜』
『楽しかったか?』
トレーニングが終わってから試合になってその間ほとんど構ってやれていなかったからつまらなかったのではと思っていたから楽しんでくれていたのならよかった
『おう!武道系の試合とかはほとんど見ないからな!新鮮で楽しかったぜそれに、仁のかっこいいところを見れたしな』
『…そうかよ』
『あれなら椎奈さんにもかっこいいところを見せられるな!』
『かっこいいところを見せるとかはともかく俺の普段の相手は師匠なんだよ、俺はまだ師匠を床に倒したことがないんだよ』
長年師匠と組み手を繰り返してはきたが全くと言っていいほど勝てないたまにまぐれで投げられる時があったりするがそのあとは地獄のような猛攻が襲ってくる
『ええ〜今日見た感じ仁もかなり強いと思ったんだがあの人それ以上なの?本当に人間?』
『さあな、これからどうするんだ?お前もやってみるか?』
『ん〜〜、今から始めたらサッカーとでどっちつかずになっちゃいそうだからやるとしても卒業してからだな』
『なるほどな、確かにその方がいいだろうな』
『おうじゃぁ俺こっちだから、また明日な!』
『ああ、じゃあな帰ったら疲れたからって勉強サボるなよ明後日なんだからな』
『ほいほーい』
(卒業したら…か)
🔸
『ただいま…』
誰も居ないが自然とそんな言葉が口から出てくる、少しだけ寂しいような気持ちになりながら椎奈に言われた通り簡単なものでもしっかり食べようとリビングいき夕食を済ませ風呂を浴び少し今日の授業の復習を終え眠りにつく
ピピピピ ピピピピ ピピピピ
『はぁーもう朝か』
昨日の疲れから少し重い体を起こし準備を済ませて家を出るが出てからあることに気づく
(ああ、そうだ)
リビングに戻りあるものを取り再び通学を始める
『おはよう……』
後ろから暗い声で声をかけられ見れば顔色が少し悪い利寿がいた
『おはよう、どうした?顔色悪いぞ昨日の疲れが出たか?』
『いや別に昨日のやつは疲れたどころか楽しかったんだが、帰ってから飯食って風呂入ってゲームして勉強してってやってたらほぼ徹夜になっちゃってな』
『なるほど自業自得だ』
『ええ〜ひでーよー慰めて?』
腕を絡めて擦り寄ってくる
『離れろ、ゲレンゲームの時間を削ればよかったんじゃないか?』
『うっ!…ごもっともで』
『わかればいいんだよてか明日だぞ?しっかりやらないと林間学校楽しめないぞ?』
『そうだ!ぜってークリアして遊びまくってやる!』
林間学校を囮にやる気が出たようでよかった
『おっはよ〜二人とも〜』
『おはようございます仁くん』
話していると椎奈と愛華が挨拶をしながら近づいてくる
『おはよう椎奈、昨日は大丈夫だったか?』
『はい!お二人ともいましたし近づいてくる男の人たちをバッサリ切り捨ててカッコよかったです。』
『ならよかったでも椎奈は無理しないでそんなことしちゃダメだぞ?俺とか愛華とかを頼るんだぞ?』
『はい!今週末お願いしますね?』
週末の買い物が楽しみなのかニッコニコで俺を頼ってくれる
『あのぉ〜お二人さん?』
『俺たちもいるんですがー』
『あぅぅ』
『す、すまん』
またしてもやってしまった
『いいけどさ、二人が仲良しで私も嬉しいしね!』
『だな!でも、そろそろ行こうぜ』
こうしてまた一日が始まった
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