第23話 仁と利寿の修行場

🔸

『はぁーお腹いっぱい!』

『だな!美味しかったぜーやっぱり大勢で食う飯は美味い!』

波瀾万丈な昼を乗り越えて教室に戻っているのだが目立ってる、男女問わず人気の利寿と愛華のカップルと学校2TOPの椎奈と風花その間に挟まる俺、主に俺への嫉妬と憎悪の念が絶えない

『仁くんどうかなさいましたか?少し顔色が悪いような』

『そうですねぇ、熱はないようですけど』

『ふっ二人ともちょっと待て!大丈夫だから!』

両サイドにいる二人から詰め寄られ顔を触られて男子からの威殺すような視線が強くなる

『ふふふ、困った顔の戸条さんはとっても可愛らしいです』

『ず、ずるいです!私だって可愛いと思っています!』

『二人とも男に可愛いはやめてくれ…それに、可愛いのは二人だろ?』

『仁くんはやっぱりずるい人です…………』

『…………ほんとにね〜〜』

何故だか二人して俺のことを卑怯だと言ってくる、なんでだ!

『まあいいですけど!では私はこの辺で今日はとっても楽しかったです。ありがとうございました!また誘ってくださいね?』

『またと言わず明日からこの五人で一緒に食べないか?どうだ?三人とも?』

『おお!いいね!俺はサンセー!』

『私もー!これからのお昼がちょー楽しみになるね!』

『私も大丈夫ですよ?その方が楽しそうです♪』

全員が俺の提案に承諾してくれる

『どうだ?風花』

『嬉しいです!では明日からお願いします!あ、そうそう椎奈さんちょっと』

『はい?』

椎奈を手招きして読んで耳元で話し始める

〔安心してね?取ったりしないから♡〕

『なっ!』

〔今日の放課後デートしましょ?〕

『ええ!?』

『じゃあ、またね!』

そうして手を振って教室の方絵消えてしまう

『なんだって?』

『今日の…放課後にデートしようと言われました』

『えええ!!!いいなーー!私も行きたい!』

二人で行くことを聞いた愛華が駄々を捏ね始めたがこの場合は好都合だ

『いいじゃないか、行ってきたらどうだ?今日道場に行くことになったんだ夕飯は今日は大丈夫だから、それに三人なら大丈夫だろ?』

『わかりました、では甘えさせてもらいます。愛華さんのことは後で聞いてみますね』

『やったー!』

『愛華頼んだぞ?』

こいつは普段からそういう対応に慣れているし弁えているから大丈夫だろう

『まっかせなさーい!』

『はぁー、結局ぼっちは俺だけかー』

とんとん拍子に話が進んでしまい利寿のことを忘れていた…不憫だ、そうだそろそろ言ってみるか

『なら道場ついてくるか?』

『…………え?』

『うちのサッカー部って練習日数少ないだろ?』

話に聞いた程度だからよくわかっていないんだがほとんど活動をしていなかったはずだ

『ああ、一応ちゃんとやっているが他の部活と取り合いになってて週に二、三回くらいしかやれてないな』

『だったら体を動かしたりないだろ?』

『まぁ、中学の時はほぼ毎日ガチでやってたから物足りないんだよ』

『だったらうちの道場に行かないか?トレーニングだけでもいいしうちの学校って掛け持ちアリだったろ?』

うちの道場は練習場だけじゃなくトレーニング室のようなものもあるからいい運動施設だ

『…………いいな、それ!楽しそうだ!部活のない日とかに行ってみるか!よし!そうと決まったら今日ついてくぜ!』

『了解、師匠に言っとくよ運動ができる服装に着替えといてくれ迎えに行くから』

『いやもう持ってるからそのまま行こうぜ!』

『…わかったよでも俺は持ってないから一旦家に帰ってからだな』

『おっけーおっけー』

一人を回避できたのがそんなに嬉しいのかはしゃぎまくっている

『ってことになった』

『わかりました、ですが!ちゃんとご飯食べるのですよ?』

『わかってるさ』

可愛らしく人差し指を俺に刺して注意してくる…ほんとに椎奈には頭が上がらないな


🔸

『よしここまで、明後日にテストがある明日は自習の時間が多くなるから道具を忘れないようにでは、解散』

憂鬱で眠たくなる午後を乗り越えてやっと放課後になる

『行くか』

『おうよ!早速行くか!あ、でも愛華とかに言わなくてもいいのか?』

『ああ、さっき連絡があって三人で行くそうだ』

『そっか、じゃあ行くか!』

そうして俺の家に向かっていく

『にしてもびっくりだよなー』

『何がだ?』

『風花さんのことだよ』

利寿が言いたいことは大体わかった

『椎奈さんの知り合いで連れてきた人が仁の小学校時代の友人の女の子だったなんてさ!世間は広いようで狭いな〜』

確かに仕組まれたのかと考えてしまうほどの出来事だった

『それで?お前のいう師匠ってのはどんな人なんだ?』

『うーん、女の人としては綺麗系美人って感じなんだが性格が戦闘教すぎて損をしている感じかな』

『ほーんそいつぁたのしみだ!馴染めるといいな〜』

『お前なら大丈夫だ、むしろお前と師匠は気が合いそうだ』

『めっちゃ楽しみになってきたぜ!』

師匠と道場のことを話しているうちに家に着いた

『前に勉強したところで待っててくれ準備してくるから』

『おけまる』

とりあえず準備を済ませ利寿に必要になりそうなものを揃えて待たせているところに向かっていたら椎奈から連絡があった

[どうした?何か問題でもあったか?]

[いえ今日道場の方えいくということを思い出しまして道場の師匠という方に私も行ってもいいか聞いてもらいたくて]

確かに言われていたのを思い出した

[大丈夫ちゃんと覚えているよ今日聞いてみるよ]

[ありがとうございます!!頑張ってくださいね]

[ありがとう、椎奈も三人でいるとはいえ気をつけるんだぞ?]

[はい、ではまた]

そうして会話を終え利寿の待つ部屋へ行くのだが利寿が何か本を広げて見ていた

『待たせたな……』

『ん?おおすまん暇だったから悪いとは思ったんだが欲に勝てんかった!』

どうやら中学時代のアルバムを見ていた様子だ

『にしてもお前ほとんど写ってないな』

『中学生って無駄に騒がしい奴がいっぱいいるだろ?馬鹿にしてるわけじゃないんだが…気が合わない奴らばっかりでなほとんど一人でいたんだその方が落ち着くし』

『ふーん今は?』

『他の連中は騒がしい奴ばっかりで中学と同じだが友人が四人もできて嬉しい限りだよ』

『そっか!じゃぁ行こうぜ!こっからどれくらいなんだ?…ってなんで準備体操してんの?』

アルバムをしまい玄関を出て準備体操を始めると質問が飛んできた

『ああ、言ってなかったかこっから走って三十分くらいの距離なんだ準備運動がてらいつも走って行ってるんだよ、て言っても小走り程度だけどな』

『ふーんそれはいい運動になりそうだな、っしゃ俺もやろ』

二人して準備運動をして走り始める走ると言っても本当に軽く流す程度の速さだった、途中利寿が勝負を仕掛けてきたりしているうちにいつもより早くに着いてしまった

『へー!結構広いし綺麗だな!』

さすがというべきなのかほとんど疲れた様子がない

『前は少しボロかったんだが師匠が道場を継いでから少し改築したんだそうだ』

『なるほどな!じゃぁ行こうぜ!』

ガラガラ

『こんばんは』

『よしよし間に合ったな!ん?そっちが言ってたやつか?』

『はい、利寿…』

『おう!初めまして風間 利寿って言います。仁とは大親友やらせてもらってます今日からよろしくお願いします!』

『お!いいね元気なやつは大好きだ!仁の大親友とはな!仁いいやつ見つけたな!』

もう気に入られているさすが利寿だ

『それに体つきも悪くない一箇所だけでなく満遍なく鍛えられたいい体つきだな』

『師匠、それセクハラになりません?』

『ならん!』

『おう!ほめてもらえて嬉しいぜ!』

利寿も喜んでいるしいいか

『で?詳しくは聞いてないが、利寿だっけ?お前も本格的に柔術習うか?』

『いや本格的じゃなくて少し教えてもらう程度でいいそうです。それより体を動かしたいらしくて』

『なるほどな、じゃぁ今日は後一時間半もすれば相手の奴らがくるからそれまで二人でトレーニング室使えばいい、試合は見学してくか?』

『ぜひ!』

師匠からの提案に嬉しそうに返事をしているが、そんなに嬉しいのだろうか

『仁ちゃんや俺にかっこいいところ見せてくれよ?』

『……はいはいほら行くぞ!ついでにここの案内もするから師匠鍵借りますね』

『おう!ちゃんと体鍛えろよ仁ちゃん』

[良かったな…]

利寿に便乗してちゃん付けで呼んで俺たちを見送る、その後に何か言われた気がするが俺の耳に届かなかった…………

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