第22話 昔

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『改めまして!私柊 愛華でーす!そこにいる風間 利寿とカップルやってまーす。よろしくね鬼城さん!』

全員の会合があってから数分…とりあえず席につき自己紹介の流れとなったまずは怖いもの知らずでコミュ力お化けのバカ愛華が挨拶を始める

『ご紹介にあやかりました!愛華の彼氏、そこの戸条 仁の大親友である風間 利寿です!初めまして鬼城さん!よろしく』

『……………………戸条 仁です。よろしく』

大変気まずいこいつとは会うことはないと思っていたんだが…

鬼城風花きじよう ふうかです。苗字は少し好きではないので風かとお呼びください今回は林間学校の班に入れてくださりありがとうございます。』

『……私もした方がいいのでしょうか?』

『大丈夫ですよ如月さんのことはよく知っていますから、今回はありがとうございます。大変嬉しかったでよ♪』

『そうですか、よかったです。それでは!お昼にしましょうか』

(よかった何事もなくすみそうだ)

『はいはーい質問でーす!』

嫌な予感がする

『風ちゃんと仁はどういう関係なの?どこで知り合ったの?いつ知り合ったの?なんで仁は焦ってんの?』

さすがは愛華だ、俺と風花にペースを与えないで矢継に質問が飛んでくる

『戸条さん、あなたのことは話してないのですか?』

『仁のこと?なになに?』

『はい、それはですね?』

『ちょーーーい!まて!!!ちょっとこい』

突然カミングアウトされそうになり焦って風花を少し離れたところに連れていく

『あのことはあいつらには話してないんだ!黙っててくれ!』

『……あの方達はお友達なのですよね?』

『…ああ』

『あんなことがあり友人を作れるようになるのは大変良いことですが、あのことを言わないのは友達と言っても良いのですか?』

今悩んでいることを直球で突き刺してくる

『…言われなくてもわかっている、俺はあいつらを信じてるし頼りにしている』

『だったら!』

『だからさ、俺とも付き合ってくれるあいつらがあのことを知って俺から離れてしまうそれが嫌なんだ…』

『戸条くん……』

『だが、ちゃんと気持ちが固まったら打ち明ける、だからまだ喋らないでくれ頼む!』

こいつはもしかしたら俺のことが嫌いかもしれないでも、これだけは承諾してもらいたい

『分かりましたよ、あなたに頭を下げられては承諾するしかありませんねちゃんと黙っているので安心してください』

『ありがとう、助かるよ』

『いいのです。ですが、これからも仲良くしてくださいね?』

『ああ、でもあのことはもういいのか?』

『…ふふふ、懐かしいですねもういいのですよ吹っ切れましたからね』

『そうか』


🔸

『すまない、待たせた』

『お待たせいたしました』

口裏合わせを済ませて三人が待つ所得戻り席に着く

『二人して何の話してたの〜?』

『なんでもない』

『ええ〜怪しいな〜』

しつこいが無理に話を聞こうとしていない点がギリギリ許せる

『まぁいいや!さぁさぁ二人はどういう関係なんだ?』

『えーーと……』

『私と戸条くんは小学校の時の同級生なんです。』

『へぇー!』

俺の代わりに風花が話始めてくれる

『子供時代の仁くんですか……』

『気になりますか?』

『い!いえ!それはですね…………はい気になります』

『ふふ、仁くんは小学校の時はあまり人を寄せ付けないで限られた人とだけ話していましたね、ですがそれでもとっても優しかったのですよ』

『へぇー、じゃあ今とそんなに変わらないね!』

少し小馬鹿にしたような顔で俺を見てくる、後で説教が必要のようだな

『ずっと一緒だったの?』

『いえ三年生の時までなのですよ』

『何かあったのか?』

気になったのか利寿も質問を始める

『ええ、私が父の都合で引っ越すことになりまして』

『なるほどなー、でもさ!人に関心のない仁が覚えてるってことは二人は相当仲が良かったんだろ?』

この流れはまずい気がする

『私が戸条さんに告白をしたのですよ、「離れ離れになってしまうから何か繋がりが欲しいから付き合ってください」って』

『『えええええええええ!』』

『…っ!』

利寿と愛華は信じられないと言った風に目を見開き叫んでいる、椎奈は反応が薄いが何故か俺を睨んでいる、なぜ?

『どどどどうして仁に告白を?!確かにこいつはいいやつで面白いやつだけど!り!理由は?!』

『愛華落ち…落ち落ちちゅけ!まずは冷静に話を聞こう』

『お前も落ち着け』

『そうですよ?お二人とも落ち着いてください?』

さすが椎奈、冷静に二人を抑えてくれる助かる

『それで?仁くん一体何をしたのですか?』

その質問は助からない

『…………』

『仁くんが年上の男の子達にいじめられている私を助けてくれたのです。その時の仁くんはとってもかっこよかったです!ああ、懐かしいですね』

頬を赤らめチラチラ俺を見ながら言ってくる、なんだ?その反応

『ヒューすごいじゃん仁!男だねー!』

『さっすが仁だ!昔から根は優しかったんだな〜、俺は誇らしいぜ!』

『…そうですよね、仁くんは優しいですから』

二人のことはいいとして何故椎奈は暗くなってしまうのだろうか

『ええ、本当に仁くんは優しかったです。男の子にいじめられていた私を助けてくれて、あの体の大きな男の子を投げ飛ばしていく姿は本当にかっこよかったです。その後も自分も怪我をしているのに私に大丈夫かと声をかけてくださったり』

『仁お前ってほんとすごいんだな!なんでそんな困ったような顔をしてんだよ!』

『そうそう!武勇伝なんだから堂々としてなよ〜』

『…あんまり昔のことを言われるのは好きじゃないんだよ、小学生で子供だったからむやみやたらに人を投げ飛ばしてたからな、今からしたら黒歴史だよ他のやつ投げるたびに師匠に絞られてたな〜』

そう今から思えば強い俺はかっこいいなんて少し思っている恥ずかしい記憶なんだ…本当に少しだけ思っていただけだ

『そんなことはありません!』

『椎奈?』

『私も仁くんに助けていただきました!その時も男の人を倒していましたが恥ずかしいですか?私は嬉しかったのですが……』

話していくうちに周りに三人に見つめられていることに気づいたのか縮こまっていく

『いや、あの時のことはやりすぎだとは思うが恥ずかしいとは思わないよ』

『そうでしょ?ですから人を助けたことをひけらかすのは良くないですが人から褒めてもらうのはちゃんと聞いて受け取らないといけませんよ?』

『ああ、わかったよ風花もありがとうな』

『いいえ、私こそ昔はありがとうございました』

俺たちの会話を聞き嬉しそうにしている椎奈とこそこそと二人で話している利寿と愛華


🔸

『さて、時間もなくなったら良くないからそろそろ弁当食べようぜ!』

『そうですね!はい仁くん今日の分です。』

『ああ、ありがとういただくよ、今日は入れ物違うんだな』

弁当箱は百円均一の店に売っているプラスチック製の容器これは一緒だが弁当を包むものが布から巾着に変わっていた

『はい!うちにいい雰囲気のものがあったので変えてみたんです。どうです?』

『ああとても綺麗で気に入ったよ、ありがとうな』

『はい!気に入ってもらえたのならよかったです!では食べましょう!』

『ああ』

椎奈も気に入っていたのか俺も気に入ったのが嬉しかったようだ

〔お二人とも〕

〔どったの?〕

〔何故戸条さんのお弁当を如月さんが?〕

〔ああ、あれかなんか仁の食生活が悲惨なものだあだから心配になった椎奈さんが弁当を作ってやることになったそうだぞ?〕

〔そうなのですか…〕

『どうした?三人して、食わないのか?』

何故か三人で固まってヒソヒソと何か話している、ところどこと聞こえるが弁当についてのようだ

『いえ、なんでもありませんよ?さ!時間がなくなってしまいますよいただきましょう』

『そうか、それじゃあ』

『『『『『いただきます』』』』』

こうして騒がしい再会を果たした俺と風花と前から関係を持つ椎奈新しい出会いの利寿と愛華の昼食がやっと始まった

『にしてもなんで仁は風ちゃんのこと振ったの?こんなに綺麗なら昔も可愛かったんでしょ?なんで?』

『……………』

『私も聞いてみたいですね、あの後から会いませんでしたから聞けていないです』

『私も聞きたいです』

『同じく!』

退路がない、もういうしかないのだろうか

(まぁ、聞いてきたのは風花だし大丈夫!…と信じたい)

『昔は風花はずっと俺の後ろについてくる子っていうイメージが強かったし、その頃は付き合うとかよくわからなかったし…』

『へぇー、じゃあ今なら知っていますから付き合ってくれますか?』

『は?』

『『うええ!??』』

『…ふ!仁くん…………』

突然のダイナマイト発言に頭が真っ白になる

『ふ、風花あのな?』

『ふふふ、冗談です♪すみません少しからかいたくなっしまいまして』

(タチの悪すぎる冗談だ)

『勘弁してくれ…』

休憩の時間のはずなのに午後からの授業に響きそうなほどの疲労感が襲ってくる

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