第20話 友達…
🔸
『準備できたか?』
『はい、今日もお願いします。』
『それじゃぁ行こうか』
夕食を終え片付けを終わらせてから椎奈を送るべく椎奈の家に向かう
『椎奈、さっきの話利寿達には黙っておくか?』
デリケートな話なのであまり触れたくはないのだがこれは確かめなくてはいけない
『…そうですね折を見てお話しします。』
話ができてスッキリした様子だ
『つきましたね…今日はよって言ってもらえませんか?聞いてもらったお礼もしたいですから』
『…わかったよ、お邪魔しするよ』
ガラガラ
『帰りました』
『お帰りなさい、あら今日は仁くんも寄っていってくれているのねどうぞ遠慮なく上がってください』
今日は葉月さんではなく和世さんが出てきてくれた
『お邪魔します』
いつもの部屋にとうされ腰掛けていると葉月さんもやってくる
『いらっしゃい戸条さん、夕ご飯食べますか?』
『いえ、今日は椎名に作ってもらって食べてきましたよ』
『わかりましたではお茶を準備しますね』
『あ、今日は私がしますよ』
葉月さんが準備に動こうとするのを止めて椎奈が動いて部屋を出ていく、そして俺、和世さん、葉月さんとが部屋に残る、なんだか空気が
『さて、仁くん今日何があったのか教えてくれる?』
ニコニコとした顔の中に椎奈と同じような怖さが滲んでいる、後ろに控えてる葉月さんもなんだか静かに怒ってる雰囲気だ
『えええっと…実は今日椎奈の家が如月財閥の歴代の社長一族だということを聞きまして』
『…今まで知らなかったの?』
なんだか驚いているような警戒しているような感じになる
『はぁ、それで椎奈がどんな経験をしてきたのかを聞きましてそれを含めて俺は態度を変えずずっといるという話をしたんです。』
『……あの子あなたに話したの』
『ですが小学校時に起きた事件というのはまだ聞いてません』
『…知りたい?』
いつもの調子を少し取り戻しているがまだ警戒している雰囲気だ
『…いえ、それは椎奈に聞きます。』
『そう、なら娘のこと頼んだわ』
『ん?はい?』
『ふふふ、しっかし嬉しいわ〜あの子がそのことを話せるくらいの友達ができて』
『ええ、本当に』
🔸
『お待たせしました、なんの話です?』
ちょうど話の区切りで椎奈がやってくる
『椎奈、すまない今日聞いたこと話してしまった』
『構いませんよ?お母さん達は知っているので』
『そうなのか』
話してしまってから気づいてかなり悪い気がしていたのだがあっけらかんとしている
『しっかしあなた達帰ってきた時から妙な雰囲気を醸し出してたから…一線を越えたのかと』
『私も同じように考えてしまいました』
『『なっ!!!』』
二人が少し怒ったような気配がしたのはそんな考えがあったからのようだ
『そ!!そそそそそそそんなわけないでしょ!』
『わかってますよお嬢様ですから落ち着いてください』
『……すみません勘違いさせるようなことして』
『あら、仁くんが謝ることじゃないのよこちらこそごめんなさい?私の勘違いで悪い空気にしてしまって』
『すみませんでした』
二人して笑いながら謝ってくる、椎奈に至ってはぶつぶつ言いながら顔を真っ赤にして目線をうろうろさせている
『いえ、そうだ椎奈にお世話になっているのってお母さんには許可をもらいましたがお父さんには…』
『あら、もうお義母さんと読んでくれるのね!』
『え?』
『奥様』
『冗談よ半分ぐらいは』
よくわからない会話が和世さんと葉月さんとの間で交わされている、椎奈はまだ帰ってこない
『あの…』
『ああ、ごめんなさいうちの旦那には私から言っておくから安心してねそれより本当に仁くんは律儀な性格ね』
(それは、褒められているのだろうか)
『褒めてるのよ?ね?』
『ええ、今時の子供にしてはしっかりとしています』
俺喋ってないんだが
『…あの、俺ってそんなにわかりやすいですか?』
『今更?』
『わかりやすいです』
そうなのか、気おつけたほうがいいのだろうかああそうだ
『すみません、話は変わるのですが今週末椎奈と俺の家で使う足りない食器などを買いに行くことになってるんです。。あまり遅くならないように気おつけます。』
『あらそうなの?娘のことお願いね?お金は渡しておくわよ』
『いえそれは』
『ダメですよ?』
葉月さんからの強制ストップが入ったので二の句が告げられなかった
『じゃあそのように‥あ!すみません明日学校なのでそろそろ失礼します!』
『あら、もう言っちゃうの?でも学校なら仕方がないわね、椎奈そろそろ帰ってきなさい仁くんが帰るわよ』
『はっ!す、すみません仁くんお相手もせず』
やっと戻ってきたようだ、それにしても随分と長い間あたふたしていた
『いや、大丈夫だよそれじゃ失礼します』
『ええ、またいらっしゃい』
『次はお夕飯も食べていってくださいね』
『仁くんまた明日』
『ああ、また明日も頼むよ』
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『…それにしてもこんなにすぐあなたが昔のことを話すなんてね』
『仁くんはなんだか信じられるのです。私に似てるというかなんと言いますか』
『少しわかります、二人は似ています。』
仁くんが帰ってから残ったお茶を飲みながら談笑することになりました
『確かにね、なんでかしら』
『わかりません…』
仁くんといるとなぜあんなにも落ち着くのでしょう
『でも本当にいいお友達を見つけられて良かったわね』
『そうですね、いい出会いです。』
『…友達、ですか』
〔…ねぇ葉月あれって〕
〔今後が楽しみです。お孫の顔を観れるのは案外早いかもしれませんね〕
〔あらそれは楽しみね一緒にお世話させてもらいましょ?〕
〔そうですねとても素晴らしいです〕
『二人とも?どうしたのですか?』
二人してこそこそと何を話しているのでしょうか私も混ぜて欲しいです
『なんでもないのよ、椎奈仁くんのこと大切にしなさいね』
『もちろんです。』
お母さんに言われたことをしっかりと胸に刻み込む
(明日のお弁当はどんなものをお作りしましょう)
明日のお弁当とそれを食べる仁くんを思い浮かべる学校に行くのがとっても楽しみになるのでした==================================================
『仁ぃぃぃぃぃん!!』
『うぉ!!』
朝通学路を歩いていれば利寿がすごい勢いで突っ込んでくる
『なんだいきなり!』
『いやぁ、こっそり言ってダメなら勢いをつけたらどうかと思ってな〜』
『くだらんことをするな、それとこのやり方は二度とやるな』
『へいへい』
朝っぱらから疲れるような対応をさせられる、しっかし本当にこいつはよく朝から元気だ
『いやぁー昨日一昨日はありがとうなかなり助かったぜ!』
『それなら良かった、いい点とってくれよ』
『おう!任せとけ!!愛華は保証できないけどな!』
元気に返事するから嬉しかったのに気分を落としてくる
『あいつって塾に行ってるんだろ?なんでここまで酷い結果なんだ?』
『うーんなんか親戚がやってるところでほぼ遊びに行ってるようなものなんだってさ』
『なるほどな』
そういう理由なら納得
『おっはー元気?』
『おっはー元気元気!』
『おう』
『もー仁元気ないよ〜』
話の元凶がやってきたが
『お前あの後帰ってからちゃんと復習したか?ちゃんといい点取らないと打上も何もないんだからな?』
『うっ!わ、わかっとるわ!』
『で?やったのか?』
『…………』
あからさまな沈黙だ、こいつもこういうところはわかりやすいな
『まぁいいテストは明後日だちゃんとやっとけばなんとかなるからしっかりとやっとけよ』
『はぁーい』
『…お前もだぞ?』
『うっ!飛び火した、わかってるよそれより前はどうなんだ?』
『俺は…』
『おはようございます!』
話の途中で椎奈がやってきた
『おはよう』
『おっはよ〜シイちゃん』
『おはようさん!』
『それで、なんの話をしていたのですか?先ほどから楽しそうでした』
当目から見ていたのか話の内容が気になるようだ
『いやなー仁が勉強しろっていうからさ仁はどうなのって話してたんだー』
『そうなのですか、どうです?仁くん?』
『今回も大丈夫だろう』
『ふぅ〜ん、さっすが学年一位』
『やめろ』
茶化すように言ってくるが、全くうざったい感じがしない
『シイちゃんはどう?』
『私は仁くんが作ってくれたノートのおかげでだいぶ自信がつきました、ありがとうございます。仁くん』
『役に立って良かったよ』
あれで役に立つのなら良かった
『えぇ!いいなー何それ〜私も欲しい!』
『俺も俺も!』
『あれは椎奈ぐらいの知識がないと多分役立たんぞ?』
『『ぐっ!!』』
『ふふふ♪』
朝から本当に騒がしいことばかりだが、いい一日になりそうだ
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