第15話 カレーの約束

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ピンポーン

『お?届いたみたいだな受け取ってくるから机の上に片付けてくれ』

『了解だよーん』

『適当に置いとくぞ?』

『すまん椎奈、台所から皿と台拭きを持ってきて拭いてくれないか?』

『分かりました』

頼んでいたピザが届いたのでそれぞれ自分の役割につき準備を始めるそして俺は玄関に向かった


🔸

『よっし食べるか』

『はい!とっても美味しそうです。どちらから食べましょう』

椎奈がチョイスしたのはマルゲリータとマヨネーズ明太の二重類で流石に四種類にはしなかったようだ

『よっし俺明太子!』

『あたしマルゲにしよっと結構久々に食べるから楽しみ!』

『私もマルゲリータにします!』

『じゃあ俺は明太子にするか』

それぞれが食べたいものを皿に乗せて食べる準備を終える

『よっしそれじゃ』

『『『『いただきます』』』』

俺は食べたことがあるので初めて食べる椎奈が気になり隣を見ると、ビヨーンとチーズを伸ばしあたふたしている

(ピザを食べてここまで可愛くなるとは…)

『…椎奈皿を持ってくればいいんだぞ?』

笑いを堪えながら注意をしてやるとその手があったかと言いたげな目で俺を見て口に入れた文をたあ咀嚼している

『…‥!……ん!!』

食べながら俺を見て何かを訴えてくるしかし飲み込めなくて大変そうだけど美味しそうだ

『ふー、…仁くん!とっっても美味しいです!初めて食べましたがこんなに美味しいとは!』

『良かったな頼んだ甲斐があったよ……ふふ』

『むぅー、仁くん笑いすぎです!仁くん意地悪です』

俺が椎奈の様子に笑いながら喋っていることに気づいてむくれてしまう

『いや、すまないなんだか椎奈が可愛くてな…くくっ』

『……本当に仁くんは意地悪です。怒るに怒れません』

『ん?どうした?』

『なんでもありません!次は明太子です!』

怒ったのか少し顔を赤くして明太子とってマルゲリータと一緒に食べ始める

(俺も食べるか)

久しぶりに食べたのだがだいぶ美味しいかった無言の二人を見れば夢中になって貪っている

『頼んで良かったな‥』


🔸

『ふぅ〜食ったな、俺も久しぶりだったが結構美味かったどうだった?椎奈』

『はい!私は初めて食べましたがとても美味しかったです。次は自分でも作ってみたいです』

出前を食べて自分で作ろうとなるのは椎奈ぐらいだろう

『次は私、寿司がいいなー』

『俺はカレーかな!』

もう次のことを考えて話し始めているしかしこいつらは…

『カレーはともかく寿司は無しだ』

『ええ〜じゃあなんかデザートつけてー』

『成績が良くなったらな』

こういえば愛華ならこのご褒美に釣られてやる気を出すだろう

『ぶぅ〜、じゃぁ終わって赤点がなかったらみんなで打ち上げに何処か行こ!?』

『いいね〜それなら俺もさらに頑張れそうだ』

『でしょでしょ?』

勝手にご褒美が拡大されていくがこれはやると言わないと意気消沈してやる気が大幅に下がってしまうかもしれない

『…わかったよ、椎奈はどうだ?』

『はい、私も大丈夫です。楽しみです!皆さんで一緒に行くために頑張りましょ?』

『うん!頑張る!』

(さすが椎奈だすでに愛華のやる気の引き出し方を熟知している)

『それはそれとして明日の昼はどうする?』

『勉強は?』

『まぁーままま、先にやること決めとけなあばやる気が出るってもんなのだよ仁くん』

あっているようであっていない自己理論を展開し始めていたが始まってしまった以上終わらせた方がいいだろう

『はぁー、わかったよそれで?何が食いたいんだ?』

『さっきも言ったがやっぱカレーかな?食いたい食いたいと思ってたんだが最近食えなくてな〜』

『わかった二人はどうだ?』

『私は構いませんよ』

『私もいいよーいいね!カレーって!』

理由は知らないが最近食えてなかったらしいしこれと言った嫌な理由もないし明日の昼食はカレーに決まった

『じゃあ明日はカレーを注文するか』

『‥あの、カレーぐらいでしたら私がお作りしましょうか?』

『『『…………』』』

料理をしない人間の俺たちはその選択肢が全くなくて呆然としていた

『…いいのか?大変じゃないか?』

『カレーぐらいでしたら苦ではありませんよ?それに、これからここに作りに来るのですから慣れておかないと!』

椎奈の承諾と俺のお世話を理由にされたら断れない

『…わかったよじゃあ使うものあとで教えてくれ、買っておくから』

『いえ、来る前に買ってきますよ』

『いや四人分となれば結構な量になるから俺が行っておくよ』

『分かりました、帰り際にリストを書いておきます』

『ああ、任せておけ』

とりあえずは明日の予定がたった

『いやったー!明日の楽しみができた!』

『ちょー楽しみだ!俺らは菓子とか飲み物買ってくるぜ』

『それはいいがやることやらないと食わせないからな』

こいつら自分の成績わかっているのだろうか、これぐらいの脅しをしないと今日も集中しないだろう

『わ、わかった頑張る!カレーのために!』

『おう!絶対にカレー食うぜ!』

俺の一言が効いたのか早速やる気を出す

『そのいきだ』


🔸

『……つっかれたーこんなに勉強したの受験以来だよー』

『いやーだいぶ進んだなこれなら今回は余裕で安全圏だ!』

たった一日やっただけなのにとてつもない自信をつける二人、おそらくテスト前にまた焦るだろう

『…それならいいがそろそろ暗くなりそうだからそろそろ帰れよまた明日もあるんだからな』

『おう!そろそろお暇するぜ俺は愛華と帰るよ椎奈さんとは別方向だからな』

『そうなのか、あれ?今日一緒にこなかったか?』

(朝二人一緒に玄関にいたからてっきり一緒に来たのだと思ったんだが)

『いえ、愛華さんがこのお家にきたことがないそうですから合流してきたことのある私が案内をしたのですよ』

『なるほどな、まあそれなら俺が椎奈を送っていくよ』

愛華が利寿と帰るなら俺が送って行った方がいいだろう、まだ明るいが一人で歩くのは流石によろしくない

『え?仁くんこれからお買い物に行くのですよね?』

『え?なんで?』

本気で何を言っている?とゆうふうな声色で帰らないで買い物に行くらしい

『なんでって忘れたのですか?お夕飯は私が作りますと言いましたよ?』

『え?今日からなの?』

『今日からですよ』

すでに決まったことのように話している

『食材ないし』

『だから買いに行くのです』

『…わかった頼むよでも、ちゃんと家に連絡を入れて俺も話をしたいから代わってくれ』

『ん?分かりましたいいですよ』

これから夕飯をお世話になるのに親に言わないのは良くないので自分の口で説明しようと考えての願いだった

『てわけだ気おつけて帰れよ?』

『おっけじゃあ今日はサンキューな!明日もよろしくな!』

『バイビーまた明日!』

『おう』

『また明日』

愛華たちを見送り椎名を送っていくために戸締りを終わらせる

『じゃあいくか』

『はい、行きましょう!』


🔸

『仁くん何が食べたいですか?』

スーパーへの道を歩きながら椎奈が聞いてくる、実際椎奈が作る料理な美味しいから悩む

『……じゃあ今日は結構寒い日だからあったかいものかな』

『なるほど…では肉じゃがにしましょう!』

『おっ!いいなすごく楽しみだ』

俺は卵が好きだが他にもジャガイモも大好きだからこの提案はとても嬉しい

『ふふ、そんなに好きなのですか?』

『ああ、大好きだ』

『っっっっ!』

肉じゃがが大好きだと言ったら急に赤面させる、なぜに?

『どうした椎奈具合悪いか?やっぱ今日はやめた方が……』

『だ、大丈夫です!なんでもないです!なんでもないですから!』

『そ、そうかならいいんだが』

しかし、本当に大丈夫だろうか?結構顔が赤い気がするんだが

『それにしても肉じゃがか〜こっちにきてからは食べてないな、実家に帰るのも正月だけだったしな』

正月に帰ったから餅やら雑煮やらおせちが出てきたから肉じゃがが食べれなかった記憶を思い出す

『なぜお正月だけ?』

『……』

(話す内容を失敗した、本当に俺は学習しない)

察しのいい椎名は俺の暗い感情に気づき慌ててしまう

『ごめんなさい!聞かなかったことにしてください!』

『いや!いいんだ謝らないでくれ…そもそもこんな話に繋がる話題を言ってしまった俺が悪いんだ』

『…聞いてもいいのですか?』

不安げな顔をしながらも聞いてくる椎奈しかしこれは

『いや…まだ俺の心の整理ができてないんだ、だから少しだけ待ってくれ本当は椎奈にもあの二人にも聞いてほしいんだ、だけどもう少しもう少しだけ…』

『…分かりました仁くんのお気持ちが許すまでお待ちします。ですが、だからと言って焦ってしまってはいけませんよ?どんな理由でも仁くんと友人でなくなってしまうのはいやですから』

『ああ、ありがとう椎奈…』

『いいえ!どういたしまして』

そう言って屈託もなく笑うその笑顔は夕日に照らされて輝いて見え本当に綺麗だった…

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