第13話 勉強・純粋・確定事項

🔸

ピンポーンピンポーンガチャ


『いらっしゃい二人とも』


『へへーお邪魔します』


『お邪魔します』


勉強会当日早速朝から椎奈と愛華の二人が俺の家を訪ねてきたどうやら二人とも張り切っているようでとてもご機嫌だ、ちなみに利寿は寝坊により昼前に来るようだ


『………仁くんどうですかこの格好』


俺に感想を聞くべく前で一回転する椎奈、今着ている服は俺が見た服ではなく待っている間に決めた服のようだ、上は少し薄めのグレーパーカーにベージュの薄めのトレンチコートのシンプルカジュアルコーデで下はジーンズで大人っぽく決めているようだ髪は少しだけどウェーブのかかったような髪になっている


(今日は結構寒い日だし椎奈はこれぐらいの厚着でちょうどいいのだろう中に入ればエアコンなどで調整できるし)


『とても綺麗だよ、大人っぽく決めた雰囲気がよくわかって椎奈の魅力を引き立ててるよ、それにその髪留が元から綺麗だった椎奈の髪をより際立たせるな』


『あ、ありがとうございます……そこまで言っていただけるとは、やっぱり仁くんは卑怯です』


(素直な感想を言ったのに卑怯者扱いされてしまった、なぜ?)


〔ねぇシイちゃん仁ってあんなこと言うタイプだっけ?〕


〔はい、直球で言ってきますよ?嬉しいのですが、直球すぎて…〕


小言のつもりなのだろうかバッチリ聞こえていた


『この間褒めたときは嫌悪感を感じないって言ってたから素直な気持ちを言っているのだが、やっぱりいやだったか?なら、やっぱりやめた方がいいだろうか?椎奈に嫌がられることはしたくないんだが…』


(椎奈がいいと言っていたからいいと思ったのだがいやだったのだろうかしかし、そうならやめなくては)


『だ、大丈夫ですからそんな顔をしないでください…私は仁くんに褒めてもらえてとても嬉しいですから!』


『そうか‥よかった』


その言葉を聞けて心底安堵する


『あの〜二人の世界を邪魔して申し訳ないんだけど〜そろそろ案内してくれる?』


『ああ、すまないこっちだ』


また椎奈と話すのに気を取られすぎて周りが見えなくなっていた


(全く気を付けないとと思っているのにまたやってしまった)


🔸

『よしやるか、二人は何が一番苦手なんだ?』


『私は英語が』


『私は全部かな〜前回一番低かったのは物理ねあれほんと意味わかんないから嫌いなのよね〜』


ある程度は予測していたがやはり愛華がまずい状況のようだしかし全教科まずいとは本当にいつも何をしているのだろうか


『とりあえず自分の苦手教科の参考書を解いて行ってわからないところがあったら聞くって感じでやってみよう』


『わかりました!』


『了解了…かい』


元気よく返事をしてカバンをあさり始めたと思ったら急に動きを止める


『どうした?』


『え、え〜っとたいへん言いにくいんだけど〜仁さん教科書貸して?☆?』


『勉強を教えてと言ったのはこの口だったっけか〜!?』


『イタタタタタタタ痛い痛いごめん!ごめんってごめんなさい!!』


ゴスっ!といい音を立てて愛華の頭をチョップしたあと両頬をうに〜っと引っ張ってやる両目に涙を浮かべながら抗議してくる


『ああ、仁くんほっぺたが取れてしまいます!落ち着いてください』


『はぁ、今日は許すが明日はちゃんと持ってこいよ?ただでさえまずいんだから』

『はーい!シイちゃんもありがとね!』


反省しているのか微妙な態度での返事にまたお仕置きをしてやろうかとも思ったが時間の無駄ただと思い直し諦める


『ふふ、ですが仁くんも言いましたが次はありませんからね?もちろんわかっていますね?』


椎奈のその一言と表情によって部屋の気温が数度下がったような錯覚を起こしてしまい愛華はガタガタと震えている


『わ、わわわわかっているであります!!もちろろんもちろんです!ですから何卒命だけは!』


『わかったからいい加減教科書を開け』


🔸


ピンポーン


『利寿か?ちょっといってくるから二人は少し休憩していてくれ、ついでに飲み物も持ってくるが紅茶とコーヒーならどっちがいい?』


『私コーヒーお砂糖いっぱい』


『はいはい椎奈は?』


『いえ、それなら私もお手伝いしますよ』


『すまないな助かるよ』


ピンポーンピンポーン


利寿のことを忘れて長めに話してしまったようだ


『じゃあいってくるが部屋を漁るなよ?』


『えぇ?見られて困るものがあるの?仁いやらし〜』


『………帰るか?』


『すみません調子に乗りました漁らないので許してください』


椎奈をともない玄関に向かうなんだか家の中で椎奈と一緒に移動するのはとっても違和感がすごい


『あの、仁くん』


『どした?』


『見られて困るものとはどんなものなのでしょうか、なぜそれがいやらしくなるのです?』


(………………まじか)


どうやら椎奈はそういった下世話な知識がないようだ、できればそのまま純粋なままでいてほしいものだと、現実逃避を始める俺の頭だった


🔸

ガチャ


『おーい遅いぞ?いつまで外で待たせるんだ?』


『遅いのはお前だ、寝坊しやがって教えてやらんぞ?』


『すまん!!時計がぶっ壊れててさ親も休みの日だからか起こしてくれなくてな〜許して仁ちゃん♪』


ウィンクをして舌をぺろっと出して軽い感じで誤ってくる、誤っているのだが本当に反省しているのかよくわからないとこは本当に彼女と一緒だ


『いらっしゃい風間さん』


『お邪魔します、…はははは』


椎奈が促し玄関に入った途端立ち止まって笑い始める、正直いってガチでドン引きするぐらい急に笑い出した


『ど、どうした?具合が悪いなら中で少し休んだら帰ったほうが』


『いや、大丈夫だ、クククッいや椎奈さんの返しがなんだかこの家に住み始めた若妻みたいでな』


『は?』


突然意味のわからないことを言い始めるさっきの突然の大爆笑に加えて変なことを言い始めてさらに引いてしまう


『くだらないこと考えてないでさっさと上がれお前も勉強やばいだろ?さっさとやらんと補修だぞ?』


『おう!今度こそちゃんとお邪魔します。てか、椎奈さん大丈夫?』


指摘された椎名の方を向く


『わ、わわわわわかわか…わか‥ずま』


ずっとわわわわわと繰り返し利寿に言われた若妻の部分をずっと両頬を押さえ顔を耳まで真っ赤に染めて譫言のように繰り返し続けている


『おい!椎奈帰ってこい今のは利寿の達の悪い冗談だだから早く帰ってこい!!』


『はっ!す、すいません私ったら、うぅぅ…』


戻ってきたようでなり寄りなのだが隣ではさっきよりも爆笑を繰り返している利寿、目の前では下を向きながらもチラチラと俺をみてくる椎奈この状況どうしろと?


🔸

『この部屋だ中で愛華がくつろいでる、自分の苦手教科の参考書を解いておいてわからないところがあったらこのあと質問してくれそれと、漁るなよ?愛華にも言ったが漁ったら帰らせるからな』


『はいよー、しっかし漁るななんて仁ちゃんのえっち』


『うっせ!さっさと行け』


カラカラと笑い声をあげて部屋の中に入って行く


『たっく』


『あの仁くんなぜ漁るなって言ったらえっちなのですか?』


本当に俺は学習できないらしい、さっきも同じことがあったのに全く成長していなかった


『……よし、飲み物を入れに行こう』


『あ!そうでした待たせては行けませんから早速入れにいきましょう』


(…ちょろい)


🔸

かちゃかちゃかちゃ


『あの仁くん』


『なんだい?椎奈さん』


さっきから黙々と準備をしてくれていたのに何か問い詰めるような声色で話しかけてくる、とてもまずい気配がする


『前ここでお料理した時から思っていたのですが…台所綺麗すぎでは?』


さすが椎奈だ痛いところを的確にクリティカルを決めてくる


『………キレイズキナンダヨ』


『嘘ですどんなに綺麗好きでもここまで綺麗なのはあり得ません先ほど覗いたらフライパンや包丁など使った形跡が全くと言っていいほどありませんでした、普段から台所に立つ私を舐めないでいただきたい』


『ごめんなさい、嘘をつきました…』


完全に把握されてしまったし嘘をつく罪悪感から本当のことを言ってしまった

『いつも夕ご飯などはどうしているのです?』


『買ってきたものですましている』


この一言でまたしても椎奈の瞳からハイライトが消えてしまい満面の笑みに変わる


『仁くん、道場がない日を教えてくださいその日に夕飯を作りにきますのであ、休日は予定がない限り両方きますからね』


『椎奈それはあまりにもだな』


『確定事項です♪』


『…椎奈さんこればっかりは流石によくないと思うぞ俺が気をつければいいだけだし』


そう、これは俺が完全に悪いのだから流石にそこまでやってもらうわけにはいかないここは譲らない


『今までしたことないことをいきなりできるわけがないです。それに仁くんは自分のことになると疎かにします絶対に三日坊主です。ですから私が作りにきます、これは確定事項です』


さっきまでニコニコしていたのが真顔で主張してきた、これは相当ご立腹なのだろうか


『わ、…わかりましたお願いします』


『よろしいです!友人が体調を崩したら私も悲しいですし』


『……ああ、ありがとう』


椎名の気遣いに胸が痛むやら温まるやら不思議な気分だった

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