第4,5話

side如月 椎奈

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『…どうしよう』

(困った、今日はお父さんと大事な約束があるのに、天気予報では雨なんて書いてなかったのにどうしよう…)

私が、雨の降る中帰れないで困っていた時

『昨日ぶりだな』

横から不意に声をかけられた、この声は

『昨日の』

驚いたまさか昨日助けてくださった方が同じ学校の人だったとは、ということは…

『何かようですか?用がないなら話しかけないでください』

私は、自分で言うのもなんですが異性からよく告白をされます。正直迷惑でしかないのですが、それに変な渾名までつけられてしまいますし‥もしかしたらこの方は私のことを知っていてわざと近づいてきたのでは?と考えてしまいきつい口調で話しかけてしまいました。ですが彼はそんな私に臆せず傘を貸そうとしお説教までしてきました。流石に今回は結構困っているのでこの申し出は助かります。

しかし、誰かに借りをつくるというのは私の私情ですが嫌なのです。

そんな気持ちを汲んでくれたのか彼は

『借りを作るのが嫌なら、明日傘と一緒に紅茶でも奢ってくれ』

なんの下心も無く関わってくる男の人は今までいなかった…私は不安もありながら好意に甘えることにした

『……わかりました、ありがとうございます明日、明日必ず返します‼︎』

そう言って私は帰路につくのだった

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次の日

(そういえば、あの方は何組なのでしょうか)

そう思い先生に聞くことにします。今年の担任の先生はまだよく分からなので去年の担任の先生に聞くことにしました。

『失礼します、京子先生はいらっしゃいますか?』

『おぉ〜、こっちだこっち〜』

相変わらずとっても元気のようです

『どうした?珍しいな、相談か?』

ニヤニヤした顔で冗談めかしく言ってくる先生

『はい実は折り入って相談が』

そう言った途端先生のニヤニヤ顔が消え驚きの顔になった

『マジか、お前が相談とは…何かあったのか?』

急に真面目な顔に変化する先生、どうしたのでしょうか?まぁ、ちゃんと聞いてくれるに越したことはないです

『実は、戸条 仁さんという方をご存知ですか?』

『‥あいつがどうかしたのか?』

私が彼の名前を出した途端以外そうな顔をする、先ほどからよく顔が変わります。私は経緯を説明し合わせてほしいと言うと

『あいつは今日休みだぞ、なんでも風邪を引いたらしい声がガラガラだった

まぁ、冗談が言えるようだったから大丈夫だろうが、フフフフフ』

先生が彼は風邪だと言っている、そしてなぜそんな黒い笑い方をするのでしょうか?

(まさかあの後濡れて帰ったのでしょうか?確かに傘をもう一本持っているとは言っていませんでした、では私のせいで!)

『先生!彼の住所を教えてください!看病してきます!!!』

『如月?しかしだな〜……いや、いいだろう!ちょっと待ってろ』

最初は渋ていたのに急にどうしたのでしょうか、しかし今は 関係ありません!

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先生に彼の住所を聞き、お買い物を済ませて家の前まで来た

(初めて男の人の家に入ります)

緊張しながらインターホンを押す

ピンポーン、ピンポーン

(寝ているのでしょうか、起こすのは悪いですが入れてもらえなければ看病できません!)

申し訳なさがありましたがここは開けてもらわなくてはいけないため再度インターホンを押す、そうしたら、中から

『はいはい、今出ますよ』

(どうやら起きてくれたようです。)

ほっと、胸を撫で下ろしすぐに気持ちを切り替える、そしてドアが開き

『はっ?』

信じられないものを見たような顔で私を見る彼、その顔がおかしくて少し笑いそうになってしまいましたがグッと我慢しました

『昨日の借りを返しに来ました』

どうやらとても驚いている様子です。しかし、本当に顔色が良くなさそうなので無理にでも家に上げてもらいます。

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そこからは、ことの経緯を話したり、家の中に入る許可を正式にいただいたりお粥を作って差し上げたりいろいろありました、アクシデントはありましたがお粥を食べ終わり眠たくなったのか、うとうとしています。その姿を見ると少し子供っぽく見えて可愛く思ってしまいます。

『寝てて構いませんよ、片付けをしたら帰りますから』

『…すまん、鍵は‥机の上にあるから…』

『はい、おやすみなさい』

そうして彼は深い眠りについた

(よし!片付けも終わりました。そろそろ帰らないと…戸条くんなんだが暑そう)

顔色はだいぶ良くなっていましたが今度は熱で暑そうにしていました

(こおいう時は濡れタオルでしょうか)

そを思いタオルをお借りして濡らして絞り彼の額に乗せてあげます

(あ、良さそうです)

先程まで少し苦しそうだったのが少し和らいだようで、安心しました

(それにしても‥この寝顔を見ていると…私まで…)

いけないとわかっていましたが眠気に抗えず私も眠りについてしまうのでした。

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